めぐりあひて
見しやそれとも
わかぬ間に
雲がくれにし
夜半の月かげ
めぐりあひて
みしやそれとも
わかぬまに
くもがくれにし
よはのつきかな
Встретились наконец.
Но пока я гадала: она ли —
Та, на кого гляжу?
Уже в облаках сокрылась
Луна полночного часа.
Данное стихотворение взято составителем
из антологии «Синкокинсю», 1497, «Разные песни», часть 1. Впервые оно встречается в «Изборнике стихотворений Мурасаки-сикибу»; это начальное стихотворение «Изборника...», и там ему предшествует следующее пояснение: «От юных лет мы были близкими подругами. Спустя годы наши пути пересеклись, но лишь на мгновенье. Споря в торопливости с луной десятой ночи седьмой луны, она уехала».
ほととぎす
声待つほどは
片岡の
もりのしづくに
立ちやぬれまし
ほととぎす
こゑまつほどは
かたをかの
もりのしづくに
たちやぬれまし
Вот-вот уж с холма Катаока
Послышится голос кукушки...
И пусть в ожиданье его
Промокну от капель росы,
Под деревьями стоя.
* В качестве прототипа, очевидно, использована танка принца Оцу из «Манъёсю»:
В горах под соснами
Тебя я ждал,
И капли дождевые
Стекали на меня с ветвей,
Пока я не промок насквозь.
たが里も
とひもやくると
ほととぎす
心のかぎり
待ちぞわびにし
たがさとも
とひもやくると
ほととぎす
こころのかぎり
まちぞわびにし
Все с нетерпеньем ждут,
Тоскуя по тебе,
Кукушка,
В чьём же саду
Ты прежде запоёшь?

なにごとと
あやめはわかで
今日もなほ
たもとにあまる
ねこそ絶えせね
なにごとと
あやめはわかで
けふもなほ
たもとにあまる
ねこそたえせね
Не знаю и я,
Почему,
И нынче лишь слёзы
Мой увлажняют рукав,
И нет им конца!

ふればかく
憂さのみまさる
世を知らで
荒れたる庭に
つもる初雪
ふればかく
うさのみまさる
よをしらで
あれたるにはに
つもるはつゆき
Первый снег...
Смотрю, как засыпает он заброшенный
мой сад,
И думаю:
Чем долее живу на этом свете,
Тем больше познаю его печаль...
* Поэтесса использовала как прототип песню неизвестного автора из «Кокинсю» (свиток «Разные песни»):
Чем долее живёшь
На этом свете,
Тем больше познаёшь и горести его, —
Словно бредёшь по каменистым тропам
Гор Ёсино...
くもりなく
千歳に澄める
水のおもに
宿れる月の
影ものどけし
くもりなく
ちとせにすめる
みづのおもに
やどれるつきの
かげものどけし
Тысячи лет ещё
Останется прозрачною
Вода в пруду,
Где отражается спокойный
Лунный лик.
* Прозрачная гладь воды — аллегория вечной славы дома Митинага, а чистое и ясное отражение луны (спокойный лунный лик) — аллегория новорождённого принца.
かき曇り
夕立つ波の
あらければ
浮きたる舟ぞ
しづ心なき
かきくもり
ゆふたつなみの
あらければ
うきたるふねぞ
しづこころなき
Все небо потемнело,
И волны поднялись.
Вот-вот уж хлынет дождь...
Как неспокойно стало
На корабле!
* Согласно пояснениям в частном собрании поэтессы, это было на озере Бива.
たれか世に
ながらへて見む
書きとめし
跡は消えせぬ
形見なれども
たれかよに
ながらへてみむ
かきとめし
あとはきえせぬ
かたみなれども
Вот письма, след её руки,
Память последняя о ней.
Они — бессмертны, но кто увидит их?
Кто, как не ты,
С любовью их прочтет?

見し人の
けぶりになりし
夕べより
名ぞむつましき
塩釜の浦
みしひとの
けぶりになりし
ゆふべより
なぞむつましき
しほがまのうら
Ушли навсегда те, что были близки.
С тоскою о них вспоминаю,
Глядя на дым от костров,
Что жгут рыбаки
В Сиогама.
* Сиогама — одно из наиболее известных в то время мест соледобычи. Находилось в провинции Митиноку, ныне префектура Мияги, залив Мацусима. Соль добывали из водорослей, выпаривая на кострах, эти костры напомнили автору погребальные.
暮れぬまの
身をば思はで
人の世の
あはれを知るぞ
かつははかなき
くれぬまの
みをばおもはで
ひとのよの
あはれをしるぞ
かつははかなき
Быть может, завтра и меня не станет,
Но об этом
Не думаю, лишь сожалею о тех,
Чья жизнь
Такою мимолетной оказалась.

