うかりける
人をはつせの
山おろしよ
はげしかれとは
祈らぬものを
うかりける
ひとをはつせの
やまおろしよ
はげしかれとは
いのらぬものを
Зыбкое сердце её
Склони ко мне, о благая
Гора Хацусэ.
Но вихрь по склону с вершины
Непрошеный налетел.
Данное стихотворение взято из ант. «Сэндзайсю», 708 («Песни любви», книга вторая).
心あらば
とはましものを
梅の花
たが里よりか
にほひ来つらむ
こころあらば
とはましものを
うめのはな
たがさとよりか
にほひきつらむ
О аромат душистой сливы!
Коль можешь,
Ответь,
Из какого селенья
Принёс тебя ветер?

とをちには
夕立すらし
ひさかたの
天の香具山
雲がくれゆく
とをちには
ゆふだちすらし
ひさかたの
あまのかぐやま
くもがくれゆく
В селении Тооти,
Наверное, льёт дождь:
Гора Небес великих —
Кагуяма
Скрывается за тучами..
* Селение Тооти находилось в провинции Ямато, на территории нынешнего г. Касивара, возле горы Миминаси. Гора Небес великих — Кагуяма — см. коммент. 2.
ふるさとは
散るもみぢ葉に
うづもれて
軒のしのぶに
秋風ぞ吹く
ふるさとは
ちるもみぢはに
うづもれて
のきのしのぶに
あきかぜぞふく
Родной когда-то дом
Засыпан весь
Осеннею листвою.
Даже в бурьяне у крыльца гуляет
Осенний ветер.

日暮るれば
あふ人もなし
正木散る
峰のあらしの
音ばかりして
ひくるれば
あふひともなし
まさきちる
みねのあらしの
おとばかりして
Солнце зашло,
И вокруг — никого,
Лишь слышатся с вершины стоны ветра,
Срывающего листья
С вечного плюща.
* ...с вечного плюща — имеется в виду вечнозелёное вьющееся растение, обычно обвивает стволы хвойных деревьев. Песня сложена от лица отшельника, живущего в горах.
* Намёк на танка Минамото Ёридзанэ из свитка «Разные песни» антологии «Госюисю»:
Вечер... Солнце зашло,
И некого мне ждать
В своём приюте горном.
Лишь стоны ветра
Слышатся вокруг.
君恋ふと
鳴海の浦の
浜ひさぎ
しをれてのみも
年をふるかな
きみこふと
なうみのうらの
はまひさぎ
しをれてのみも
としをふるかな
Гнутся, никнут на взморье
Дубки — от частых приливов.
Вот так и меня иссушила
Любовь безответная
За эти годы.

蘆の屋の
しづはた帯の
片結び
心やすくも
うちとくるかな
あしのやの
しづはたおびの
かたむすび
こころやすくも
うちとくるかな
Как девушка простая
В хижине из тростника
Развязывает с легкостью
Свой домотканый пояс,
Доступной, близкою ты стала для меня.

桜あさの
をふの浦波
立ちかへり
見れどもあかず
山なしの花
さくらあさの
をふのうらなみ
たちかへり
みれどもあかず
やまなしのはな
Белые волны в бухте Оу
То на берег нахлынут, то отступят.
И я — всё прихожу сюда
Цветами горной груши
Любоваться...

海人小舟
とま吹きかへす
浦風に
ひとり明石の
月をこそ見れ
あまをぶね
とまふきかへす
うらかぜに
ひとりあかしの
つきをこそみれ
В челне, под навесом плетеным,
Что ветер едва не сорвал,
Один
Любовался луной
На рассвете...

数ならで
世に住の江の
みをつくし
いつを待つとも
なき身なりけり
かずならで
よにすみのえの
みをつくし
いつをまつとも
なきみなりけり
Не знатен я и одинок,
Словно маяк в заливе Суминоэ.
Страдаю, на щадя себя,
На что мне уповать,
И ждать — чего?

ささがにの
いとかかりける
身のほどを
思へば夢の
心地こそすれ
ささがにの
いとかかりける
みのほどを
おもへばゆめの
ここちこそすれ
Когда о жизни размышляю
О своей,
Непрочной, словно паутинка,
Мне кажется,
Что я во сне...

憂き身には
山田のおしね
おしこめて
世をひたすらに
恨みわびぬる
うきみには
やまだのおしね
おしこめて
よをひたすらに
うらみわびぬる
На горном поле землепашец
В молчанье убирает поздний рис,
А я здесь
Все ропщу на мир
За неудачи и страданья.

はるのくる
あしたのはらを
みわたせは
霞もけふそ
たちはしめける
はるのくる
あしたのはらを
みわたせは
かすみもけふそ
たちはしめける
Если посмотришь
На равнину Асита утром,
Куда пришла весна:
Дымка тумана
Впервые поднялась!
Примерный перевод

煙かと
むろのやしまを
みしほとに
やかても空の
かすみぬるかな
けふりかと
むろのやしまを
みしほとに
やかてもそらの
かすみぬるかな
Вот только что я видел
Восемь островов
В озере Муро,
И словно дым поднялся над водой,
И небеса заволокло туманом...
Перевод: Ирина Александровна Боронина (Синкокинсю)
かすか野の
雪をわかなに
つみそへて
けふさへ袖の
しほれぬるかな
かすかのの
ゆきをわかなに
つみそへて
けふさへそての
しほれぬるかな


