せきかぬる
心のうちの
瀧つ瀬や
はては涙の
河となるらむ
せきかぬる
こころのうちの
たきつせや
はてはなみだの
かはとなるらむ


立ち歸り
幾たび袖を
ぬらすらむ
よそになるみの
沖つ白波
たちかへり
いくたびそでを
ぬらすらむ
よそになるみの
おきつしらなみ


大荒木の
杜のうき田の
五月雨に
袖干しあへず
早苗取るなり
おほあらぎの
もりのうきたの
さみだれに
そでひしあへず
さなへとるなり


さりともと
ねても覺めても
頼む哉
愚なる身を
神に任せて
さりともと
ねてもさめても
たのむかな
おろかなるみを
かみにまかせて


背かれぬ
我身の程の
難面さも
世のうきにこそ
思知りぬれ
そむかれぬ
わがみのほどの
つれなさも
よのうきにこそ
おもひしりぬれ


鳥の音は
ふもとの里に
音づれて
峯より西に
のこる月かげ
とりのおとは
ふもとのさとに
おとづれて
みねよりにしに
のこるつきかげ