降る雪は
今年もわかず
久堅の
空に知られぬ
春や來ぬらむ
ふるゆきは
ことしもわかず
ひさかたの
そらにしられぬ
はるやきぬらむ


咲く花も
おもひしよりは
移ろひぬ
夜のまの雨の
はるの曙
さくはなも
おもひしよりは
うつろひぬ
よのまのあめの
はるのあけぼの


待ち渡る
逢ふ瀬隔つな
久方の
天の河原の
あきのゆふぎり
まちわたる
あふせへだつな
ひさかたの
あめのかはらの
あきのゆふぎり


旅人の
いる野のすゝき
穗に出でゝ
袖の數添ふ
秋風ぞ吹く
たびひとの
いるののすゝき
ほにいでゝ
そでのかずそふ
あきかぜぞふく


明けゆけば
道こそ見ゆれ
高瀬舟
立つ河霧の
空に消えつゝ
あけゆけば
みちこそみゆれ
たかせふね
たつかはきりの
そらにきえつつ
На рассвете раннем
Когда путь виден
Судам мелководным,
Встающий речной туман
Исчезает в небесах...
Примерный перевод

色見えぬ
これや忍ぶの
すり衣
思ひみだるゝ
袖の志らつゆ
いろみえぬ
これやしのぶの
すりころも
おもひみだるる
そでのしらつゆ


轉寐に
つれなく見えし
面影を
夢と志りても
猶やうらみむ
うたたねに
つれなくみえし
おもかげを
ゆめとしりても
なほやうらみむ


なかばなる
月の桂の
面かげを
思ひ出でゝや
かき曇るらむ
なかばなる
つきのかつらの
おもかげを
おもひいでゝや
かきくもるらむ


ふりにける
年の三とせの
秋の雨
さらに夕の
空ぞかなしき
ふりにける
としのみとせの
あきのあめ
さらにゆふべの
そらぞかなしき


君がすむ
龜のを山の
瀧つせは
千代を心に
さぞまかすらむ
きみがすむ
かめのをやまの
たきつせは
ちよをこころに
さぞまかすらむ


見るまゝに
波路遙に
なりにけり
かすめばとほき
浦の初島
みるままに
なみぢはるかに
なりにけり
かすめばとほき
うらのはつしま
Пока смотрел —
Далёкими стали
Морские пути.
Лишь дымкой затянет —
Долог путь до ближних островов.
Примерный перевод

泊瀬河
花のみなわの
きえがてに
春あらはるゝ
瀬々の白波
はつせかは
はなのみなわの
きえがてに
はるあらはるる
せぜのしらなみ


惜むべき
雲のいづくの
影もみず
かすみて明る
春の夜の月
をしむべき
くものいづくの
かげもみず
かすみてあくる
はるのよのつき


荻の葉に
風まつ程の
夕暮を
おとづれかへて
人のとへかし
をぎのはに
かぜまつほどの
ゆふぐれを
おとづれかへて
ひとのとへかし


伏見山
ふもとの霧の
絶間より
はるかにみゆる
うぢの川波
ふしみやま
ふもとのきりの
たえまより
はるかにみゆる
うぢのかはなみ
В прорехах тумана
У подножия горы
Фусими
Вдали виднеются
Волны реки Удзи.
Примерный перевод

うらがるゝ
芦の末葉に
風過ぎて
入江をわたる
秋のむら雨
うらがるる
あしのすゑはに
かぜすぎて
いりえをわたる
あきのむらさめ


夕づくひ
うつろふ空の
雲間より
光さしそふ
峰のもみぢば
ゆふづくひ
うつろふそらの
くもまより
ひかりさしそふ
みねのもみぢば
На выцветшем небе
Вечерееющего солнца
Лучи проходят
Между облаков…
И листья осенние на вершинах гор…
Примерный перевод