むめかえに
心もゆきて
かさなるを
しらてや人の
とへといふらん
うめかえに
こころもゆきて
かさなるを
しらてやひとの
とへといふらむ


むめかかは
おのかかきねを
あくかれて
まやのあたりに
ひまもとむなり
うめかかは
おのかかきねを
あくかれて
まやのあたりに
ひまもとむなり


春くれは
たのむのかりも
いまはとて
かへる雲ちに
おもひたつなり
はるくれは
たのむのかりも
いまはとて
かへるくもちに
おもひたつなり


くれはてぬ
かへさはおくれ
山さくら
たかためにきて
まとふとかしる
くれはてぬ
かへさはおくれ
やまさくら
たかためにきて
まとふとかしる


おほつかな
いつかはるへき
わひ人の
おもふ心や
さみたれの空
おほつかな
いつかはるへき
わひひとの
おもふこころや
さみたれのそら


なとてかく
おもひそめけん
時鳥
ゆきのみやまの
法のすゑかは
なとてかく
おもひそめけむ
ほとときす
ゆきのみやまの
のりのすゑかは


あはれにも
みさをにもゆる
蛍かな
こゑたてつへき
この世とおもふに
あはれにも
みさをにもゆる
ほたるかな
こゑたてつへき
このよとおもふに


あさりせし
水のみさひに
とちられて
ひしのうきはに
かはつなくなり
あさりせし
みつのみさひに
とちられて
ひしのうきはに
かはつなくなり


あきかせや
涙もよほす
つまならむ
おとつれしより
袖のかわかぬ
あきかせや
なみたもよほす
つまならむ
おとつれしより
そてのかわかぬ


七夕の
あまのかはらの
いはまくら
かはしもはてす
あけぬこの夜は
たなはたの
あまのかはらの
いはまくら
かはしもはてす
あけぬこのよは


さまさまに
心そとまる
みやき野の
花のいろいろ
むしのこゑこゑ
さまさまに
こころそとまる
みやきのの
はなのいろいろ
むしのこゑこゑ


秋くれは
やとにとまるを
たひねにて
野へこそつねの
すみかなりけれ
あきくれは
やとにとまるを
たひねにて
のへこそつねの
すみかなりけれ


なにとなく
物そかなしき
すかはらや
ふしみのさとの
秋の夕くれ
なにとなく
ものそかなしき
すかはらや
ふしみのさとの
あきのゆふくれ
Не знаю, почему
Всё так печально
Здесь, в Сугавара,
В селе Фусими
Осенним вечером
Примерный перевод

こからしの
雲ふきはらふ
たかねより
さえても月の
すみのほるかな
こからしの
くもふきはらふ
たかねより
さえてもつきの
すみのほるかな
С высокой вершины,
Зимний ветер с которой
Разогнал облака,
Всходит в небо луна
По уже очень ясному небу.
Примерный перевод

あすもこむ
野ちの玉川
はきこえて
色なる浪に
月やとりけり
あすもこむ
のちのたまかは
はきこえて
いろなるなみに
つきやとりけり


おもひくま
なくてもとしの
へぬるかな
ものいひかはせ
秋のよの月
おもひくま
なくてもとしの
へぬるかな
ものいひかはせ
あきのよのつき


てる月の
たひねのとこや
しもとゆふ
かつらき山の
たに川のみつ
てるつきの
たひねのとこや
しもとゆふ
かつらきやまの
たにかはのみつ


さをしかの
なくねは野へに
きこゆれと
なみたはとこの
物にそ有りける
さをしかの
なくねはのへに
きこゆれと
なみたはとこの
ものにそありける


松かせの
おとたに秋は
さひしきに
衣うつなり
玉川のさと
まつかせの
おとたにあきは
さひしきに
ころもうつなり
たまかはのさと
Когда даже от одного
Звука ветра в соснах
Тоскливо было,
Стали отбивать бельё
В селении Тамагава.
Примерный перевод
* стало ещё более тоскливо
秋の田に
もみちちりける
山さとを
こともおろかに
おもひけるかな
あきのたに
もみちちりける
やまさとを
こともおろかに
おもひけるかな


あけぬとも
なほ秋風は
おとつれて
野へのけしきよ
おもかはりすな
あけぬとも
なほあきかせは
おとつれて
のへのけしきよ
おもかはりすな


いかはかり
あきのなこりを
なかめまし
けさはこのはに
嵐ふかすは
いかはかり
あきのなこりを
なかめまし
けさはこのはに
あらしふかすは


このはのみ
ちるかとおもひし
時雨には
涙もたへぬ
物にそ有りける
このはのみ
ちるかとおもひし
しくれには
なみたもたへぬ
ものにそありける


夕まくれ
山かたつきて
たつ鳥の
はおとにたかを
あはせつるかな
ゆふまくれ
やまかたつきて
たつとりの
はおとにたかを
あはせつるかな


雪ふれは
谷のかけはし
うつもれて
梢そ冬の
山ちなりける
ゆきふれは
たにのかけはし
うつもれて
こすゑそふゆの
やまちなりける


わするなよ
かへる山ちに
あとたえて
日かすは雪の
ふりつもるとも
わするなよ
かへるやまちに
あとたえて
ひかすはゆきの
ふりつもるとも


君かため
みたらし川を
若水に
むすふや千代の
はしめなるらん
きみかため
みたらしかはを
わかみつに
むすふやちよの
はしめなるらむ


神代より
ひさしかれとや
うこきなき
いはねに松の
たねをまきけん
かみよより
ひさしかれとや
うこきなき
いはねにまつの
たねをまきけむ
Давным-давно в века богов
Средь древних,
Неподвижных камней
Было посажено
Семя сосны?..
Примерный перевод

