九重の
都に春や
立ぬらん
あまつ雲井の
けさはかすめる
ここのへの
みやこにはるや
たちぬらん
あまつくもゐの
けさはかすめる
В девятислойной
Столице не весна ль
Началась?
Колодец облаков на небе
С утра дымкой затянуло!
Примерный перевод
* коконоэ-но — обычно про столицу или государев дворец
いとはやも
谷の古巣を
出そめて
人にまたれぬ
鶯のこゑ
いとはやも
たにのふるすを
いでそめて
ひとにまたれぬ
うぐひすのこゑ
Насколько ж рано
Из гнёзд в долине
Раздался первый,
Никем не жданный
Голос соловья!
Примерный перевод

春くれば
霞をかけて
かつらきや
山の尾上ぞ
遠ざかり行
はるくれば
かすみをかけて
かつらきや
やまのおのえぞ
とほざかりゆく


さても身の
春や昔に
かはるらん
ありしにもあらず
かすむ月哉
さてもみの
はるやむかしに
かはるらん
ありしにもあらず
かすむつきかな


はては又
こゑもかすかに
成にけり
空にきえ行
雁の一行
はてはまた
こゑもかすかに
なりにけり
そらにきえゆく
かりのひとつら
И снова
Голоса еле слышны
стали,
Исчезает в небесах
Клин гусиный.
Примерный перевод

さかぬより
まづ面影を
さきだてゝ
まつ日かさなる
山櫻哉
さかぬより
まづおもかげを
さきだてて
まつひかさなる
やまさくらかな


はつせ山
入あひの鐘も
うちわびぬ
あかでくれぬる
花の名殘に
はつせやま
いりあひのかねも
うちわびぬ
あかでくれぬる
はなのなごりに


時しあれば
嵐のかぜも
吹ぬ世に
けふこそ櫻
長閑にはみれ
ときしあれば
あらしのかぜも
ふきぬよに
けふこそさくら
のどかにはみれ


身のよそに
立別ても
戀しきは
みはしの花の
むかしなりけり
みのよそに
たちわかれても
こひしきは
みはしのはなの
むかしなりけり


今はゝや
わが身ふり行
春をゝきて
うつろふ花を
惜むはかなさ
いまははや
わがみふりゆく
はるををきて
うつろふはなを
をしむはかなさ


よしの河
夕浪かけて
行春の
かへらぬ色を
見する山吹
よしのかは
ゆふなみかけて
ゆくはるの
かへらぬいろを
みするやまぶき


百敷や
けふ宮人は
あかざりし
花のかとりの
しらがさねせり
ももしきや
けふみやひとは
あかざりし
はなのかとりの
しらがさねせり

白襲
夜をかさね
つれなしとても
時鳥
またではいかゞ
有明の空
よをかさね
つれなしとても
ほととぎす
またではいかが
ありあけのそら


一こゑの
名殘有明の
月影に
更にまたるゝ
ほとゝぎすかな

ひとこゑの
なごりありあけの
つきかげに
さらにまたるる
ほととぎすかな



五月雨に
にごりておつる
瀧の上の
御舟の山は
雲ぞかゝれる
さみだれに
にごりておつる
たきのうへの
みふねのやまは
くもぞかかれる
Над водопадом,
Что помутился
От летнего дождя,
Гору Мифунэ
Покрыли тучи!
Примерный перевод

暮ゆかば
あふ瀬にわたせ
天川
水かげ草の
露のたまはし
くれゆかば
あふせにわたせ
あまのがは
みづかげくさの
つゆのたまはし


こゝろから
又うへをきて
荻の葉に
こぞもうかりし
風を聞哉
こころから
またうへをきて
をぎのはに
こぞもうかりし
かぜをきくかな


忘れめや
みかきにちかき
にふ河の
ながれにうきて
くだる秋霧
わすれめや
みかきにちかき
にふかはの
ながれにうきて
くだるあききり


よそにたつ
雲をもはらへ
夕月夜
うつろふ山の
峯の秋風
よそにたつ
くもをもはらへ
ゆふつきよ
うつろふやまの
みねのあきかぜ


又やみん
松吹風も
すみの江や
名だかき月の
秋のこよひを
またやみん
まつふくかぜも
すみのえや
なだかきつきの
あきのこよひを


山ざとは
夜寒かさねて
をく霜の
みの代衣
いまやうつらん
やまざとは
よさむかさねて
をくしもの
みのしろごろも
いまやうつらん


あさな〳〵
時雨ぬかたも
嵐山
嶺にもおにも
そむる紅葉ば
あさなあさな
しぐれぬかたも
あらしやま
みねにもおにも
そむるもみぢば


冬きぬと
けさはいぶきの
嶺におふる
さしもくもらぬ
空ぞしぐるゝ
ふゆきぬと
けさはいぶきの
みねにおふる
さしもくもらぬ
そらぞしぐるる
Пришла зима.
И утром этим на Ибуки-горе,
Где растёт полынь,
И нету облаков обычно,
Льёт дождь!
Примерный перевод