紅葉ちる
川瀬の霧の
おのれのみ
浮きて流れぬ
秋の色かな
もみぢちる
かはせのきりの
おのれのみ
うきてながれぬ
あきのいろかな


今日だにも
道踏分けぬ
白雪の
あすさへ降らば
人も待れじ
けふだにも
みちふみわけぬ
しらゆきの
あすさへふらば
ひともまたれじ


かりねする
草の枕の
秋風に
なみだよりちる
野べの白つゆ
かりねする
くさのまくらの
あきかぜに
なみだよりちる
のべのしらつゆ
Ночую в пути,
И на изголовье из трав
Дует ветер осенний,
И слёзы рассыпаются,
Становясь росою белой на поле!
Примерный перевод

咲きつゞく
藤榮えむと
春日山
松にぞ君を
いはひかけつる
さきつづく
ふぢさかえむと
かすがやま
まつにぞきみを
いはひかけつる


海原や
風をさまれる
波のうへに
思ふもとほし
御代の行末
うみはらや
かぜをさまれる
なみのうへに
おもふもとほし
みよのゆくすゑ


沖つ風
吹き志くうらの
芦の葉の
亂れて下に
濡るゝ袖かな
おきつかぜ
ふきしくうらの
あしのはの
みだれてしたに
ぬるるそでかな
В бухте,
Где дует ветер с моря
И листья тростников колышет,
Под ними ль
Вымок мой рукав?
Примерный перевод

みるめなき
浦よりをちに
立つ煙
我をばよそに
何こがす覽
みるめなき
うらよりをちに
たつけぶり
われをばよそに
なにこがすらん


よと共に
海士のなはたく
漁船
うきて思の
こがれてぞふる
よとともに
あまのなはたく
いざりぶね
うきておもひの
こがれてぞふる


風荒き
すさの入江の
波こえて
あぢきなき迄
ぬるゝ袖かな
かぜあらき
すさのいりえの
なみこえて
あぢきなきまで
ぬるるそでかな


ぬきとめよ
あはずば何を
かた糸の
亂れておつる
瀧の白玉
ぬきとめよ
あはずばなにを
かたいとの
みだれておつる
たきのしらたま


消えぬべし
さのみはいかゞ
思ひ川
流るゝ水の
哀とも見よ
きえぬべし
さのみはいかが
おもひかは
ながるるみづの
あはれともみよ


思はずに
あはれつれなき
命哉
いけらば後の
頼みばかりに
おもはずに
あはれつれなき
いのちかな
いけらばのちの
たのみばかりに


うしとても
今はあだなる
名殘かは
忘れがたみの
有明の月
うしとても
いまはあだなる
なごりかは
わすれがたみの
ああかりのつき


同じ世に
また夕暮を
歎くかな
こりぬうき身の
心よわさは
おなじよに
またゆふぐれを
なげくかな
こりぬうきみの
こころよわさは


歎かじよ
袖のうら波
立ちかへり
思へばうきも
契なりけり
なげかじよ
そでのうらなみ
たちかへり
おもへばうきも
ちぎりなりけり


昔より
かよひし中の
跡とめて
こゝろ隔つな
あしがらの關
むかしより
かよひしなかの
あととめて
こころへだつな
あしがらのせき


唐土も
たぐひやあると
尋ねばや
三たび逢ひみる
秋の宮人
もろこしも
たぐひやあると
たづねばや
みたびあひみる
あきのみやひと


さきの世の
報悲しき
身の程を
しらずがほにや
又歎くべき
さきのよの
むくひかなしき
みのほどを
しらずがほにや
またなげくべき


志り乍ら
厭はぬ世こそ
悲しけれ
我爲つらき
身を思ふとて
しりながら
いとはぬよこそ
かなしけれ
わがためつらき
みをおもふとて


面影を
忘れむと思ふ
心こそ
わかれしよりも
悲しかりけれ
おもかげを
わすれむとおもふ
こころこそ
わかれしよりも
かなしかりけれ
От мысли одной,
Что забуду когда-то
Твой облик,
Печальнее больше,
Чем от нашей разлуки...
Примерный перевод