おちたきつ
やそうち川の
はやきせに
いはこす浪は
千代の数かも
おちたきつ
やそうちかはの
はやきせに
いはこすなみは
ちよのかすかも


なにはえの
もにうつもるる
玉かしは
あらはれてたに
人をこひはや
なにはえの
もにうつもるる
たまかしは
あらはれてたに
ひとをこひはや


たちしより
はれすも物を
思ふかな
なき名や野への
霞なるらん
たちしより
はれすもものを
おもふかな
なきなやのへの
かすみなるらむ


うかりける
人をはつせの
山おろしよ
はけしかれとは
いのらぬものを
うかりける
ひとをはつせの
やまおろしよ
はけしかれとは
いのらぬものを
Зыбкое сердце её
Склони ко мне, о благая
Гора Хацусэ.
Но вихрь по склону с вершины
Непрошеный налетел.
Включено в антологию Огура хякунин иссю, 74.

(Перевод по книге «Сто стихотворений ста поэтов»: Старинный изборник японской поэзии VII—XIII вв./ Предисл., перевод со старояп., коммент. В. С. Сановича; Под ред. В. Н. Марковой. — 3-е изд., доп. и перераб. — М.-СПб.: Летний сад; Журнал «Нева», 1998. — 288 с.)
あさてほす
あつまをとめの
かやむしろ
しきしのひても
すくすころかな
あさてほす
あつまをとめの
かやむしろ
しきしのひても
すくすころかな


