志ら雪の
八重山ざくら
咲きにけり
所もさらぬ
春の明ぼの
しらゆきの
やへやまざくら
さきにけり
ところもさらぬ
はるのあけぼの


恨むべき
方こそなけれ
春風の
やどり定めぬ
花のふるさと
うらむべき
かたこそなけれ
はるかぜの
やどりささめぬ
はなのふるさと


白雲に
まがへし花は
あともなし
彌生の月ぞ
空にのこれる
しらくもに
まがへしはなは
あともなし
やよひのつきぞ
そらにのこれる


幾千世と
いはがき沼の
菖蒲草
ながき例に
けふやひかれむ
いくちよと
いはがきぬまの
あやめくさ
ながきためしに
けふやひかれむ


風さむき
夜はの寐覺の
とことはに
なれても寂し
衣うつ聲
かぜさむき
よはのねざめの
とことはに
なれてもさびし
ころもうつこゑ


秋の色の
移ろひ行くを
限とて
袖に時雨の
ふらぬ日はなし
あきのいろの
うつろひゆくを
かぎりとて
そでにしぐれの
ふらぬひはなし


明日よりは
名殘を何に
かこたまし
あひも思はぬ
秋の別格
あすよりは
なごりをなにに
かこたまし
あひもおもはぬ
あきのわかれぢ

わかれぢ?
爪木こる
山路も今や
たえぬらむ
里だにふかき
今朝の白雪
つまきこる
やまぢもいまや
たえぬらむ
さとだにふかき
けさのしらゆき


春はまづ
子日の松に
あらず共
ためしに我を
人や引くべき
はるはまづ
ねのひのまつに
あらずとも
ためしにわれを
ひとやひくべき


名にしおはゞ
志くや汀の
玉柳
いり江の浪に
御舟こぐまで
なにしおはば
しくやみぎはの
たまやなぎ
いりえのなみに
みふねこぐまで


秋をへて
君が齡の
あり數に
かり田の稻も
ちづか積むなり
あきをへて
きみがよはひの
ありかずに
かりたのいねも
ちづかつむなり


千代ふべき
難波の芦の
よをかさね
霜のふりはの
鶴の毛衣
ちよふべき
なにはのあしの
よをかさね
しものふりはの
つるのげころも


旅衣
立つあかつきの
鳥の音に
露よりさきも
袖はぬれけり
たびころも
たつあかつきの
とりのねに
つゆよりさきも
そではぬれけり


富士の根の
空にや今は
まがへまし
我身にけたぬ
空し煙を
ふじのねの
そらにやいまは
まがへまし
わがみにけたぬ
むなしけぶりを


待ちわびて
三年も過ぐる
床の上に
猶かはらぬは
涙なり鳬
まちわびて
みとしもすぐる
とこのうへに
なほかはらぬは
なみだなりけり
В тоске ожиданья
Уже прошло три года,
Но на моём ложе
И поныне неизменно
Одно — слёзы...
Примерный перевод

