立昇る
雲もおよばぬ
富士の嶺に
烟をこめて
かすむ春かな
たちのぼる
くももおよばぬ
ふじのねに
けぶりをこめて
かすむはるかな


春霞
立つを見しより
みよし野の
山の櫻を
待たぬ日はなし
はるかすみ
たつをみしより
みよしのの
やまのさくらを
またぬひはなし
С тех пор, как
Увидел дымку весеннюю,
Нет и дня,
Чтоб не ждал бы я
Сакуру в горах Ёсино.

影見ゆる
井手の河波
はやけれど
浮きて流れぬ
山吹のはな
かげみゆる
ゐでのかはなみ
はやけれど
うきてながれぬ
やまぶきのはな


天の戸の
明くる程なき
短夜に
行くかた遠く
殘るつきかげ
あまのとの
あくるほどなき
みぢかよに
ゆくかたとほく
のこるつきかげ


明方の
雲居の雁の
聲はして
とやまの霧に
のこるつきかけ
あけかたの
くもゐのかりの
こゑはして
とやまのきりに
のこるつきかけ


初時雨
日毎に降れば
山城の
いはたの杜は
いろづきにけり
はつしぐれ
ひごとにふれば
やましろの
いはたのもりは
いろづきにけり


山高み
けふは麓に
なりにけり
昨日分けこし
みねのしら雲
やまたかみ
けふはふもとに
なりにけり
きのふわけこし
みねのしらくも
Высокие горы
Сегодня подножьями
Стали,
Вчера пришли, разделив,
Пелые облака у вершин!


旅衣
夕霜さむき
志のゝ葉の
さやのなか山
あらしふくなり
たびころも
ゆふしもさむき
しのゝはの
さやのなかやま
あらしふくなり
Одежды путника
Завязанный шнур... Холодный вечер,
Шелестят листы бамбука, —
На горе Сая-но Накаяма
Началась буря...

我ながら
いかに心の
なりぬらむ
人めも知らず
ぬるゝ袖哉
われながら
いかにこころの
なりぬらむ
ひとめもしらず
ぬるるそでかな


戀ひ死なぬ
身の難面さを
歎にて
逢見む迄は
思ひ絶えにき
こひしなぬ
みのつれなさを
なげきにて
あひみむまでは
おもひたえにき


伊勢の海の
をのゝ湊の
自づから
逢見る程の
浪のまもがな
いせのうみの
をののみなとの
おのづから
あみるほどの
なみのまもがな


いかにせむ
岩間をつたふ
山水の
淺き契りは
末もとほらず
いかにせむ
しはまをつたふ
やまみづの
あさきちぎりは
すゑもとほらず


ながらへて
いける命の
強面さを
聞かる計の
人づてもがな
ながらへて
いけるいのちの
つれなさを
きかるばかりの
ひとづてもがな


白浪の
かけても人に
契りきや
異浦にのみ
みるめかれとは
しらなみの
かけてもひとに
ちぎりきや
ことうらにのみ
みるめかれとは


行止る
いづくをつひの
宿とてか
とへ共人に
契り置くべき
ゆきとまる
いづくをつひの
やどとてか
とへともひとに
ちぎりおくべき


時鳥
忍ぶ比とは
志りながら
いかにまたるゝ
初音なるらむ
ほととぎす
しのぶくらとは
しりながら
いかにまたるる
はつねなるらむ

比??
濡れてほす
隙こそなけれ
夏がりの
芦屋の里の
五月雨の頃
ぬれてほす
ひまこそなけれ
なつがりの
あしやのさとの
さみだれのころ
Никак
Не просыхает
Срезанные летом
На лачугу тростники:
Сезон дождей.