これをみよ
むつ田のよとに
さてさして
しをれししつの
あさ衣かは
これをみよ
むつたのよとに
さてさして
しをれししつの
あさころもかは


ささめかる
あれ田のさはに
たつたみも
身のためにこそ
袖もぬるらめ
ささめかる
あれたのさはに
たつたみも
みのためにこそ
そてもぬるらめ


よのなかの
ありしにもあらす
なりゆけは
涙さへこそ
色かはりけれ
よのなかの
ありしにもあらす
なりゆけは
なみたさへこそ
いろかはりけれ


ゆくすゑを
おもへはかなし
つの国の
なからのはしも
名はのこりけり
ゆくすゑを
おもへはかなし
つのくにの
なからのはしも
なはのこりけり


しほみては
野しまかさきの
さゆりはに
浪こすかせの
ふかぬ日そなき
しほみては
のしまかさきの
さゆりはに
なみこすかせの
ふかぬひそなき


ま木のとを
み山おろしに
たたかれて
とふにつけても
ぬるる袖かな
まきのとを
みやまおろしに
たたかれて
とふにつけても
ぬるるそてかな


もかみ川
せせのいはかと
わきかへり
おもふこころは
おほかれと
行かたもなく
せかれつつ
そこのみくつと
なることは
もにすむ虫の
われからと
おもひしらすは
なけれとも
いはてはえこそ
なきさなる
かたわれ舟の
うつもれて
ひく人もなき
なけきすと
浪のたちゐに
あふけとも
むなしき空は
みとりにて
いふこともなき
かなしさに
ねをのみなけは
からころも
おさふる袖も
くちはてぬ
なにことにかは
あはれとも
おもはん人に
あふみなる
うちいてのはまの
うちいてつつ
いふともたれか
ささかにの
いかさまにても
かきつかん
ことをはのきに
ふくかせの
はけしきころと
しりなから
うはの空にも
をしふへき
あつさのそまに
みや木ひき
みかきかはらに
せりつみし
むかしをよそに
ききしかと
わか身のうへに
なりはてぬ
さすかに御代の
はしめより
雲のうへには
かよへとも
なにはのことも
久かたの
月のかつらし
をられねは
うけらか花の
さきなから
ひらけぬことの
いふせさに
よもの山へに
あくかれて
このもかのもに
たちましり
うつふしそめの
あさころも
花のたもとに
ぬきかへて
後のよをたにと
おもへとも
おもふ人人
ほたしにて
ゆくへきかたも
まとはれぬ
かかるうき身の
つれもなく
へにける年を
かそふれは
いつつのとをに
なりにけり
いま行すゑは
いなつまの
ひかりのまにも
さためなし
たとへはひとり
なからへて
すきにしはかり
すくすとも
夢にゆめみる
心ちして
ひまゆく駒に
ことならし
さらにもいはし
ふゆかれの
をはなかすゑの
露なれは
あらしをたにも
またすして
もとのしつくと
なりはてん
ほとをはいつと
しりてかは
くれにとたにも
しつむへき
かくのみつねに
あらそひて
なほふるさとに
すみのえの
しほにたたよふ
うつせかひ
うつし心も
うせはてて
あるにもあらぬ
よのなかに
又なにことを
みくまのの
うらのはまゆふ
かさねつつ
うきにたヘたる
ためしには
なるをの松の
つれつれと
いたつらことを
かきつめて
あはれしれらん
行すゑの
人のためには
おのつから
しのはれぬへき
身なれとも
はかなきことも
雲とりの
あやにかなはぬ
くせなれは
これもさこそは
みなしくり
くち葉かしたに
うつもれめ
それにつけても
つのくにの
いく田のもりの
いくたひか
あまのたくなは
くり返し
心にそはぬ
身をうらむらん
もかみかは
せせのいはかと
わきかへり
おもふこころは
おほかれと
ゆくかたもなく
せかれつつ
そこのみくつと
なることは
もにすむむしの
われからと
おもひしらすは
なけれとも
いはてはえこそ
なきさなる
かたわれふねの
うつもれて
ひくひともなき
なけきすと
なみのたちゐに
あふけとも
むなしきそらは
みとりにて
いふこともなき
かなしさに
ねをのみなけは
からころも
おさふるそても
くちはてぬ
なにことにかは
あはれとも
おもはむひとに
あふみなる
うちいてのはまの
うちいてつつ
いふともたれか
ささかにの
いかさまにても
かきつかむ
ことをはのきに
ふくかせの
はけしきころと
しりなから
うはのそらにも
をしふへき
あつさのそまに
みやきひき
みかきかはらに
せりつみし
むかしをよそに
ききしかと
わかみのうへに
なりはてぬ
さかすにみよの
はしめより
くものうへには
かよへとも
なにはのことも
ひさかたの
つきのかつらし
をられねは
うけらかはなの
さきなから
ひらけぬことの
いふせさに
よものやまへに
あくかれて
このもかのもに
たちましり
うつふしそめの
あさころも
はなのたもとに
ぬきかへて
のちのよをたにと
おもへとも
おもふひとひと
ほたしにて
ゆくへきかたも
まとはれぬ
かかるうきみの
つれもなく
へにけるとしを
かそふれは
いつつのとをに
なりにけり
いまゆくすゑは
いなつまの
ひかりのまにも
さためなし
たとへはひとり
なからへて
すきにしはかり
すくすとも
ゆめにゆめみる
ここちして
ひまゆくこまに
ことならし
さらにもいはし
ふゆかれの
をはなかすゑの
つゆなれは
あらしをたにも
またすして
もとのしつくと
なりはてむ
ほとをはいつと
しりてかは
くれにとたにも
しつむへき
かくのみつねに
あらそひて
なほふるさとに
すみのえの
しほにたたよふ
うつせかひ
うつしこころも
うせはてて
あるにもあらぬ
よのなかに
またなにことを
みくまのの
うらのはまゆふ
かさねつつ
うきにたへたる
ためしには
なるをのまつの
つれつれと
いたつらことを
かきつめて
あはれしれらむ
ゆくすゑの
ひとのためには
おのつから
しのはれぬへき
みなれとも
はかなきことも
くもとりの
あやにかなはぬ
くせなれは
これもさこそは
みなしくり
くちはかしたに
うつもれめ
それにつけても
つのくにの
いくたのもりの
いくたひか
あまのたくなは
くりかへし
こころにそはぬ
みをうらむらむ


よのなかは
うき身にそへる
かけなれや
おもひすつれと
はなれさりけり
よのなかは
うきみにそへる
かけなれや
おもひすつれと
はなれさりけり


かきたえし
ままのつきはし
ふみみれは
へたてたる
かすみもはれて
むかへるかこと
かきたえし
ままのつきはし
ふみみれは
へたてたる
かすみもはれて
むかへるかこと


わかこまを
しはしとかるか
やましろの
こはたのさとに
ありとこたへよ
わかこまを
しはしとかるか
やましろの
こはたのさとに
ありとこたへよ


みくら山
ま木のやたてて
すむたみは
としをつむとも
くちしとそ思ふ
みくらやま
まきのやたてて
すむたみは
としをつむとも
くちしとそおもふ


よとともに
心をかけて
たのめとも
われからかみの
かたきしるしか
よとともに
こころをかけて
たのめとも
われからかみの
かたきしるしか


うの花よ
いてことことし
かけしまの
浪もさこそは
いはをこえしか
うのはなよ
いてことことし
かけしまの
なみもさこそは
いはをこえしか


したひくる
恋のやつこの
たひにても
身のくせなれや
ゆふととろきは
したひくる
こひのやつこの
たひにても
みのくせなれや
ゆふととろきは


かみにおける
もしはまことの
もしなれは
うたもよみちを
たすけさらめや
かみにおける
もしはまことの
もしなれは
うたもよみちを
たすけさらめや


わひ人の
心のうちを
よそなから
しるやさとりの
ひかりなるらん
わひひとの
こころのうちを
よそなから
しるやさとりの
ひかりなるらむ


白川の
春のこずゑを
見渡せば
松こそ花の
たえまなりけれ
しらかはの
はるのこずゑを
みわたせば
まつこそはなの
たえまなりけれ
На реке Сиракава,
Посмотришь на верхушки
Деревьев весной, —
Сосны меж
Сакуры цветов!
Примерный перевод

掃く人も
なき古里の
庭の面は
花散りて社
見るべかりけれ
はくひとも
なきふるさとの
にはのおもは
はなちりてこそ
みるべかりけれ


雪の色を
盗みてさける
卯の花は
さえてや人に
疑はるらむ
ゆきのいろを
ぬすみてさける
うのはなは
さえてやひとに
うたがはるらむ
У снега
Украв цвет, расцвели
Цветы унохана,
И заставляют сомневаться,
Не холодны ли они?
Примерный перевод

