大井河
こほりも秋は
岩こえて
月にながるゝ
水の志らなみ
おほゐかは
こほりもあきは
いはこえて
つきにながるる
みづのしらなみ


知らせばや
消えなむ後の
烟にも
立ちそふばかり
思ふ心を
しらせばや
きえなむのちの
けぶりにも
たちそふばかり
おもふこころを


行きとまる
草の枕の
露にしも
我れ待ち顏に
やどる月かな
ゆきとまる
くさのまくらの
つゆにしも
われまちかほに
やどるつきかな


たちはなの
匂ひをさそふ
夕風に
忍ふむかしそ
遠さかりゆく
たちはなの
にほひをさそふ
ゆふかぜに
しのふむかしそ
とほさかりゆく


茂りあふ
木のしたつゝく
み山ちは
分ゆく袖も
涼しかりけり
しげりあふ
このしたつつく
みやまちは
わけゆくそでも
すずしかりけり