時鳥
鳴きて過ぎ行く
山の端に
今ひとこゑと
月ぞのこれる
ほととぎす
なきてすぎゆく
やまのはに
いまひとこゑと
つきぞのこれる
杉立てる
門田の面の
秋風に
月かげさむき
三輪のやまもと
すぎたてる
かどたのおもの
あきかぜに
つきかげさむき
みはのやまもと
僞の
契ならずば
おのづから
人もひと目の
ひまや待つらむ
いつはりの
ちぎりならずば
おのづから
ひともひとめの
ひまやまつらむ
萩が花
うつりにけりな
白露に
濡れにし袖の
色かはるまで
はぎがはな
うつりにけりな
しらつゆに
ぬれにしそでの
いろかはるまで
卯の花の
垣根ばかりの
夕月夜
をちかたびとの
道や迷はむ
うのはなの
かきねばかりの
ゆふつくよ
をちかたびとの
みちやまよはむ
山深き
すみかならずば
庭の雪に
訪はれぬ迄も
跡や待たれむ
やまふかき
すみかならずば
にはのゆきに
とはれぬまでも
あとやまたれむ
行くすゑを
待ち見むまでの
命こそ
契に添へて
疑はれけれ
ゆくすゑを
まちみむまでの
いのちこそ
ちぎりにそへて
うたがはれけれ
自づから
逢ふ夜はかはる
心かな
涙や戀の
ひまを知るらむ
おのづから
あふよはかはる
こころかな
なみだやこひの
ひまをしるらむ