なきつとも
誰にかいはむ
郭公
影より外に
ひとしなければ
なきつとも
たれにかいはむ
ほととぎす
かげよりほかに
ひとしなければ


名殘なく
時雨の空は
晴れぬれど
またふる物は
木の葉也鳬
なごりなく
しぐれのそらは
はれぬれど
またふるものは
このはなりけり
Без остатка
Очистилось небо, откуда
Дождь лил,
Теперь же опадать будут
Листья с деревьев.
Примерный перевод

喜びを
くはへて急ぐ
旅なれば
思へどえこそ
止めざりけれ
よろこびを
くはへていそぐ
たびなれば
おもへどえこそ
とどめざりけれ


須磨の浦に
やく鹽がまの
烟こそ
春に志られぬ
霞なりけれ
すまのうらに
やくしほがまの
けぶりこそ
はるにしられぬ
かすみなりけれ
В бухте Сума
На побережье, где жгут соль,
Дым от костров, —
Весне неведомая
Весенняя дымка.
Примерный перевод

並立てる
松の志づ枝を
くもでにて
かすみ渡れる
天の橋立
ならたてる
まつのしづえだを
くもでにて
かすみわたれる
あめのはしたち


芦火たく
まやの栖處は
世中を
あくがれ出づる
門出なり鳬
あしびたく
まやのすみかは
よのなかを
あくがれいづる
かどいでなりけり


賤女が
ゑぐ摘む澤の
薄氷
いつまでふべき
我身なるらむ
しづのめが
ゑぐつむさはの
うすこほり
いつまでふべき
わがみなるらむ


春雨は
ふり志むれども
鶯の
聲は萎れぬ
ものにぞありける
はるさめは
ふりしむれども
うぐひすの
こゑはしほれぬ
ものにぞありける
Как бы весенний дождь
Не лил, проникая всюду,
Голос соловья
Не вымок всё же,
Всё так же звонко он поёт!
Примерный перевод
* не вымок / не унывает
山ざくら
咲きそめしより
久方の
雲居にみゆる
瀧のしら糸
やまざくら
さきそめしより
ひさかたの
くもゐにみゆる
たきのしらいと
Окрасились больше, чем
Горная сакура,
В колодце облаков
На извечной тверди небес
Белые нити водопада.
Примерный перевод

梢には
吹くとも見えで
櫻花
かをるぞ風の
しるしなりける
こずゑには
ふくともみえで
さくらばな
かをるぞかぜの
しるしなりける
В ветвях дует,
Но не виден.
Лепестков сакуры
Аромат — как знак того,
Что ветер есть.
Примерный перевод

歸る春
卯月の忌みに
さしこめて
暫しみあれの
程迄も來む
かへるはる
うづきのいみに
さしこめて
しばしみあれの
ほどまでもこむ


まちかねて
尋ねざりせは
郭公
たれとか山の
かひに鳴かまし
まちかねて
たづねざりせば
ほととぎす
たれとかやまの
かひになかまし
Если б не прилетела та,
Кого уж никак не дождаться,
Кукушка,
Кто бы тогда звучал
В горном ущелье?
Примерный перевод
[2]
風吹けば
蓮の浮葉に
玉こえて
凉しくなりぬ
ひぐらしの聲
かぜふけば
はすのうきばに
たまこえて
すずしくなりぬ
ひぐらしのこゑ
Лишь подует ветер,
На листьях плавающих лотоса
Бегают капли.
Холоднее становится,
И звучат сверчков голоса.
Примерный перевод

この里も
夕立志けり
淺茅生に
露のすがらぬ
草のはもなし
このさとも
ゆふだちしけり
あさぢうに
つゆのすがらぬ
くさのはもなし
И в этом селении тоже,
После ливня
В зарослях асадзи
Нет ни единой травинки
Без капли росы...
Примерный перевод
Хотя это не роса
歸るさは
あさ瀬も志らじ
天の河
あかぬ涙に
水しまさらば
かへるさは
あさせもしらじ
あまのかは
あかぬなみだに
みづしまさらば
Возвращение...
И в небесной реке,
Где мелей и так нет,
От слёз безустанных
Воды прибавится...
Примерный перевод

すみのぼる
心や空を
拂ふらむ
雲のちりゐぬ
あきの夜の月
すみのぼる
こころやそらを
はらふらむ
くものちりゐぬ
あきのよのつき
Не от сердца
Взлетевшего в ясную высь
Расчистилось небо?
В небесах, откуда ушли все облака
Луна осенней ночи.
Примерный перевод

山のはに
雲の衣を
ぬぎ捨てゝ
ひとりも月の
立ち昇るかな
やまのはに
くものころもを
ぬぎすてて
ひとりもつきの
たちのぼるかな
Снялось одеянье
Облаков, покрывших
Пики гор,
И лишь одна луна
Восходит над ними!
Примерный перевод

村雲や
月のくまをば
のごふらむ
晴れゆくたびに
照増る哉
むらくもや
つきのくまをば
のごふらむ
はれゆくたびに
てりまさるかな
Не о густые облака
Углами своими
Трётся луна?
Каждый раз, как проясняется,
Светит всё ярче и ярче!
Примерный перевод

嵐をや
葉守の神も
たゝるらむ
月に紅葉の
たむけしてけり
あらしをや
はもりのかみも
たたるらむ
つきにもみぢの
たむけしてけり
Не бурей ли
И бог-хранитель листьев
Был поражён?
Осеннюю листву
Пожертвовал луне...
Примерный перевод

