哀とて
我が寐覺とふ
人もがな
思ふこゝろを
言ひも盡さむ
あはれとて
わがねざめとふ
ひともがな
おもふこころを
いひもつくさむ


水鳥の
賀茂の神山
さえくれて
まつの青葉も
雪降りにけり
みづとりの
かものかみやま
さえくれて
まつのあをばも
ゆきふりにけり


鴈なきて
朝風寒し
故里に
我が思ふいもや
ころもうつらむ
かりなきて
あさかぜさむし
ゆゑさとに
わがおもふいもや
ころもうつらむ


峯に立つ
雲も別れて
吉野川
あらしにまさる
花のしらなみ
みねにたつ
くももわかれて
よしのかは
あらしにまさる
はなのしらなみ


雲もなほ
志たに立ちける
棧の
遙かに高き
木曾のやまみち
くももなほ
したにたちける
かけばしの
はるかにたかき
きそのやまみち


住み侘びぬ
わが身伴なへ
秋の月
いづくの方の
野山なりとも
すみわびぬ
わがみともなへ
あきのつき
いづくのかたの
のやまなりとも


暁の
別れのきはに
しられけり
またと思はぬ
人のけしきは
あかつきの
わかれのきはに
しられけり
またとおもはぬ
ひとのけしきは