むつごとも
まだつきなくに
秋風に
七夕つめや
袖ぬらすらむ
むつごとも
まだつきなくに
あきかぜに
たなばたつめや
そでぬらすらむ
我庵は
小倉の山の
近ければ
憂世をしかと
なかぬ日ぞなき
わがいほは
をぐらのやまの
ちかければ
うきよをしかと
なかぬひぞなき
Моя лачуга
От горы Огура
Недалеко,
И нет такого дня, чтоб не звучал
Оленя голос об этом бренном мире.
すぎはてぬ
いづら長月
名のみして
短かりける
秋の程かな
すぎはてぬ
いづらながつき
なのみして
みぢかかりける
あきのほどかな
里のあまの
定めぬ宿も
うづもれぬ
よする渚の
ゆきの白浪
さとのあまの
さだめぬやども
うづもれぬ
よするなぎさの
ゆきのしらなみ
世をうしと
なれし都は
別れにき
いづこの山を
泊ともなし
よをうしと
なれしみやこは
わかれにき
いづこのやまを
とまりともなし
身を捨て
戀ひぬ心ぞ
うかりける
岩にも生ふる
松は有世に
みをすてて
こひぬこころぞ
うかりける
いはにもおふる
まつはあるよに
逢事を
又は待つ夜も
なきものを
哀もしらぬ
鳥のこゑかな
あふごとを
またはまつよも
なきものを
あはれもしらぬ
とりのこゑかな
忘れじの
たゞ一言を
形見にて
行くもとまるも
ぬるゝ袖哉
わすれじの
たゞひとことを
かたみにて
ゆくもとまるも
ぬるるそでかな
吹くからに
身にぞ志みける
君はさは
我をや秋の
木枯の風
ふくからに
みにぞしみける
きみはさは
われをやあきの
こがらしのかぜ
數々に
たゞめの前の
面影の
あはれいくよに
年のへぬらむ
かずかずに
ただめのまへの
おもかげの
あはれいくよに
としのへぬらむ
飛鳥河
けふの淵瀬も
いかならむ
さらぬ別は
待つ程もなし
あすかかは
けふのふちせも
いかならむ
さらぬわかれは
まつほどもなし
契り置く
其行く末の
頼みあらば
此世を憂しと
何か歎かむ
ちぎりおく
それゆくすゑの
たのみあらば
このよをうしと
なにかなげかむ
みても又
たれか忍ばむ
故郷の
おぼろ月夜に
にほふ梅がえ
みてもまた
たれかしのばむ
ふるさとの
おぼろつきよに
にほふうめがえ
身はかくて
六十の春を
過しきぬ
としの思はむ
思出もなし
みはかくて
むそぢのはるを
すごしきぬ
としのおもはむ
おもいでもなし