木のもとは
そことも見えで
春の夜の
かすめる月に
梅がゝぞする
このもとは
そこともみえで
はるのよの
かすめるつきに
うめがかぞする
Весенней ночью,
Когда деревьев совсем
Не видно
В свете неясной луны
Всё в аромате сливы!
花ちれる
水のながれを
せきとめて
春をもかへせ
小田のますらを
はなちれる
みづのながれを
せきとめて
はるをもかへせ
をだのますらを
明日までも
猶咲かゝれ
藤の花
春のゆかりの
色ぞともみむ
あすまでも
なほさきかかれ
ふぢのはな
はるのゆかりの
いろぞともみむ
一聲は
それかあらぬか
ほとゝぎす
おなじね覺の
人にとはゞや
ひとこゑは
それかあらぬか
ほととぎす
おなじねさめの
ひとにとはばや
Вот бы встретить мне тех,
Кто не спит, как и я,
И внимает:
Был ли это голос кукушки
Или, может быть, то показалось?..
夏の日の
入ぬる磯の
松がねに
夕浪かけて
風ぞ凉しき
なつのひの
いりぬるいその
まつがねに
ゆふなみかけて
かぜぞすずしき
問人も
なき宿からの
さびしさを
秋ぞとつぐる
荻の上風
とふひとも
なきやどからの
さびしさを
あきぞとつぐる
をぎのうはかぜ
難波江や
芦の浦風
更る夜に
月の御舟は
さはらでぞ行
なにはえや
あしのうらかぜ
ふけるよに
つきのみふねは
さはらでぞゆく
しきたへの
枕もうとく
成にけり
月になれ行
秋の夜な〳〵
しきたへの
まくらもうとく
なりにけり
つきになれゆく
あきのよなよな
忘じよ
わするな神も
月雪の
夜半にたむくる
松風の聲
わすれじよ
わするなかみも
つきゆきの
よはにたむくる
まつかぜのこゑ
さすが又
忍ぶはおなじ
心とも
まだ世にもれぬ
うき名にぞしる
さすがまた
しのぶはおなじ
こころとも
まだよにもれぬ
うきなにぞしる
いかさまに
忍すぐして
有はてぬ
命まつまの
うき名もらさじ
いかさまに
しのびすぐして
ありはてぬ
いのちまつまの
うきなもらさじ
あふ事に
かへぬとだにも
思はゞや
只いたづらに
戀しなん身を
あふことに
かへぬとだにも
おもはばや
ただいたづらに
こひしなんみを
去ともと
思ふ心も
つきはてぬ
待夜更行
かねのひゞきに
さりともと
おもふこころも
つきはてぬ
まつよけふゆく
かねのひびきに
かよひこし
人は軒ばの
忘草
露かゝれとは
契やはせし
かよひこし
ひとはのきばの
わすれくさ
つゆかかれとは
ちぎりやはせし
すまの蟹の
しほやき衣
まとをにも
かさねし程は
恨やはせし
すまのかにの
しほやきころも
まとをにも
かさねしほどは
うらみやはせし
このまゝに
うき世へだてよ
山里の
ふがきと賴む
庭の呉竹
このままに
うきよへだてよ
やまざとの
ふがきとたのむ
にはのくれたけ
有增の
こゝろのまゝに
みる夢の
覺てかはらぬ
うつゝともがな
あらましの
こころのままに
みるゆめの
さめてかはらぬ
うつつともがな
つらかりし
三月の夜半の
泪より
袖にや月の
霞そめけん
つらかりし
みつきのよはの
なみだより
そでにやつきの
かすみそめけん
けふは又
あやめの草に
引かへて
うきねぞかゝる
椎柴の袖
けふはまた
あやめのくさに
ひきかへて
うきねぞかかる
しひしばのそで
むら雲に
かくれもはてぬ
月みても
又みぬかけぞ
更に悲しき
むらくもに
かくれもはてぬ
つきみても
またみぬかけぞ
さらにかなしき