石見がた
人の心は
思ふにも
よらぬ玉藻の
みだれかねつゝ
いしみがた
ひとのこころは
おもふにも
よらぬたまもの
みだれかねつつ


逢ふ迄と
草を冬野に
踏みからし
往來の道の
果を知らばや
あふまでと
くさをふゆのに
ふみからし
ゆききのみちの
はてをしらばや


忘るなよ
消えばともにと
云ひ置きし
末野の草に
結ぶ白露
わするなよ
きえばともにと
いひおきし
すゑののくさに
むすぶしらつゆ


萩のうへの
雁の涙を
かこつとも
戀に色こき
袖やみゆらむ
はぎのうへの
かりのなみだを
かこつとも
こひにいろこき
そでやみゆらむ


山櫻
峯にもをにも
植ゑおかむ
見ぬよの春を
人やしのぶと
やまさくら
みねにもをにも
うゑおかむ
みぬよのはるを
ひとやしのぶと


花さそふ
嵐の庭の
雪ならで
ふりゆく物は
わが身なりけり
はなさそふ
あらしのにはの
ゆきならで
ふりゆくものは
わがみなりけり


眺めつる
身にだにかはる
世中に
いかで昔の
月はすむらむ
ながめつる
みにだにかはる
よのなかに
いかでむかしの
つきはすむらむ


早瀬河
わたる舟人
かげをだに
とゞめぬ水の
あはれよの中
はやせかは
わたるふなびと
かげをだに
とどめぬみづの
あはれよのなか


哀れなど
又とる影の
なかるらむ
雲がくれても
月は出で鳬
あはれなど
またとるかげの
なかるらむ
くもがくれても
つきはいでけり


春は花
ふゆは雪とて
志ら雲の
絶えずたなびく
み吉野の山
はるははな
ふゆはゆきとて
しらくもの
たえずたなびく
みよしののやま


下葉まで
心のまゝに
そめてけり
時雨にあまる
神なびの森
したはまで
こころのままに
そめてけり
しぐれにあまる
かむなびのもり


春秋の
雲居の雁も
とゞまらず
たが玉章の
もじのせきもり
はるあきの
くもゐのかりも
とどまらず
たがたまづさの
もじのせきもり


和田の原
なみと一つに
みくまのゝ
浦の南は
山のはもなし
わたのはら
なみとひとつに
みくまのの
うらのみなみは
やまのはもなし


人知れず
思ひのいろの
下ぞめに
志ぼる泪の
袖をみせばや
ひとしれず
おもひのいろの
したぞめに
しぼるなみだの
そでをみせばや


問はゞやな
みぬめの浦に
住む蜑も
心のうちに
物や思ふと
とはばやな
みぬめのうらに
すむあまも
こころのうちに
ものやおもふと


勅ならで
又ほり移す
宿もがな
ためしにゆるせ
八重の櫻木
ちょくならで
またほりうつす
やどもがな
ためしにゆるせ
やへのさくらき

勅ならで
岩の上に
豫て植ゑける
種しあれば
千年の松も
例とぞ見る
いはのうへに
かねてうゑける
たねしあれば
ちとせのまつも
ためしとぞみる


千々の秋
さやけき月の
かげまでも
畏き御代に
すめる池水
ちちのあき
さやけきつきの
かげまでも
かしこきみよに
すめるいけみづ


新しき
春を近しと
さきぐさの
三葉四葉に
兼ねて志らるゝ
あらたしき
はるをちかしと
さきぐさの
みつばよつばに
かねてしらるる


春風や
なほさむからし
梅の花
咲きそふ枝に
雪はふりつゝ
はるかぜや
なほさむからし
うめのはな
さきそふえだに
ゆきはふりつつ
От ветра весеннего
Так похолодало ль?
На ветви сливы,
Что расцвели уже,
Всё идёт и идёт снег!
Примерный перевод

神代より
かすみもいくへ
隔てきぬ
山田の原の
春の明ぼの
かみよより
かすみもいくへ
へだてきぬ
やまだのはらの
はるのあけぼの


青柳の
糸を緑に
よりかけて
あはずば春に
なにを染めまし
あをやぎの
いとをみどりに
よりかけて
あはずばはるに
なにをそめまし


櫻さく
山はかすみに
うづもれて
みどりの空に
のこる白雲
さくらさく
やまはかすみに
うづもれて
みどりのそらに
のこるしらくも
Горы,
Где сакура цветёт,
Утонули в дымке,
И в зелёных небесах
Остались белые облака!
Примерный перевод

御秡する
幣も取敢へず
水無月の
空に知られぬ
秋風ぞふく
みそぎする
ぬさもとあへず
みなづきの
そらにしられぬ
あきかぜぞふく


たちそむる
かすみのころも
うすけれど
春きてみゆる
四方の山の端
たちそむる
かすみのころも
うすけれど
はるきてみゆる
よものやまのは


春風の
たつたの岸の
柳かげ
流れもやらぬ
なみの下草
はるかぜの
たつたのきしの
やなぎかげ
ながれもやらぬ
なみのしたくさ
Ветром весенним гонимых
На берегу реки Тацута
Отражение ив, —
Словно трава под волнами,
Что неподвластна теченью...
Примерный перевод

かつらぎや
花ふきわたす
春風に
とだえも見えぬ
久米の岩橋
かつらぎや
はなふきわたす
はるかぜに
とだえもみえぬ
くめのいははし


ながめこし
むかしをとほく
思ふにも
ふりゆく花の
色ぞしらるる
ながめこし
むかしをとほく
おもふにも
ふりゆくはなの
いろぞしらるる


踏めば惜し
踏までは人も
訪ひがたみ
風ふきわけよ
花の白雪
ふめばをし
ふまではひとも
とひがたみ
かぜふきわけよ
はなのしらゆき