昔より
阿弥陀ほとけの
ちかひにて
煮ゆるものをば
すくふとぞ知る
むかしより
あみだほとけの
ちかひにて
にゆるものをば
すくふとぞしる


たひのいは
やなきとこにも
ねられけり
草の枕に
つゆはおけとも
たひのいは
やなきとこにも
ねられけり
くさのまくらに
つゆはおけとも


なくこゑは
あまたすれとも
鴬に
まさるとりのは
なくこそ有りけれ
なくこゑは
あまたすれとも
うくひすに
まさるとりのは
なくこそありけれ


あたなりと
ひともときくる
のへしもそ
花のあたりを
すきかてにする
あたなりと
ひともときくる
ものしもそ
はなのあたりを
すきかてにする


鴬の
すはうこけとも
ぬしもなし
風にまかせて
いつちいぬらん
うくひすの
すはうこけとも
ぬしもなし
かせにまかせて
いつちいぬらむ


ふるみちに
我やまとはむ
いにしへの
野中の草は
しけりあひにけり
ふるみちに
われやまとはむ
いにしへの
のなかのくさは
しけりあひにけり


すみよしの
をかの松かさ
さしつれは
雨はふるとも
いなみのはきし
すみよしの
をかのまつかさ
さしつれは
あめはふるとも
いなみのはきし


白浪の
うちかくるすの
かわかぬに
わかたもとこそ
おとらさりけれ
しらなみの
うちかくるすの
かわかぬに
わかたもとこそ
おとらさりけれ


水もなく
舟もかよはぬ
このしまに
いかてかあまの
なまめかるらん
みつもなく
ふねもかよはぬ
このしまに
いかてかあまの
なまめかるらむ


くきもはも
みな緑なる
ふかせりは
あらふねのみや
しろく見ゆらん
くきもはも
みなみとりなる
ふかせりは
あらふねのみや
しろくみゆらむ


いかりゐの
いしをくくみて
かみこしは
きさのきにこそ
おとらさりけれ
いかりゐの
いしをくくみて
かみこしは
きさのきにこそ
おとらさりけれ


心さし
ふかき時には
そこのもも
かつきいてぬる
物にそ有りける
こころさし
ふかきときには
そこのもも
かつきいてぬる
ものにそありける


いにしへは
おこれりしかと
わひぬれは
とねりかきぬも
今はきつへし
いにしへは
おこれりしかと
わひぬれは
とねりかきぬも
いまはきつへし


池をはり
こめたる水の
おほかれは
いひのくちより
あまるなるへし
いけをはり
こめたるみつの
おほかれは
いひのくちより
あまるなるへし


あしひきの
山した水に
ぬれにけり
その火まつたけ
衣あふらん
あしひきの
やましたみつに
ぬれにけり
そのひまつたけ
ころもあふらむ


いとへとも
つらきかたみを
見る時は
まつたけからぬ
ねこそなかるれ
いとへとも
つらきかたみを
みるときは
まつたけからぬ
ねこそなかるれ


山たかみ
花の色をも
見るへきに
にくくたちぬる
春かすみかな
やまたかみ
はなのいろをも
みるへきに
にくくたちぬる
はるかすみかな


野を見れは
春めきにけり
あをつつら
こにやくままし
わかなつむへく
のをみれは
はるめきにけり
あをつつら
こにやくままし
わかなつむへく


河きしの
をとりおるへき
所あらは
うきにしにせぬ
身はなけてまし
かはきしの
をとりおるへき
ところあらは
うきにしにせぬ
みはなけてまし


もみちはに
衣の色は
しみにけり
秋のやまから
めくりこしまに
もみちはに
ころものいろは
しみにけり
あきのやまから
めくりこしまに


なにとかや
くきのすかたは
おもほえて
あやしく花の
名こそわするれ
なにとかや
くきのすかたは
おもほえて
あやしくはなの
なこそわするれ


なにはつは
くらめにのみそ
舟はつく
朝の風の
さためなけれは
なにはつは
くらめにのみそ
ふねはつく
あしたのかせの
さためなけれは


あしきぬは
さけからみてそ
人はきる
ひろやたらぬと
思ふなるへし
あしきぬは
さけからみてそ
ひとはきる
ひろやたらぬと
おもふなるへし


雲まよひ
ほしのあゆくと
見えつるは
蛍のそらに
とふにそ有りける
くもまよひ
ほしのあゆくと
みえつるは
ほたるのそらに
とふにそありける


はしたかの
をきゑにせんと
かまへたる
おしあゆかすな
ねすみとるへく
はしたかの
をきゑにせむと
かまへたる
おしあゆかすな
ねすみとるへく


わきもこか
身をすてしより
さるさはの
池のつつみや
きみはこひしき
わきもこか
みをすてしより
さるさはの
いけのつつみや
きみはこひしき


思ふとち
ところもかへす
すみへなん
たちはなれなは
こひしかるへし
おもふとち
ところもかへす
すみへなむ
たちはなれなは
こひしかるへし


あしひきの
山のこのはの
おちくちは
いろのをしきそ
あはれなりける
あしひきの
やまのこのはの
おちくちは
いろのをしきそ
あはれなりける


たかかひの
またもこなくに
つなきいぬの
はなれていかむ
なくるまつほと
たかかひの
またもこなくに
つなきいぬの
はなれてゆかむ
なくるまつほと


年をへて
君をのみこそ
ねすみつれ
ことはらにやは
こをはうむへき
としをへて
きみをのみこそ
ねすみつれ
ことはらにやは
こをはうむへき


久方の
つきのきぬをは
きたれとも
ひかりはそはぬ
わか身なりけり
ひさかたの
つきのきぬをは
きたれとも
ひかりはそはぬ
わかみなりけり


世とともに
しほやくあまの
たえせねは
なきさのきのは
こかれてそちる
よとともに
しほやくあまの
たえせねは
なきさのきのは
こかれてそちる


鴬の
なかむしろには
我そなく
花のにほひや
しはしとまると
うくひすの
なかむしろには
われそなく
はなのにほひや
しはしとまると


そこへうの
かは浪わけて
いりぬるか
まつほとすきて
見えすもあるかな
そこへうの
かはなみわけて
いりぬるか
まつほとすきて
みえすもあるかな


かのかはの
むかはきすきて
ふかからは
わたらてたたに
かへるはかりそ
かのかはの
むかはきすきて
ふかからは
わたらてたたに
かへるはかりそ


かのえさる
舟まてしはし
事とはん
おきのしらなみ
またたたぬまに
かのえさる
ふねまてしはし
こととはむ
おきのしらなみ
またたたぬまに


秋風の
よもの山より
おのかしし
ふくにちりぬる
もみちかなしな
あきかせの
よものやまより
おのかしし
ふくにちりぬる
もみちかなしな


逢ふ事の
渚にひろふ
石なれや
見れば涙の
まづかゝるらむ
あふことの
なぎさにひろふ
いしなれや
みればなみだの
まづかかるらむ


昔より
阿弥陀仏の
ちかひにて
煮ゆるものをば
すくふとぞ知る
むかしより
あみだほたけの
ちかひにて
もゆるものをば
すくふとぞしる