夜さむなる
生田の杜の
秋風に
とはれぬ里も
月や見るらむ
よさむなる
いくたのもりの
あきかぜに
とはれぬさとも
つきやみるらむ


鵲の
とわたるはしも
しろたへの
初霜いそぐ
秋のつきかげ
かささぎの
とわたるはしも
しろたへの
はつしもいそぐ
あきのつきかげ


立田姫
今やこずゑの
から錦
おりはへ秋の
いろぞしぐるゝ
たつたひめ
いまやこずゑの
からにしき
おりはへあきの
いろぞしぐるる


とゞめおく
露の形見は
袖ぬれて
ゆくかたしらぬ
秋の別路
とどめおく
つゆのかたみは
そでぬれて
ゆくかたしらぬ
あきのわかれぢ


あふさかの
關の杉村
雪きえて
道ある御代と
春はきにけり
あふさかの
せきのすぎむら
ゆききえて
みちあるみよと
はるはきにけり


年毎に
後の春とも
知らざりし
花にいく度
なれて見つらむ
としごとに
のちのはるとも
しらざりし
はなにいくたび
なれてみつらむ


旅びとの
衣の關の
はる〴〵と
都へだてゝ
いくかきぬらむ
たびびとの
ころものせきの
はるばると
みやこへだてて
いくかきぬらむ


知せても
猶難面く
ば如何せむ
いはぬを咎に
人や戀ひまし
しらせても
なほかたおもく
ばいかせむ
いはぬをとがに
ひとやこひまし


月草の
はなだの帶は
とけ初めぬ
返らぬ色を
誰に問はまし
つきくさの
はなだのおびは
とけそめぬ
かへらぬいろを
たれにとはまし


見せばやな
袖の別の
そのまゝに
泪ばかりの
こゝろ長さを
みせばやな
そでのわかれの
そのままに
なみだばかりの
こころながさを


ありとても
今いく程の
行末に
我身ひとつを
思ひわぶらむ
ありとても
いまいくほどの
ゆくすゑに
わがみひとつを
おもひわぶらむ


其事に
心とまると
なけれども
背くとならば
世をや惜まむ
そのことに
こころとまると
なけれども
そむくとならば
よをやをしまむ


まどろまぬ
ほどを現と
思ひしは
夢の世しらぬ
心なりけり
まどろまぬ
ほどをうつつと
おもひしは
ゆめのよしらぬ
こころなりけり


思ひとく
深き江にこそ
志られけれ
水の外なる
氷なしとは
おもひとく
ふかきえにこそ
しられけれ
みづのほかなる
こほりなしとは


神風や
内外のみやの
宮ばしら
千度や君が
御代にたつべき
かみかぜや
うちほかのみやの
みやばしら
ちたびやきみが
みよにたつべき


春をのみ
をしみし程に
夏衣
たつ日に早く
なりにけるかな
はるをのみ
をしみしほどに
なつころも
たつひにはやく
なりにけるかな


此の里も
ふりぬと思ふ
夕立の
曇るばかりに
過ぎにける哉
このさとも
ふりぬとおもふ
ゆふだちの
くもるばかりに
すぎにけるかな


知られじな
とはぬを人の
情とは
我こそみつれ
にはの白雪
しられじな
とはぬをひとの
なさけとは
われこそみつれ
にはのしらゆき


益荒雄が
夢の編笠
打ちたれて
目をも合せず
人ぞなりゆく
ますらをが
ゆめのあみかさ
うちたれて
めをもあはせず
ひとぞなりゆく


爭で猶
戀死ぬ計り
こふる身を
人傳にだに
さぞときかれむ
いかでなほ
こひしぬばかり
こふるみを
ひとつたにだに
さぞときかれむ


いかにせむ
曇る泪の
ます鏡
うらみしよりぞ
影は絶えにし
いかにせむ
くもるなみだの
ますかがみ
うらみしよりぞ
かげはたえにし


まばらなる
眞柴の扉
あけくれは
峰のあらしの
何敲くらむ
まばらなる
ましばのとびら
あけくれは
みねのあらしの
なにたたくらむ