いつしかと
我が名は立ちぬ
敷妙の
枕に誰か
知せ初めけむ
いつしかと
わがなはたちぬ
しきたへの
まくらにたれか
しらせそめけむ


ことの葉の
移ろふだにも
憂きなかに
今は梢の
秋風ぞ吹く
ことのはの
うつろふだにも
うきなかに
いまはこずゑの
あきかぜぞふく


吉野川
たぎつ流も
こほるなり
山した風や
さえまさるらむ
よしのかは
たぎつながれも
こほるなり
やましたかぜや
さえまさるらむ


あらち山
矢田の庵野の
月影に
やどり殘さぬ
淺茅生のつゆ
あらちやま
やたのいほのの
つきかげに
やどりのこさぬ
あさぢうのつゆ


富士の嶺を
ふりさけ見れば
白雪の
尾花に續く
武藏野の原
ふじのみねを
ふりさけみれば
しらゆきの
をはなにつづく
むさしののはら


戀侘びぬ
いかに待ち見む
三輪の山
杉立つ門は
訪ふ人もなし
こひわびぬ
いかにまちみむ
みはのやま
すぎたつかどは
とふひともなし


片糸の
をだえの橋や
我が中に
かけしばかりの
契なるらむ
かたいとの
をだえのはしや
わがなかに
かけしばかりの
ちぎりなるらむ