古の
我とは志らじ
淺香山
みえし山井の
かげにしあらねば
いにしへの
われとはしらじ
あさかやま
みえしやまゐの
かげにしあらねば


後の世を
てらす鏡の
影を見よ
志らぬ翁は
あふかひもなし
のちのよを
てらすかがみの
かげをみよ
しらぬおきなは
あふかひもなし


山のはに
隱れし人は
見えもせで
入にし月は
めぐりきに鳬
やまのはに
かくれしひとは
みえもせで
いりにしつきは
めぐりきにけり


隱れにし
人のかたみは
月をみよ
心のほかに
すめる影かは
かくれにし
ひとのかたみは
つきをみよ
こころのほかに
すめるかげかは


逢坂の
關守る神に
任せても
名こそ手向の
たのみなりけれ
あふさかの
せきもるかみに
まかせても
なこそたむけの
たのみなりけれ


闇路には
迷ひも果てじ
在明の
つきまつ島の
人のしるべに
やみぢには
まよひもはてじ
在あかりの
つきまつしまの
ひとのしるべに


水すめば
いつも氷は
むすびけり
心や冬の
はじめなるらむ
みづすめば
いつもこほりは
むすびけり
こころやふゆの
はじめなるらむ


思ひ立つ
心計りを
知べにて我
れとは行かぬ
道とこそ聞け
おもひたつ
こころはかりを
しべにてわ
れれとはゆかぬ
みちとこそきけ


忘るなよ
ながれの末は
かはるとも
ひとつみ山の
谷川の水
わするなよ
ながれのすゑは
かはるとも
ひとつみやまの
たにかはのみづ


諸共に
行くべき道に
先だちて
定めなき世の
知べをぞする
もろともに
ゆくべきみちに
さきだちて
さだめなきよの
しるべをぞする


秋萩の
咲きて散りぬる
夕露に
猶たちぬるゝ
鹿ぞ鳴くなる
あきはぎの
さきてちりぬる
ゆふつゆに
なほたちぬるる
しかぞなくなる


あだにのみ
思ひし人の
命もて
花をいくたび
惜みきぬらむ
あだにのみ
おもひしひとの
いのちもて
はなをいくたび
をしみきぬらむ


流れゆく
紅葉をむすぶ
山川の
こほりぞ秋の
色をとゞむる
ながれゆく
もみぢをむすぶ
やまかはの
こほりぞあきの
いろをとどむる
Уплывающие
Листья осенние замёрзли
На горной реке,
Так лёд оставил
Осени краски!
Примерный перевод

うつの山
現にて又
越え行かば
夢とみよとや
あと殘しけむ
うつのやま
うつつにてまた
こえゆかば
ゆめとみよとや
あとのこしけむ


法の道
跡ふむかひは
なけれども
我も八十ぢの
春に逢ぬる
のりのみち
あとふむかひは
なけれども
われもやそぢの
はるにあはぬる


六の道
あるじ定めぬ
物ゆゑに
たれ故郷と
いひはじめけむ
むつのみち
あるじささめぬ
ものゆゑに
たれふるさとと
いひはじめけむ


雁なきて
萩の下葉の
色づくは
我が袖よりや
習ひそめけむ
かりなきて
はぎのしたばの
いろづくは
わがそでよりや
ならひそめけむ


今更に
別ると何か
思ふらむ
我れこそさきに
家を出でしか
いまさらに
わかるとなにか
おもふらむ
われこそさきに
いへをいでしか


道もなく
忘れ果てたる
故郷に
月はたづねて
猶ぞすみける
みちもなく
わすれはてたる
ふるさとに
つきはたづねて
なほぞすみける


後の世と
我だに身をば
思はねば
頼み置くべき
人も無き哉
のちのよと
われだにみをば
おもはねば
たのみおくべき
ひともなきかな


思ひきや
空にしられぬ
雪も猶
雲のうへまて
ちらん物とは
おもひきや
そらにしられぬ
ゆきもなほ
くものうへまて
ちらんものとは