ちれば又
行衞しられぬ
木葉かな
とはゞやさそふ
風の宿りを
ちればまた
ゆくへしられぬ
このはかな
とはばやさそふ
かぜのやどりを


ますげたき
そがの河風
ふけぬとや
しば鳴鵆
聲ぞさびしき
ますげたき
そがのかはかぜ
ふけぬとや
しばなくちどり
こゑぞさびしき

ますげよき
ちがの河風
ふりそむる
みかきの雪は
あさけれど
つかへてしるす
跡や残らん
ふりそむる
みかきのゆきは
あさけれど
つかへてしるす
あとやのこらん


うづもるゝ
響もさびし
泊瀬山
入逢の鐘に
ふれる白雪
うづもるる
ひびきもさびし
はつせやま
いりあひのかねに
ふれるしらゆき

瀬: иероглиф отличается в книге: 氵賴
忘ずよ
雲井にさゆろ
六の緒の
しらべをそへし
星の光は
わすれずよ
くもゐにさゆろ
むつのをの
しらべをそへし
ほしのひかりは


袖の上に
いつより露は
みだるらん
戀を忍の
比もへぬまに
そでのうへに
いつよりつゆは
みだるらん
こひをしのびの
ころもへぬまに


問かしな
袖のみぬれて
池水の
いひいでがたき
したの心を
とへかしな
そでのみぬれて
いけみづの
いひいでがたき
したのこころを


しられじな
忍の浦に
をく網の
しげき人めを
歎わぶとも
しられじな
しのぶのうらに
をくあみの
しげきひとめを
なげきわぶとも


人めせく
いはまの水の
わきかへり
むせぶ心は
行かたもなし
ひとめせく
いはまのみづの
わきかへり
むせぶこころは
ゆくかたもなし


いかにして
しるといふらん
歎わび
ぬる夜だになき
床の枕は
いかにして
しるといふらん
なげきわび
ぬるよだになき
とこのまくらは


こゝろひく
かたにはよらで
梓弓
猶遠ざかる
身の契かな
こころひく
かたにはよらで
あづさゆみ
なほとほざかる
みのちぎりかな


秋と吹
風のやどりは
うき人の
こゝろなりけり
行てうらみん
あきとふく
かぜのやどりは
うきひとの
こころなりけり
ゆきてうらみん


はては又
かりにもとはず
忘らるゝ
我身うづらの
ねをばなけども
はてはまた
かりにもとはず
わすらるる
わがみうづらの
ねをばなけども


いかにして
春をもしらぬ
我門に
うへし柳は
陰なびくらん
いかにして
はるをもしらぬ
われかどに
うへしやなぎは
かげなびくらん


つゐにわが
袖ふれざりし
橘の
木ずゑをならす
ほとゝぎす哉
つゐにわが
そでふれざりし
たちばなの
こずゑをならす
ほととぎすかな


夏草の
ことしげかりし
さがの山
思ぞ出る
千代のふるみち
なつくさの
ことしげかりし
さがのやま
おもひぞいづる
ちよのふるみち


年をへて
いたゞく霜の
蓬生に
影すさまじく
更る月哉
としをへて
いただくしもの
よもぎうに
かげすさまじく
ふくるつきかな


忍ばるゝ
昔のわかの
浦鵆
跡はかはらぬ
ねをもきくかな
しのばるる
むかしのわかの
うらちどり
あとはかはらぬ
ねをもきくかな


おさまれる
世にあふ坂の
關の戶は
明ながらこそ
鳥も鳴けれ
おさまれる
よにあふさかの
せきのとは
あけながらこそ
とりもなきけれ


命あれば
三代につかふる
名もとまつ
六十年のいまの
關の藤川
いのちあれば
みよにつかふる
なもとまつ
みそぢのいまの
せきのふぢかは

イ:名もとめつ
色も香も
千世まで匂へ
百敷や
こりさく梅は
いま盛なり
いろもかも
ちよまでにほへ
ももしきや
こりさくうめは
いまさかりなり