我宿は
かつちる山の
紅葉ばに
あさ行く鹿の
跡だにもなし
わがやどは
かつちるやまの
もみぢばに
あさゆくしかの
あとだにもなし


春日山
やま高からし
秋ぎりの
うへにぞ鹿の
聲はきこゆる
かすがやま
やまたかからし
あきぎりの
うへにぞしかの
こゑはきこゆる


徒に
四十のさかを
越えにけり
昔もしらぬ
ながめせしまに
いたづらに
よそのさかを
こえにけり
むかしもしらぬ
ながめせしまに


山城の
ときはの森の
夕時雨
そめぬみどりに
秋ぞ暮れぬる
やましろの
ときはのもりの
ゆふしぐれ
そめぬみどりに
あきぞくれぬる
В Ямасиро
В вечнозелёном лесу Токива
Вечерним дождём
С так и не окрашенной листвой
Закончилась осень.
Примерный перевод

さすらふる
心の身をも
任せずば
清見が關の
月を見ましや
さすらふる
こころのみをも
まかせずば
きよみがせきの
つきをみましや


おのづから
かけても袖に
知すなよ
いはせの杜の
秋のしら露
おのづから
かけてもそでに
しらすなよ
いはせのもりの
あきのしらつゆ


伊勢の海
はるかにかすむ
浪間より
天の原なる
あまの釣舟
いせのうみ
はるかにかすむ
なみまより
あまのはらなる
あまのつりぶね
В море Исэ
Вдали меж волн,
Затянутых дымкой,
На равнине небесной
Рыбачье судно.
Примерный перевод

おのづから
かけても袖に
知すなよ
いはせの杜の
秋の下露
おのづから
かけてもそでに
しらすなよ
いはせのもりの
あきのしたつゆ


たかまとの
野路の秋萩
咲きにけり
旅行く人の
袖匂ふらし
たかまとの
のぢのあきはぎ
さきにけり
たびゆくひとの
そでにほふらし
На дороге
Через поле Такамато
Расцвели хаги,
И у путников проходящих
Рукав в цвету и аромате!
Примерный перевод

立ち迷ふ
霞の浦の
夕けぶり
それともよそに
知る人ぞなき
たちまよふ
かすみのうらの
ゆふけぶり
それともよそに
しるひとぞなき


水莖の
岡の葛葉を
吹く風に
ころも雁がね
さむくなくなり
みづぐきの
をかのくずはを
ふくかぜに
ころもかりがね
さむくなくなり


これよりも
深き嵐に
聞きなれて
今宵は寐ぬる
さやの中山
これよりも
ふかきあらしに
ききなれて
こよひはいぬる
さやのなかやま


ほしあへぬ
ころもへにけり
かはやしろ
しのに浪こす
さみだれのころ
ほしあへぬ
ころもへにけり
かはやしろ
しのになみこす
さみだれのころ


すゝか河
ふりさけみれは
神路山
さか木葉分て
出る月影
すすかかは
ふりさけみれは
かみぢやま
さかきはわけて
いづるつきかげ


帰こん
程をはいつと
しら露の
すかるなく野に
秋風そ吹
かへりこん
ほどをはいつと
しらつゆの
すかるなくのに
あきかぜそふく


今そしる
あゆむ草葉に
捨をきし
露の命は
君かためとも
いまそしる
あゆむくさばに
すてをきし
つゆのいのちは
きみかためとも


藤代の
みさかをこえて
見わたせは
霞もやらぬ
吹上の浜
ふぢしろの
みさかをこえて
みわたせは
かすみもやらぬ
ふきあげのはま


こよひわれ
吉野のたけの
高ねにて
雲も及はぬ
月をみる哉
こよひわれ
よしののたけの
たかねにて
くももおよはぬ
つきをみるかな


衣手に
夕風さむし
しの原や
しくるゝのへに
宿はなくして
ころもでに
ゆふかぜさむし
しのはらや
しくるるのへに
やどはなくして


夜をこむる
すゝのしのやの
朝といてに
山かけくらき
峰の松風
よをこむる
すすのしのやの
あさといてに
やまかけくらき
みねのまつかぜ


くれまたむ
命もしらす
岩はしの
よるとはたれか
契りそめける
くれまたむ
いのちもしらす
いははしの
よるとはたれか
ちぎりそめける


逢とみて
いかにはかなく
明ぬらん
浮世の夢は
さめぬ習を
あふとみて
いかにはかなく
あかぬらん
うきよのゆめは
さめぬならひを


と山にて
吉野のおくを
思ふかな
み雪ふるらし
時雨ふるなり
とやまにて
よしののおくを
おもふかな
みゆきふるらし
しぐれふるなり


なゝたひの
よしのゝ川の
みをつくし
君かやちよの
しるしともなれ
ななたひの
よしののかはの
みをつくし
きみかやちよの
しるしともなれ