うづらなく
眞野の入江の
濱風に
尾花なみよる
秋の夕ぐれ
うづらなく
まののいりえの
はまかぜに
をばななみよる
あきのゆふぐれ
В заливе Мано,
Где плачет птица удзура,
С прибрежным ветром
Набегают волны мисканта.
Осенний вечер.
Примерный перевод

音羽山
もみぢ散るらし
あふさかの
關の小川に
錦おりかく
おとはやま
もみぢちるらし
あふさかの
せきのをがはに
にしきおりかく
Не то на Отова-горе
Осенняя листва опала:
Речушка
У Заставы Встреч
Парчой выткана!
Примерный перевод

草の葉に
儚くきゆる
露をしも
形見におきて
秋の行くらむ
くさのはに
はかなくきゆる
つゆをしも
かたみにおきて
あきのゆくらむ
На листах травы
Недолговечную
Росу жалея,
На память оставив,
Осень ушла!
Примерный перевод

立田川
志がらみかけて
神なびの
み室の山の
紅葉をぞみる
たつたかは
しがらみかけて
かむなびの
みむろのやまの
もみぢをぞみる
На реке Тацута
Воздвигла плотины
Священной
Мимуро-горы
Осенняя листва!
Примерный перевод

はし鷹を
とりかふ澤に
影みれば
我身も共に
とや返りけり
はしたかを
とりかふさはに
かげみれば
わがみもともに
とやかへりけり


衣手の
さえゆくまゝに
志もとゆふ
葛城山に
雪はふりつゝ
ころもでの
さえゆくままに
しもとゆふ
かづらきやまに
ゆきはふりつつ
На рукав,
Что и так холоден
Намерзает иней:
На горе Кацураки
Идёт и идёт снег!
Примерный перевод

君が代は
松の上葉に
おく露の
積りて四方の
海となるまで
きみがよは
まつのうはばに
おくつゆの
つもりてよもの
うみとなるまで


曇りなく
豐さかのぼる
朝日には
君ぞつかへむ
萬代までに
くもりなく
とよさかのぼる
あさひには
きみぞつかへむ
よろづよまでに


我戀は
おぼろの清水
いはでのみ
せき遣る方も
無て暮しつ
わがこひは
おぼろのしみづ
いはでのみ
せきやるかたも
なきてくらしつ


よとともに
玉ちる床の
すが枕
見せばや人に
夜のけしきを
よとともに
たまちるとこの
すがまくら
みせばやひとに
よるのけしきを


いつとなく
戀に焦るゝ
我身より
たつや淺間の
煙なるらむ
いつとなく
こひにこかるる
わがみより
たつやあさまの
けぶりなるらむ


おもひ草
葉末に結ぶ
白露の
たま〳〵きては
手にも溜らず
おもひくさ
はすゑにむすぶ
しらつゆの
たまたまきては
てにもたまらず
Как капельки росы,
Замёрзшие на кончиках листьев
Травы-тоски,
Так редко приходишь —
В руках не удержать...
Примерный перевод

