ちり果てゝ
後やかへらむ
古さとも
忘られぬべき
山櫻かな
ちりはてて
のちやかへらむ
ふるさとも
わすられぬべき
やまさくらかな


山里に
散り果てぬべき
花故に
誰とはなくて
人ぞまたるゝ
やまざとに
ちりはてぬべき
はなゆゑに
たれとはなくて
ひとぞまたるる


雪とのみ
あやまたれつゝ
卯の花の
冬籠れりと
みゆる山里
ゆきとのみ
あやまたれつつ
うのはなの
ふゆこもれりと
みゆるやまざと


よそにのみ
見つゝはゆかじ
女郎花
をらむ袂は
露にぬる共
よそにのみ
みつつはゆかじ
をみなへし
をらむたもとは
つゆにぬるとも


いとゞしく
慰めがたき
夕暮に
秋とおぼゆる
風ぞ吹くなる
いとどしく
なぐさめがたき
ゆふぐれに
あきとおぼゆる
かぜぞふくなる


見渡せば
紅葉志にけり
山里は
妬くぞ今日は
一人きにける
みわたせば
もみぢしにけり
やまざとは
ねたくぞけふは
ひとひときにける


見わたせば
都は近く
成りぬらむ
すぎぬる山は
霞へだてつ
みわたせば
みやこはちかく
なりぬらむ
すぎぬるやまは
かすみへだてつ


身をすてゝ
深き淵にも
入りぬべし
底の心の
志らま欲さに
みをすてて
ふかきふちにも
いりぬべし
そこのこころの
しらまほしさに


人志れぬ
戀にし志なば
大方の
世のはかなさと
人や思はむ
ひとしれぬ
こひにししなば
おほかたの
よのはかなさと
ひとやおもはむ


庭の面の
萩の上にて
しりぬらむ
もの思ふ人の
夜はの袂は
にはのおもの
はぎのうへにて
しりぬらむ
ものおもふひとの
よはのたもとは


年ごとに
せくとはすれど
大井川
昔の名こそ
猶ながれけれ
としごとに
せくとはすれど
おほゐかは
むかしのなこそ
なほながれけれ


さかざらば
櫻をひとの
をらましや
櫻のあたは
櫻なりけり
さかざらば
さくらをひとの
をらましや
さくらのあたは
さくらなりけり


古里の
み垣の柳
はる〴〵と
たがそめかけし
淺みどりぞも
ふるさとの
みかきのやなぎ
はるばると
たがそめかけし
あさみどりぞも
В родном селенье
Ограду из ив
Вдали
Кто окрасил
В бледно зелёный цвет?
Примерный перевод

待つ程に
夏の夜痛く
ふけぬれば
惜みもあへず
山のはの月
まつほどに
なつのよいたく
ふけぬれば
をしみもあへず
やまのはのつき


ひとりゐて
詠むる宿の
荻の葉に
風こそわたれ
あきの夕暮
ひとりゐて
ながむるやどの
をぎのはに
かぜこそわたれ
あきのゆふぐれ
По листьям оги
Возле дома,
Где живу один и печалюсь,
Пролетает ветер.
Осенний вечер.
Примерный перевод

忍ぶれど
泪ぞ志るき
紅に
ものおもふ袖は
そむべかりけり
しのぶれど
なみだぞしるき
くれなゐに
ものおもふそでは
そむべかりけり


さびしさに
家出しぬべき
山里を
今宵の月に
思ひとまりぬ
さびしさに
いへいでしぬべき
やまざとを
こよひのつきに
おもひとまりぬ
В одиночестве
Выйти должен был
Из горного жилища,
Но лунный свет этой ночи
Убрал мне всю тоску!
Примерный перевод

思ひかね
別れし野べを
きてみれば
淺ちが原に
秋風ぞふく
おもひかね
わかれしのべを
きてみれば
あさちがはらに
あきかぜぞふく
Не в силах тосковать,
Пришёл на поле то, где
Мы расстались,
Увидел, на заросшей тростником равнине
Дует осенний ветер.
Примерный перевод

ぬれ〳〵も
猶かりゆかむ
はし鷹の
上毛の雪を
打拂ひつゝ
ぬれぬれも
なほかりゆかむ
はしたかの
うはげのゆきを
うちはらひつつ
Промокший весь
Теперь отправится на охоту
Сокол!
И всё отряхивает с перьев
Белый снег.
Примерный перевод

遙なる
たゞ一聲に
ほとゝぎす
人のこゝろを
空になしつる
はるかなる
ただひとこゑに
ほととぎす
ひとのこころを
そらになしつる
От далёкого
Одного лишь крика
Кукушки
Душа человека
Взмывает ввысь!
Примерный перевод

今朝
みれば春來に
けらしわが
宿のかきねの
梅に鶯の鳴く
けさみれば
はるきにけらし
わがやどの
かきねのうめに
うぐひすのなく


郭公
なくこゑ聞けば
山里に
つねよりことに
人ぞ待たるゝ
ほととぎす
なくこゑきけば
やまざとに
つねよりことに
ひとぞまたるる


駒とめて
見るにもあかず
櫻花
折りてかざゝむ
心ゆくまで
こまとめて
みるにもあかず
さくらばな
をりてかざさむ
こころゆくまで


又見せむ
人し無ければ
櫻花
いま一えだを
折らずなりぬる
またみせむ
ひとしなければ
さくらばな
いまひとえだを
をらずなりぬる


山高み
松にかゝれる
藤の花
そらより落つる
波かとぞ見る
やまたかみ
まつにかかれる
ふぢのはな
そらよりおつる
なみかとぞみる


誰れ住みて
哀知るらむ
常磐山
おくの岩屋の
ありあけの月
たれすみて
あはれしるらむ
ときはやま
おくのいはやの
ありあけのつき


秋さむく
なりにけらしも
山里の
庭しろたへに
照すつき影
あきさむく
なりにけらしも
やまざとの
にはしろたへに
てらすつきかげ