北へゆく
雁のつばさに
言伝てよ
雲の上書き
かき絶えずして
きたへゆく
かりのつばさに
ことつてよ
くものうへかき
かきたえずして
Каждый раз, как увидишь
Летящих на север гусей,
С ними весточку мне посылай,
Её донесут они
По облакам.
* Здесь неоднократно встречающийся в японской поэзии того времени намёк на уже упоминавшуюся (см. коммент. 500, т. 1) древнекитайскую легенду о после Су-У, который 20 лет провёл в плену у гуннов, пока однажды не поймал дикого гуся и привязал к лапке его письмо. Гусь был подстрелен над императорским дворцом, и Су-У с почестями возвращён на родину.
入る方は
さやかなりける
月影を
うはの空にも
待ちし宵かな
いるかたは
さやかなりける
つきかげを
うはのそらにも
まちしよひかな
Тебя, словно восход луны,
Ждала я с нетерпеньем,
А на рассвете ты ушёл
Без сожаленья,
Как она уходит за гребни гор.

神代には
ありもやしけむ
桜花
けふのかざしに
折れるためしは
かみよには
ありもやしけむ
さくらばな
けふのかざしに
をれるためしは
Такое, может быть, случалось
В Век богов,
Чтоб в этот день
Могли мы волосы украсить
иветушей вишней!

めぐり逢ひて
見しやそれとも
わかぬまに
雲隠れにし
夜半の月影
めぐりあひて
みしやそれとも
わかぬまに
くもかくれにし
よはのつきかげ
Свой круг свершив, взошла луна,
Но та ль она, что прежде?
Покуда размышляла так,
Она и вовсе скрылась
В небесных облаках!
Включено в антологию Огура хякунин иссю, 57.
をみなへし
さかりの色を
見るからに
露の分きける
身こそ知らるれ
をみなへし
さかりのいろを
みるからに
つゆのわきける
みこそしらるれ
Когда любуешься цветком
Прекрасной валерьяны,
То понимаешь:
Прелестью своей
Обязан он росе!

