しきしまの
やまとしまねの
朝霞
もろこしまでも
春はたつらし
しきしまの
やまとしまねの
あさがすみ
もろこしまでも
はるはたつらし


かみよより
かはらぬ春の
しるしとて
かすみわたれる
天のうきはし
かみよより
かはらぬはるの
しるしとて
かすみわたれる
あまのうきはし


色も香も
かさねて匂へ
梅の花
ここのへになる
やどのしるしに
いろもかも
かさねてにほへ
うめのはな
ここのへになる
やどのしるしに


見てもなほ
おくぞゆかしき
芦垣の
吉野の山の
花のさかりは
みてもなほ
おくぞゆかしき
あしかきの
よしののやまの
はなのさかりは


むらさきの
藤江の岸の
松がえに
よせてかへらぬ
浪ぞかかれる
むらさきの
ふぢえのきしの
まつがえに
よせてかへらぬ
なみぞかかれる


里なれて
今ぞなくなる
ほととぎす
さつきを人は
まつべかりけり
さとなれて
いまぞなくなる
ほととぎす
さつきをひとは
まつべかりけり


足引の
山田のさなへ
とり〳〵に
民のしわさは
にきはひにけり
あしびきの
やまだのさなへ
とりとりに
たみのしわさは
にきはひにけり


かつらきの
神ならねとも
天河
あくるわひしき
かさゝきのはし
かつらきの
かみならねとも
あまのがは
あくるわひしき
かささきのはし


雪とのみ
ふるからをのゝ
さくら花
猶木のもとは
忘れさりけり
ゆきとのみ
ふるからをのの
さくらはな
なほこのもとは
わすれさりけり


かたふけは
山陰くらき
大井河
月にもくたす
鵜舟也けり
かたふけは
やまかげくらき
おほゐかは
つきにもくたす
うふねなりけり


玉鉾の
道ならなくに
はる〳〵と
よりてそみつる
青柳の糸
たまほこの
みちならなくに
はるばると
よりてぞみつる
あをやぎのいと


白露も
こほれて匂ふ
高円の
野への秋はき
今さかりなり
しらつゆも
こほれてにほふ
たかまとの
のへのあきはき
いまさかりなり


吹過る
ひはらの山の
木からしに
きゝもわかれぬ
村しくれかな
ふきすぐる
ひはらのやまの
こからしに
ききもわかれぬ
むらしくれかな


此夕へ
塩みちくらし
難波かた
あしへの千鳥
声さはくなり
このゆふべ
しほみちくらし
なにはがた
あしべのちどり
こゑさはぐなり


行水に
うかふ木葉の
ひまをなみ
こほらぬうへも
つもる白雪
ゆくみづに
うかふこのはの
ひまをなみ
こほらぬうへも
つもるしらゆき


吹風も
おさまりにける
君か世の
千とせの数は
けふそかそふる
ふくかぜも
おさまりにける
きみかよの
ちとせのかずは
けふそかそふる


三代まてに
いにしへ今の
名もふりぬ
光をみかけ
玉津島姫
みよまてに
いにしへいまの
なもふりぬ
ひかりをみかけ
たまつしまひめ


いく里か
あらしにつけて
聞ゆらん
わかすむ寺の
入相の鐘
いくさとか
あらしにつけて
きこゆらん
わかすむてらの
いりあひのかね


此君の
御世かしこしと
呉竹の
すゑ〳〵まても
いかていはれん
このきみの
みよかしこしと
くれたけの
すゑすゑまても
いかていはれん


さゝかにの
くものふるまひ
哀なり
是も心の
すちはみえつゝ
ささかにの
くものふるまひ
あはれなり
これもこころの
すちはみえつつ