忘草
志げれる宿を
きてみれば
思の木より
おふるなりけり
わすれくさ
しげれるやどを
きてみれば
おもひのきより
おふるなりけり


勿來といふ
事をば君が
言草を
關の名ぞとも
思ひけるかな
なこそといふ
ことをばきみが
ことくさを
せきのなぞとも
おもひけるかな


淺ましや
こは何事の
樣ぞとよ
戀せよとても
生れざりけり
あさましや
こはなにことの
さまぞとよ
こひせよとても
うまれざりけり


怪しきも
嬉しかり鳬
卑しむる
其言の葉に
かゝると思へば
あやしきも
うれしかりけり
いやしむる
このことのはに
かかるとおもへば


いく返り
花咲きぬらむ
住吉の
松も神代の
ものとこそきけ
いくかへり
はなさきぬらむ
すみよしの
まつもかみよの
ものとこそきけ


さりともと
かく眉墨の
いたづらに
心細くも
老いにける哉
さりともと
かくまゆすみの
いたづらに
こころぼそくも
をいにけるかな


世中は
憂身にそへる
影なれや
思ひ捨つれど
離れざりけり
よのなかは
うきみにそへる
かげなれや
おもひすつれど
はなれざりけり


日の光
あまねき空の
けしきにも
わが身一つは
雲隱れつゝ
ひのひかり
あまねきそらの
けしきにも
わがみひとつは
くもかくれつつ


せきもあへぬ
涙の川は
早けれど
身のうき草は
流れざり鳬
せきもあへぬ
なみだのかはは
はやけれど
みのうきくさは
ながれざりけり


よもの海の
波に漂ふ
水屑をも
七重の綱に
ひきなもらしそ
よものうみの
なみにただよふ
みくづをも
ななよのなはに
ひきなもらしそ


阿彌陀佛と
唱ふる聲を
楫にてや
苦しき海を
漕ぎ離るらむ
あみたふと
となふるこゑを
かちにてや
くるしきうみを
こぎはなるらむ


春ぞとは
霞みに志るし
鶯は
花のありかを
そことつげなむ
はるぞとは
かすみにしるし
うぐひすは
はなのありかを
そことつげなむ


やよや又
きなけみ空の
時鳥
五月だにこそ
をちかへりつれ
やよやまた
きなけみそらの
ほととぎす
さつきだにこそ
をちかへりつれ


やまざとは
冬こそことに
かなしけれ
峯吹きまよふ
木がらしの
戸ぼそを叩く
こゑ聞けば
やすき夢だに
むすばれず
時雨とともに
かたをかの
正木のかづら
ちりにけり
今はわが身の
なげきをば
何につけてか
なぐさめむ
雪だにふりて
しもがれの
草葉のうへに
つもらなむ
其につけてや
あさゆふに
わがまつ人の
われを待つらむ
やまざとは
ふゆこそことに
かなしけれ
みねふきまよふ
こがらしの
とぼそをたたく
こゑきけば
やすきゆめだに
むすばれず
しぐれとともに
かたをかの
まさきのかづら
ちりにけり
いまはわがみの
なげきをば
なににつけてか
なぐさめむ
ゆきだにふりて
しもがれの
くさばのうへに
つもらなむ
それにつけてや
あさゆふに
わがまつひとの
われをまつらむ


鶯の
來鳴かざりせば
山里に
誰れとかはるの
日を暮さまし
うぐひすの
来なかざりせば
やまざとに
たれとかはるの
ひをくらさまし


子規
音羽の山に
聞きつとは
まづあふ坂の
ひとにかたらむ
ほととぎす
おとはのやまに
ききつとは
まづあふさかの
ひとにかたらむ


さらでだに
乾かぬ袖ぞ
清見潟
志ばしなかけそ
波の關もり
さらでだに
かはかぬそでぞ
きよみかた
しばしなかけそ
なみのせきもり


大空を
御法の風や
拂ふらむ
雲がくれにし
つきを見るかな
おほそらを
みのりのかぜや
はらふらむ
くもがくれにし
つきをみるかな


春霞
たなびく濱は
みつしほに
磯こす波の
おとのみぞする
はるかすみ
たなびくはまは
みつしほに
いそこすなみの
おとのみぞする
Весенний туман
Тянется по побережью,
И в приливе
Лишь слышен шум
Набегающих волн.
Примерный перевод

いつしかと
今朝は氷も
解けにけり
爭で汀に
春を知るらむ
いつしかと
けさはこほりも
とけにけり
いかでみぎはに
はるをしるらむ
Внезапно
Этим утром и лёд
Растаял,
Как иначе б на побережье
О весне бы узнали?
Примерный перевод

庭もせに
ひきつらなれる
もろ人の
たちゐるけふや
千世の初春
にはもせに
ひきつらなれる
もろひとの
たちゐるけふや
ちよのはつはる


吹く風を
厭ひてのみも
過すかな
花見ぬ年の
春しなければ
ふくかぜを
いとひてのみも
すごすかな
はなみぬとしの
はるしなければ


春日野の
雪の村消
かき分けて
誰が爲つめる
若菜なるらむ
かすがのの
ゆきのむらきえ
かきわけて
たがためつめる
わかななるらむ


紅の
梅が枝に鳴く
鶯は
こゑのいろさへ
ことにぞ有りける
くれなゐの
うめがえになく
うぐひすは
こゑのいろさへ
ことにぞありける


めぐむより
氣色ことなる
花なれば
兼ねても枝の
懷かしき哉
めぐむより
けしきことなる
はななれば
かねてもえだの
なつかしきかな


留らむ
事こそ春の
難からめ
行くへをだにも
知せましかば
とどまらむ
ことこそはるの
かたからめ
ゆくへをだにも
しらせましかば


時鳥
待つ夜の數は
かさなれど
聲は積らぬ
物にぞありける
ほととぎす
まつよのかずは
かさなれど
こゑはつもらぬ
ものにぞありける


我心
ゆきげの空に
通ふとも
知らざりけりな
跡しなければ
わがこころ
ゆきげのそらに
かよふとも
しらざりけりな
あとしなければ


侘びつゝは
頼めだにせよ
戀死なむ
後の世迄も
慰めにせむ
わびつつは
たのめだにせよ
こひしなむ
のちのよまでも
なぐさめにせむ


戀しさに
身の憂き事も
忘るれば
つらきも人は
嬉しかりけり
こひしさに
みのうきことも
わするれば
つらきもひとは
うれしかりけり


炭がまの
烟ならねど
世の中を
心ぼそくも
おもひ立つかな
すみがまの
けぶりならねど
よのなかを
こころぼそくも
おもひたつかな


いかにせむ
灰の下なる
埋火の
埋れてのみ
消えぬべき身を



つく〴〵と
思へば悲し
數ならぬ
身を知る雨よ
をやみだにせよ
つくづくと
おもへばかなし
かずならぬ
みをしるあめよ
をやみだにせよ


大よどの
濱の眞砂を
君が代の
數にとれとや
波もよすらむ
おほよどの
はまのまさごを
きみがよの
かずにとれとや
なみもよすらむ


立ち歸る
心ぞつらき
櫻花
散るをば見じと
おもひしものを
たちかへる
こころぞつらき
さくらばな
ちるをばみじと
おもひしものを


大井川
みなわさかまく
岩淵に
たゝむ筏の
すぎがたの世や
おほゐかは
みなわさかまく
いはふちに
たたむいかだの
すぎがたのよや


恨むとは
知らでや鹿の
しきりには
萩のはひえを
柵にする
うらむとは
しらでやしかの
しきりには
はぎのはひえを
しがらみにする

うししばし — займи быка ненадолго
立ちかへる
春の志るしは
霞しく
音羽の山の
雪のむらぎえ
たちかへる
はるのしるしは
かすみしく
おとはのやまの
ゆきのむらぎえ