おほかたの
秋のあはれを
おもひやれ
月に心は
あくかれぬとも
おほかたの
あきのあはれを
おもひやれ
つきにこころは
あくかれぬとも


水鳥を
みつのうへとや
よそにみむ
我もうきたる
世をすくしつつ
みつとりを
みつのうへとや
よそにみむ
われもうきたる
よをすくしつつ


なきよわる
まかきの虫も
とめかたき
秋のわかれや
かなしかるらん
なきよわる
まかきのむしも
とめかたき
あきのわかれや
かなしかるらむ


いつかたの
雲ちとしらは
たつねまし
つらはなれけん
雁かゆくへを
いつかたの
くもちとしらは
たつねまし
つらはなれけむ
かりかゆくへを


わするるは
うきよのつねと
おもふにも
みをやるかたの
なきそわひぬる
わするるは
うきよのつねと
おもふにも
みをやるかたの
なきそわひぬる


たかさとの
春のたよりに
うくひすの
霞にとつる
やとをとふらん
たかさとの
はるのたよりに
うくひすの
かすみにとつる
やとをとふらむ


露しけき
よもきかなかの
虫のねを
おほろけにてや
人のたつねん
つゆしけき
よもきかなかの
むしのねを
おほろけにてや
ひとのたつねむ


かすならて
心に身をは
まかせねと
身にしたかふは
心なりけり
かすならて
こころにみをは
まかせねと
みにしたかふは
こころなりけり


いつくとも
身をやるかたの
しられねは
うしとみつつも
なからふるかな
いつくとも
みをやるかたの
しられねは
うしとみつつも
なからふるかな


み芳野は
春のけしきに
かすめども
結ぼゝれたる
雪の下草
みよしのは
はるのけしきに
かすめども
むすぼほれたる
ゆきのしたくさ


めづらしき
光さし添ふ
盃は
もちながらこそ
千世も囘らめ
めづらしき
ひかりさしそふ
さかづきは
もちながらこそ
ちよもめぐらめ


理りの
時雨の空は
雲間あれど
詠むる袖ぞ
かわくよもなき
ことはりの
しぐれのそらは
くもまあれど
ながむるそでぞ
かわくよもなき


菊の露
わかゆばかりに
袖ふれて
花の主人に
千代は讓らむ
きくのつゆ
わかゆばかりに
そでふれて
はなのあるじに
ちよはゆづらむ


たゞならじ
と計叩く
水鷄故
明けてはいかに
悔しからまし
ただならじ
とばかりたたく
くひなゆゑ
あけてはいかに
くやしからまし


槇の戸も
さゝでやすらふ
月影に
何をあかずも
叩く水鷄ぞ
まきのとも
ささでやすらふ
つきかげに
なにをあかずも
たたくくひなぞ


うき寐せし
水の上のみ
戀しくて
鴨の上毛に
さえぞ劣らぬ
うきねせし
みづのうへのみ
こひしくて
かものうはげに
さえぞおとらぬ


覺束な
それかあらぬか
あけ暮の
空おぼれする
朝がほの花
おぼつかな
それかあらぬか
あけくれの
そらおぼれする
あさがほのはな


返りては
思ひしりぬや
岩角に
うきてよりける
岸のあだ波
かへりては
おもひしりぬや
いはつのに
うきてよりける
きしのあだなみ


難波がた
むれたる鳥の
諸共に
立ちゐる物と
思はましかば
なにはがた
むれたるとりの
もろともに
たちゐるものと
おもはましかば


四方の海に
鹽くむ蜑の
心から
やくとは斯る
歎きをやつむ
よものうみに
しほくむあまの
こころから
やくとはかくる
なげきをやつむ


大方を
おもへばゆゝし
天の川
今日の逢ふ瀬は
羨まれけり
おほかたを
おもへばゆゆし
あまのかは
けふのあふせは
うらやまれけり


里の名を
我が身に知れば
山城の
宇治の渡りぞ
最ど住憂き
さとのなを
わがみにしれば
やましろの
うぢのわたりぞ
いとどすみうき


女郎花
さかりの色を
見るからに
露のわきける
身こそつらけれ
をみなへし
さかりのいろを
みるからに
つゆのわきける
みこそつらけれ
И вот –
Увидела цветок патринии,
И знаю я теперь:
Роса способна
Обижать.
Т.е. по сравнению с утренней свежестью цветов сама Мурасаки выглядит поблекшей.
菊の露
わかゆばかりに
袖ふれて
花のあるじに
千代はゆづらむ
きくのつゆ
わかゆばかりに
そでふれて
はなのあるじに
ちよはゆづらむ
Чтобы вернуть
Младые годы, коснулась
Рукавом цветов в росе.
Но уступаю вечность
Владычице цветов.

めづらしき
光さし添ふ
さかづきは
もちながらこそ
千代もめぐらめ
めづらしき
ひかりさしそふ
さかづきは
もちながらこそ
ちよもめぐらめ
Пусть эта чарка,
Что передаём друг другу
Под полною луной,
Искрится дивным светом
И счастье принесет навек.

水鳥を
水の上とや
よそに見む
我れも浮きたる
世を過ぐしつゝ
みづとりを
みづのうへとや
よそにみむ
われもうきたる
よをすぐしつつ
Утки в озере —
Могу ли смотреть на них
Безучастно?
Пересекаю бурлящие воды
Печального мира и я.

ことわりの
時雨の空は
雲間あれど
ながむる袖ぞ
乾く間もなき
ことわりの
しぐれのそらは
くもまあれど
ながむるそでぞ
かはくまもなき
Пришла пора дождей,
И небо покрыли тучи.
Все думы – о тебе,
И рукава не сохнут
Из-за слёз.

いかにいかが
數へやるべき
八千歳の
あまり久しき
君が御代をば
いかにいかが
かぞへやるべき
やちとせの
あまりひさしき
きみがみよをば
Пять десятков дней прошло.
И как могу я сосчитать
Бесчисленные годы,
Что предстоят
Наследнику на троне?

うきねせ
し水の上の
み戀しくて
鴨の上毛に
さえぞおとらぬ
うきねせし
みづのうへのみ
こひしくて
かものうはげに
さえぞおとらぬ
Вспоминаю с любовью
Те ночи во дворце.
Теперь – одинокое ложе,
Холодное, как иней
На крыльях уток в пруду.

年暮れて
我が世ふけゆく
風の音に
心のうちの
すさまじきかな
としくれて
わがよふけゆく
かぜのねに
こころのうちの
すさまじきかな
Год кончается,
И дни мои текут…
В голосе ветра –
Холод, пронзающий
Душу.

