身を去らぬ
日吉の影を
光にて
此世よりこそ
闇は晴れぬれ
みをさらぬ
ひよしのかげを
ひかりにて
このよよりこそ
やみははれぬれ


神垣に
わが老らくの
ゆふかけて
猶さしそふる
みねの榊ば
かみかきに
わがおいらくの
ゆふかけて
なほさしそふる
みねのさかきば


波よする
みつの濱べの
浦風に
こよひもさむく
衣うつなり
なみよする
みつのはまべの
うらかぜに
こよひもさむく
ころもうつなり


こぎくるゝ
浮寢の床の
浪枕
よるとて夢も
えやはみえける
こぎくるる
うきねのとこの
なみまくら
よるとてゆめも
えやはみえける


五月雨に
烟たえても
海士人の
なほ汐たるゝ
袖のうらなみ
さみだれに
けぶりたえても
あまひとの
なほしほたるる
そでのうらなみ


にほひくる
はな橘の
袖の香に
この里人も
むかし變ふらし
にほひくる
はなたちばなの
そでのかに
このさとひとも
むかしこふらし


朽ねたゝ
猶物思ふ
なとり河
うかりしせゝに
残るむもれ木
くちねたた
なほものおもふ
なとりかは
うかりしせゝに
のこるむもれき


立田山
今は木のはも
神無月
しくれにそへて
ふりまさる也
たつたやま
いまはこのはも
かみなづき
しくれにそへて
ふりまさるなり


桜はな
咲そふまゝに
しら雲の
かさなる山に
にほふはるかせ
さくらはな
さきそふままに
しらくもの
かさなるやまに
にほふはるかせ


いかにして
たれもゆきゝの
逢坂に
人にしられぬ
道たつねまし
いかにして
たれもゆききの
あふさかに
ひとにしられぬ
みちたつねまし