櫻花
咲きぬる時は
三吉野の
山のかひより
なみぞ越えける
さくらばな
さきぬるときは
みよしのの
やまのかひより
なみぞこえける

* Почти такое же, как и Кокинсю, 59
住吉の
千木の片そぎ
行きも逢はで
霜置き迷ふ
冬は來に鳬
すみよしの
ちぎのかたそぎ
ゆきもあはで
しもおきまよふ
ふゆはきにけり


谷ふかみ
水かけ草の
下露や
しられぬ恋の
涙成らん
たにふかみ
みづかけくさの
したつゆや
しられぬこひの
なみだなるらん


ありし世を
昔かたりに
なしはてゝ
かたふく月を
友と見るかな
ありしよを
むかしかたりに
なしはてて
かたふくつきを
ともとみるかな


いほ崎の
こぬみの浜の
うつせ貝
もにうつもれて
いく世へぬらん
いほさきの
こぬみのはまの
うつせかひ
もにうつもれて
いくよへぬらん


心あらは
風もや人を
うらみまし
おるは桜の
おしからぬかは
こころあらは
かぜもやひとを
うらみまし
おるはさくらの
おしからぬかは


桜たに
ちり残らはと
いひしかと
花みてしもそ
春は恋しき
さくらたに
ちりのこらはと
いひしかと
はなみてしもそ
はるはこひしき


秋はきの
下はに月の
やとらすは
あけてや露の
数をしらまし
あきはきの
したはにつきの
やとらすは
あけてやつゆの
かずをしらまし


おほつかな
いかなるむかし
さえそめて
こよひの月の
名をのこしけん
おほつかな
いかなるむかし
さえそめて
こよひのつきの
なをのこしけん


なにしかも
名を頼みけん
相坂の
関にてしもそ
人にわかるゝ
なにしかも
なをたのみけん
あふさかの
せきにてしもそ
ひとにわかるる


つらしとも
思ひなさすは
夏衣
たゝひとへにや
恋しからまし
つらしとも
おもひなさすは
なつころも
たたひとへにや
こひしからまし


みそきして
衣をとこそ
思ひしか
なみたをさへも
なかしつる哉
みそきして
ころもをとこそ
おもひしか
なみたをさへも
なかしつるかな


をとせぬは
待人からか
ほとゝきす
たれをしへけん
数ならぬ身を
をとせぬは
まつひとからか
ほとときす
たれをしへけん
かずならぬみを


山姫の
嶺のこすゑに
引かけて
さらせるぬのや
滝のしら波
やまひめの
みねのこすゑに
ひきかけて
さらせるぬのや
たきのしらなみ


いにしへの
面かけをさへ
さしそへて
しのひかたくも
すめる月かな
いにしへの
おもかけをさへ
さしそへて
しのひかたくも
すめるつきかな


とへかしな
玉くしの葉に
みかくれて
鵙の草くき
めちならすとも
とへかしな
たまくしのはに
みかくれて
もすのくさくき
めちならすとも


くれ竹の
うきふししけく
成にけり
さのみはよもと
思ひし物を
くれたけの
うきふししけく
なりにけり
さのみはよもと
おもひしものを


日くるれは
竹のそのふに
ゐる鳥の
そこはかとなく
音をも鳴哉
ひくるれは
たけのそのふに
ゐるとりの
そこはかとなく
ねをもなくかな


世中の
そむきかたさに
身のほとを
思ひしらすと
人に見えぬる
よのなかの
そむきかたさに
みのほとを
おもひしらすと
ひとにみえぬる


雪消ぬ
ふしの煙と
見えつるは
霞にむかふ
さくらなりけり
ゆききえぬ
ふしのけぶりと
みえつるは
かすみにむかふ
さくらなりけり


此ころは
御舟の山に
たつ鹿の
声をほにあけて
なかぬ日そなき
このころは
みふねのやまに
たつしかの
こゑをほにあけて
なかぬひそなき


いつしかと
霞みにけりな
塩竈の
浦ゆく舟の
見えまかふまて
いつしかと
かすみにけりな
しほがまの
うらゆくふねの
みえまかふまて


七夕の
かへる袂の
しつくには
天の河波
たちやそふらん
たなばたの
かへるたもとの
しつくには
あまのかはなみ
たちやそふらん


となせより
なかす錦は
大井河
筏につめる
木葉なりけり
となせより
なかすにしきは
おほゐかは
いかだにつめる
このはなりけり


松陰の
うつれる宿の
池なれは
水のみとりも
千世やすむへき
まつかげの
うつれるやどの
いけなれは
みづのみとりも
ちよやすむへき


草枕
さゝかきうすき
あしのやは
所せきまて
袖そ露けき
くさまくら
ささかきうすき
あしのやは
ところせきまて
そでそつゆけき


あらぬよに
ふる心ちして
かなしきに
又年をさへ
へたてつる哉
あらぬよに
ふるここちして
かなしきに
またとしをさへ
へたてつるかな


たれとかは
わきてもいはん
我ために
うらめしからぬ
人しなけれは
たれとかは
わきてもいはん
わがために
うらめしからぬ
ひとしなけれは