人にまだ
折られぬものを
誰れかこの
すきものぞとは
口ならしけむ
ひとにまだ
をられぬものを
たれかこの
すきものぞとは
くちならしけむ
Не тронут плод
Никем.
Так кто же
Смеет молвить:
«Кисловата слива»?

ただならじ
とばかりたゝく
水鷄ゆゑ
あけてはいかに
くやしからまし
ただならじ
とばかりたたく
くひなゆゑ
あけてはいかに
くやしからまし
Только раз услышала я
Голос болотного пастушка.
Открыла б если дверь –
И что ж? Как горько
Было б мне тогда.

めぐりあひて
見しやそれとも
わかぬ間に
雲隠れにし
夜半の月影
めぐりあひて
みしやそれとも
わかぬまに
くもかくれにし
よはのつきかげ


鳴きよわる
まがきの虫も
とめがたき
秋のわかれや
悲しかるらむ
なきよわる
まがきのむしも
とめがたき
あきのわかれや
かなしかるらむ


露しげき
蓬が中の
虫の音を
おぼろけにてや
人のたづねむ
つゆしげき
よもぎがもとの
むしのねを
おぼろけにてや
ひとのたづねむ


おぼつかな
それかあらぬか
明け暗れの
空おぼれする
朝顔の花
おぼつかな
それかあらぬか
あけぐれの
そらおぼれする
あさがほのはな


西へゆく
月のたよりに
玉章の
かき絶えめやは
雲の通ひ路
にしへゆく
つきのたよりに
たまづさの
かきたえめやは
くものかよひぢ


露深く
おく山里の
もみぢ葉に
通へる袖の
色を見せばや
つゆふかく
おくやまざとの
もみぢはに
かよへるそでの
いろをみせばや


ほととぎす
声待つほどは
片岡の
杜のしづくに
立ちや濡れまし
ほととぎす
こゑまつほどは
かたをかの
もりのしづくに
たちやぬれまし


祓戸の
神の飾りの
御幣に
うたてもまがふ
耳はさみかな
はらへどの
かみのあまりの
みてぐらに
うたてもまがふ
みみはさみかな


北へ行く
雁のつばさに
ことづてよ
雲のうはがき
かきたえずして
きたへゆく
かりのつばさに
ことづてよ
くものうはがき
かきたえずして


難波潟
群れたる鳥の
もろともに
たちゐるものと
思はましかば
なにはがた
むれたるとりの
もろともに
たちゐるものと
おもはましかば


あひ見むと
思ふ心は
松浦なる
鏡の神や
空に見るらむ
あひみむと
おもふこころは
まつらなる
かがみのかみや
そらにみるらむ


三尾の海に
網引く民の
ひまもなく
立居につけて
都恋しも
みをのうみに
あみひくたみの
ひまもなく
たちゐにつけて
みやここひしも


知りぬらむ
往来に慣らす
塩津山
世に経る道は
からきものぞと
しりぬらむ
ゆききにならす
しほつやま
よにへるみちは
からきものぞと


ここにかく
日野の杉むら
埋む雪
小塩の松に
今日やまがへる
ここにかく
ひののすぎむら
うずむゆき
をしほのまつに
けふやまがへる


四方の海に
塩やく海人の
心から
やくとはかかる
なげきをやつむ
よものうみに
しほやくあまの
こころから
やくとはかかる
なげきをやつむ


紅の
涙ぞいとど
うとまるる
うつる心の
色に見ゆれば
くれなゐの
なみだぞいとど
うとまるる
うつるこころの
いろにみゆれば


いづ方の
雲路と聞かば
尋ねまし
列離れけむ
雁がゆくへを
いづかたの
くもぢときかば
たづねまし
つらはなれけむ
かりがゆくへを


雲の上も
物思ふ春は
墨染に
霞む空さへ
あはれなるかな
くものうへも
ものおもふはるは
すみぞめに
かすむそらさへ
あはれなるかな


見し人の
煙となりし
夕より
名ぞむつましき
しほがまの浦
みしひとの
けぶりとなりし
ゆふべより
なぞむつましき
しほがまのうら


かへりては
思ひ知りぬや
岩かどに
浮きて寄りける
岸のあだ波
かへりては
おもひしりぬや
いはかどに
うきてよりける
きしのあだなみ


誰が里の
春のたよりに
うぐひすの
霞に閉づる
