葛城や
高嶺の雲を
にほひにて
まがひし花の
色ぞうつろふ
かづらきや
たかねのくもを
にほひにて
まがひしはなの
いろぞうつろふ


いかにせむ
暮を待つべき
命だに
猶頼まれぬ
身を歎きつゝ
いかにせむ
くれをまつべき
いのちだに
なほたのまれぬ
みをなげきつつ


しがらきの
外山の末の
郭公
誰が里ちかき
はつねなくらむ
しがらきの
とやまのすゑの
ほととぎす
たがさとちかき
はつねなくらむ


吹き拂ふ
まがきの荻の
夕露を
袂にのこす
あきのはつかぜ
ふきはらふ
まがきのをぎの
ゆふつゆを
たもとにのこす
あきのはつかぜ


霜枯の
籬の菊の
花がたみ
めならぶいろも
見えぬころかな
しもがれの
まがきのきくの
はながたみ
めならぶいろも
みえぬころかな


暮れぬとて
ながめもすてじ
櫻花
うつろふ山に
いづる月影
くれぬとて
ながめもすてじ
さくらばな
うつろふやまに
いづるつきかげ


山ざくら
折られぬ岸も
なかりけり
雲の衣の
はな染のそで
やまざくら
をられぬきしも
なかりけり
くものころもの
はなそめのそで
Нет нынче берега такого,
Чтоб ветвь сакуры там было
Не сломить,
Облачных одеяний
Окрашенным в цвет лепестков рукавом.
Примерный перевод

袖かへる
遠かた人は
分け過ぎて
のこる尾花に
秋風ぞふく
そでかへる
とほかたひとは
わけすぎて
のこるをはなに
あきかぜぞふく


秋風に
あひみむ事は
いのちとも
契らでかへる
春の雁がね
あきかぜに
あひみむことは
いのちとも
ちぎらでかへる
はるのかりがね


位山
ふもとばかりの
路をだに
猶わけがたく
かゝるしら雲
くらゐやま
ふもとばかりの
みちをだに
なほわけがたく
かかるしらくも


夕ぐれは
月待つとても
物ぞ思ふ
雲のはたての
秋の山の端
ゆふぐれは
つきまつとても
ものぞおもふ
くものはたての
あきのやまのは


雪をれの
音だに今朝は
絶えにけり
埋れ果つる
峰のまつ原
ゆきをれの
おとだにけさは
たえにけり
うづもれはつる
みねのまつはら


故郷と
思ひな捨てそ
ほとゝぎす
なれも昔の
聲はかはらじ
ふるさとと
おもひなすてそ
ほととぎす
なれもむかしの
こゑはかはらじ


宵のまに
暫し漂ふ
雲間より
待ち出でゝ見れば
明くる月影
よひのまに
しばしただよふ
くもまより
まちいでてみれば
あくるつきかげ


夕日さす
遠山もとの
さと見えて
薄吹きしく
野邊のあき風
ゆふひさす
とほやまもとの
さとみえて
すすきふきしく
のべのあきかぜ


めぐりあふ
月日もおなじ
九重に
重ねて見ゆる
千世の白菊
めぐりあふ
つきひもおなじ
ここのへに
かさねてみゆる
ちよのしらきく


更けにける
槇の板戸の
休らひに
月こそ出づれ
人は難面し
ふけにける
まきのいたとの
やすらひに
つきこそいづれ
ひとはつれなし


朝日かげ
まだ出でやらぬ
足引の
山は霞の
いろぞうつろふ
あさひかげ
まだいでやらぬ
あしびきの
やまはかすみの
いろぞうつろふ


徒に
年は經にけり
玉の緒の
ながらへばとも
契りやはせし
いたづらに
としはへにけり
たまのをの
ながらへばとも
ちぎりやはせし


時わかぬ
河瀬の波の
花にさへ
わかれてかへる
春の雁がね
ときわかぬ
かはせのなみの
はなにさへ
わかれてかへる
はるのかりがね


さくら花
空にあまきる
白雲の
たなびきわたる
かつらぎのやま
さくらはな
そらにあまきる
しらくもの
たなびきわたる
かつらぎのやま


よしのやま
ひとつにみえし
花の色の
うつろひかはる
みねの白雲
よしのやま
ひとつにみえし
はなのいろの
うつろひかはる
みねのしらくも


露ふかき
秋の野原の
かり衣
ぬれてそ染る
萩か花すり
つゆふかき
あきののはらの
かりごろも
ぬれてぞそめる
はぎがはなずり


世中に
猶あり明の
うき身をや
つれなき物と
月はみるらん
よのなかに
なほありあけの
うきみをや
つれなきものと
つきはみるらん


とへかしな
跡もいとはて
またれけり
また空晴ぬ
庭の白雪
とへかしな
あともいとはて
またれけり
またそらはれぬ
にはのしらゆき


かるもかく
ゐな野のはらの
かり枕
さてもねられぬ
月をみるかな
かるもかく
ゐなののはらの
かりまくら
さてもねられぬ
つきをみるかな


けふはなを
都もちかし
逢坂の
関のあなたに
しる人もかな
けふはなを
みやこもちかし
あふさかの
せきのあなたに
しるひともかな


みし人を
音にもきかぬ
滝つせの
なにそは袖に
たえすおつらん
みしひとを
おとにもきかぬ
たきつせの
なにそはそでに
たえすおつらん


限あれは
かすまぬ浦の
波間より
心ときゆる
あまのつり舟
かぎりあれは
かすまぬうらの
なみまより
こころときゆる
あまのつりふね


ことの葉は
身にこそしらね
たらちねの
形見計に
問人もかな
ことのはは
みにこそしらね
たらちねの
かたみばかりに
とふひともかな


滝のうへの
浅野の原の
浅みとり
空にかすみて
春雨そふる
たきのうへの
あさののはらの
あさみとり
そらにかすみて
はるさめそふる


降そむる
そかの河原の
五月雨に
また水あさし
ますけからなん
ふりそむる
そかのかはらの
さみだれに
またみづあさし
ますけからなん


夕日さす
波の上より
たつ煙
いかなる浦に
もしほやくらん
ゆふひさす
なみのうへより
たつけぶり
いかなるうらに
もしほやくらん


鴎ゐる
藤江の浦の
朝ほらけ
あれたる波も
こゝろすみけり
かもめゐる
ふぢえのうらの
あさほらけ
あれたるなみも
こころすみけり