我ながら
つらくなるみの
汐干潟
恨みし末ぞ
遠ざかりぬる
われながら
つらくなるみの
しおほしかた
うらみしすゑぞ
とほざかりぬる


櫻花
ちらずばやがて
三吉野の
山やいとはぬ
栖かならまし
さくらばな
ちらずばやがて
みよしのの
やまやいとはぬ
すみかならまし


秋をへて
なれ行く月の
ます鏡
つもれば老の
影を見るかな
あきをへて
なれゆくつきの
ますかがみ
つもればおいの
かげをみるかな


衣うつ
音ぞ夜ふかく
きこゆなる
遠里をのゝ
風のたよりに
ころもうつ
おとぞよふかく
きこゆなる
とほさとをのの
かぜのたよりに


住吉の
松に結びし
ことのはに
祈る千とせを
神やうけゝむ
すみよしの
まつにむすびし
ことのはに
いのるちとせを
かみやうけけむ


難波江の
芦のうきねの
長き夜に
あかつき遠く
鳴く千鳥哉
なにはえの
あしのうきねの
ながきよに
あかつきとほく
なくちとりかな


我がなみだ
よしや吉野の
河となれ
妹脊の山の
影や映ると
わがなみだ
よしやよしのの
かはとなれ
いもせのやまの
かげやうつると


年經ぬる
松のとぼそは
朽ちぬとも
獨やすまむ
山の端の月
としへぬる
まつのとぼそは
くちぬとも
ひとりやすまむ
やまのはのつき


君が爲
玉手のきしに
やはらぐる
光の末は
千世もくもらじ
きみがため
たまてのきしに
やはらぐる
ひかりのすゑは
ちよもくもらじ


沖つ風
濱松が枝に
かけてけり
たむけがほなる
浪の白木綿
おきつかぜ
はままつがえに
かけてけり
たむけがほなる
なみのしらゆふ