宿を訪ふらむ
たがさとの
はるのたよりに
うぐひすの
かすみに閉づる
やどをとふらむ


消えぬ間の
身をも知る知る
朝顔の
露とあらそふ
世を嘆くかな
きえぬまの
みをもしるしる
あさがほの
つゆとあらそふ
よをなげくかな


数ならぬ
心に身をば
まかせねど
身にしたがふは
心なりけり
かずならぬ
こころにみをば
まかせねど
みにしたがふは
こころなりけり


心だに
いかなる身にか
かなふらむ
思ひしれども
思ひしられず
こころだに
いかなるみにか
かなふらむ
おもひしれども
おもひしられず


み吉野は
春のけしきに
かすめども
結ぼほれたる
雪の下草
みよしのは
はるのけしきに
かすめども
むすぼほれたる
ゆきのしたくさ


何ごとと
あやめは分かで
けふもなほ
たもとにあまる
ねこそ絶えせね
なにごとと
あやめはわかで
けふもなほ
たもとにあまる
ねこそたえせね


まきの戸も
閉さでやすらふ
月影に
なにをあかずと
たたくくひなぞ
まきのとも
ささでやすらふ
つきかげに
なにをあかずと
たたくくひなぞ


ただならじ
とばかりたたく
くひなゆゑ
あけてばいかに
くやしからまし
ただならじ
とばかりたたく
くひなゆゑ
あけてばいかに
くやしからまし


女郎花
さかりの色を
見るからに
露の分きける
身こそしらるれ
をみなへし
さかりのいろを
みるからに
つゆのわきける
みこそしらるれ


誰が里も
とひもやくると
ほととぎす
心のかぎり
まちぞわびにし
たがさとも
とひもやくると
ほととぎす
こころのかぎり
まちぞわびにし


珍らしき
光さし添ふ
さかづきは
もちながらこそ
千世をめぐらめ
めづらしき
ひかりさしそふ
さかづきは
もちながらこそ
ちよをめぐらめ


曇りなく
千歳に澄める
水の面に
宿れる月の
影ものどけし
くもりなく
ちとせにすめる
みのおもに
やどれるつきの
かげものどけし


いかにいかが
数へやるべき
八千年の
あまり久しき
君が御世をば
いかにいかが
かずへやるべき
やちとせの
あまりひさしき
きみがみよをば


霜枯れの
浅茅にまがふ
ささがにの
いかなるをりに
かくと見ゆらむ
しもかれの
あさぢにまがふ
ささがにの
いかなるをりに
かくとみゆらむ


入る方は
さやかなりける
月影を
うはの空にも
待ちしよひかな
いるかたは
さやかなりける
つきかげを
うはのそらにも
まちしよひかな


大方の
秋のあはれを
思ひやれ
月に心は
あくがれぬとも
おほかたの
あきのあはれを
おもひやれ
つきにこころは
あくがれぬとも


埋木の
下にやつるる
むめの花
香をだに散らせ
雲の上まで
むもれきの
したにやつるる
むめのはな
かをだにちらせ
くものうへまで


九重に
匂ふを見れば
桜狩り
かさねてきたる
春のさかりか
ここのへに
にほふをみれば
さくらかりり
かさねてきたる
はるのさかりか


神代には
ありもやしけん
山ざくら
けふの插頭に
折れるためしは
かみよには
ありもやしけん
やまざくら
けふのかざしに
をれるためしは


しののめの
空霧りわたり
いつしかと
秋のけしきに
世はなりにけり
しののめの
そらきりわたり
いつしかと
あきのけしきに
よはなりにけり


大方に
思へばゆゆし
天の川
今日のあふ瀬は
うらやまれけり
おほかたに
おもへばゆゆし
あまのかは
けふのあふせは
うらやまれけり


なほざりの
たよりにとはむ
ひとことに
うちとけてしも
見えじとぞ思ふ
なほざりの
たよりにとはむ
ひとことに
うちとけてしも
みえじとぞおもふ


菊の露
若ゆばかりに
袖ふれて
花のあるじに
千世はゆづらむ
きくのつゆ
わかゆばかりに
そでふれて
はなのあるじに
ちよはゆづらむ


ことわりの
時雨の空は
雲間あれど
ながむる袖ぞ
かわく世もなき
ことわりの
しぐれのそらは
くもまあれど
ながむるそでぞ
かわくよもなき


浮き寝せし
水の上のみ
恋しくて
鴨の上毛に
さえぞおとらぬ
うきねせし
みづのうへのみ
こひしくて
かものうはげに
