草の原
ひかり待ちとる
露にこそ
月も分きては
影宿しけれ
くさのはら
ひかりまちとる
つゆにこそ
つきもわきては
かげやどしけれ


廻逢はむ
來む世も知らぬ
契には
身をかへて共
え社頼まね
めぐりあはむ
こむよもしらぬ
ちぎりには
みをかへてとも
えこそたのまね


曉の
別れもしらぬ
鳥の音は
何のつらさに
鳴きはじめけむ
あかつきの
わかれもしらぬ
とりのねは
なにのつらさに
なきはじめけむ


今は又
いかにいはまし
恨みての
後さへつらき
ひとの心を
いまはまた
いかにいはまし
うらみての
のちさへつらき
ひとのこころを


岩まもる
波の志がらみ
懸けとめて
流れもやらず
氷る山河
いはまもる
なみのしがらみ
かけとめて
ながれもやらず
こほるやまかは


草まくら
かりねの袖に
露散りて
尾花吹きしく
野べの秋風
くさまくら
かりねのそでに
つゆちりて
をはなふきしく
のべのあきかぜ
В моём временном ночлеге,
С изголовьем из трав
На рукав рассыпалась роса.
Дует, наклоняя колосья обана
Осенний ветер на поле.
Примерный перевод

何と又
背かれぬ世の
うきたびに
まづ歎かるゝ
心なるらむ
なにとまた
そむかれぬよの
うきたびに
まづなげかるる
こころなるらむ


かり衣
すそ野の霧は
霽れにけり
尾花が袖に
露をのこして
かりころも
すそののきりは
はれにけり
をはながそでに
つゆをのこして


都だに
晴れぬ時雨に
思ひやれ
越路は雪の
降らぬ日ぞなき
みやこだに
はれぬしぐれに
おもひやれ
こしぢはゆきの
ふらぬひぞなき


いかにせむ
現も夢と
たどられて
逢ふにも迷ふ
我が心かな
いかにせむ
うつつもゆめと
たどられて
あふにもまよふ
わがこころかな


霞まずば
春ともえやは
しら鳥の
とは山松に
雪は降りつゝ
かすみまずば
はるともえやは
しらとりの
とはやままつに
ゆきはふりつつ


よしさらば
心つくさで
時鳥
おのが五月の
ころや待たまし
よしさらば
こころつくさで
ほととぎす
おのがさつきの
ころやまたまし


今はまた
とりの音ばかり
形見にて
有明の月を
涙にぞ見る
いまはまた
とりのねばかり
かたみにて
ありあけのつきを
なみだにぞみる


かすならて
世にふる川の
うもれ水
行かたもなく
ぬるゝ袖哉
かすならて
よにふるかはの
うもれみづ
ゆくかたもなく
ぬるるそでかな


分ゆけと
また峰遠し
たかせ山
雲は麓の
跡に残りて
わけゆけと
またみねとほし
たかせやま
くもはふもとの
あとにのこりて


恋しさを
あひみんまてと
思ひしは
心のすゑを
しらぬなりけり
こひしさを
あひみんまてと
おもひしは
こころのすゑを
しらぬなりけり


世のうきめ
みえぬ山路の
奥まても
猶かなしきは
秋の夕暮
よのうきめ
みえぬやまぢの
おくまても
なほかなしきは
あきのゆふぐれ