さえぞおとらぬ


なにばかり
心づくしに
ながめねど
見しにくれぬる
秋の月影
なにばかり
こころづくしに
ながめねど
みしにくれぬる
あきのつきかげ


ふればかく
うさのみまさる
世を知らで
荒れたる庭に
積る初雪
ふればかく
うさのみまさる
よをしらで
あれたるにはに
つもるはつゆき


いづくとも
身をやる方の
知られねば
うしと見つつも
ながらふるかな
いづくとも
みをやるかたの
しられねば
うしとみつつも
ながらふるかな


暮れぬ間の
身をば思はで
人の世の
あはれをしるぞ
かつは悲しき
くれぬまの
みをばおもはで
ひとのよの
あはれをしるぞ
かつはかなしき


誰か世に
ながらへて見む
書きとめし
跡は消えせぬ
形見なれども
たれかよに
ながらへてみむ
かきとめし
あとはきえせぬ
かたみなれども


くもりなき
空のかゝみと
みるまてに
秋の夜長く
照す月かけ
くもりなき
そらのかかみと
みるまてに
あきのよながく
てらすつきかけ


秋の夜は
山田の庵
いなつまの
ひかりのみこそ
もりあかしけれ
あきのよは
やまだのいほり
いなつまの
ひかりのみこそ
もりあかしけれ


おく山の
松葉にこほる
雪よりも
我身よにふる
程そかなしき
おくやまの
まつはにこほる
ゆきよりも
わがみよにふる
ほどそかなしき


影みても
うき我なみた
落そひて
かことかましき
滝の音かな
かげみても
うきわれなみた
おちそひて
かことかましき
たきのおとかな


紅の
なみたそいとゝ
たのまれぬ
うつる心の
いろとみゆれは
くれなゐの
なみたそいとと
たのまれぬ
うつるこころの
いろとみゆれは


心たに
いかなる身にか
かなふらん
思ひしれとも
思ひしられす
こころたに
いかなるみにか
かなふらん
おもひしれとも
おもひしられす


霜かれの
浅茅にまよふ
さゝかにの
いかなるおりに
かくとみゆらん
しもかれの
あさぢにまよふ
ささかにの
いかなるおりに
かくとみゆらん


ありしよを
夢に見なして
涙さへ
とまらぬ宿そ
かなしかりける
ありしよを
ゆめにみなして
なみださへ
とまらぬやどそ
かなしかりける


しりぬらん
ゆきゝにならす
しほつ山
よにふる道は
からき物そと
しりぬらん
ゆききにならす
しほつやま
よにふるみちは
からきものそと


いかにいかゝ
かそへやるへき
やちとせの
あまり久しき
君かみよをは
いかにいかか
かそへやるへき
やちとせの
あまりひさしき
きみかみよをは


埋木の
したにやつるゝ
梅の花
香をたにちらせ
雲の上まて
むもれぎの
したにやつるる
うめのはな
かをだにちらせ
くものうへまで
О, цветы сливы,
Что увядают,
Снегом покрыты,
Хоть успейте к облакам вознести
Своё благоуханье!
しのゝめの
空きりわたり
いつしかと
秋のけしきに
世は成にけり
しののめの
むなしきりわたり
いつしかと
あきのけしきに
よはなりにけり


さをしかの
しかならはせる
萩なれや
立よるからに
をのれおれふす
さをしかの
しかならはせる
はぎなれや
たちよるからに
をのれおれふす


としくれて
我世ふけゆく
風のをとに
心のうちの
すさましきかな
としくれて
わがよふけゆく
かぜのをとに
こころのうちの
すさましきかな


なをさりの
たよりにとはん
一ことに
打とけてしも
みえしとそ思ふ
なをさりの
たよりにとはん
ひとことに
うちとけてしも
みえしとそおもふ


霜氷
とちたる比の
水茎は
えもかきやらぬ
心ちのみして
しもこほり
とちたるころの
みづぐきは
えもかきやらぬ
ここちのみして


雲のうへの
物思ふ春は
墨染に
かすむ空さへ
あはれなるかな
くものうへの
ものおもふはるは
すみぞめに
かすむそらさへ
あはれなるかな


消ぬまの
身をもしる〳〵
朝かほの
露とあらそふ
世をなけくかな
きえぬまの
みをもしるしる
あしたかほの
つゆとあらそふ
よをなけくかな