待ほどの
心づくしや
山櫻
花にものおもふ
はじめなるらむ
まちほどの
こころづくしや
やまさくら
はなにものおもふ
はじめなるらむ


あまの河
けさしらなみの
立歸り
年のわたりを
又やまつらん
あまのかは
けさしらなみの
たちかへり
としのわたりを
またやまつらん


日にむかひ
月に忘ぬ
こゝろをば
たゞ半天に
思ひやらなん
ひにむかひ
つきにわすれぬ
こころをば
ただなかそらに
おもひやらなん


おほかたの
月だに空に
くもらずば
我身の秋よ
さもあらばあれ
おほかたの
つきだにそらに
くもらずば
わがみのあきよ
さもあらばあれ


庭はあれて
あだなる草の
戶ざし哉
夜な〳〵霜の
結ぶばかりは
にははあれて
あだなるくさの
とざしかな
よなよなしもの
むすぶばかりは


なき跡の
哀を人の
とふたびに
我もなみだの
露ぞ落そふ
なきあとの
あはれをひとの
とふたびに
われもなみだの
つゆぞおちそふ


をくり置し
露のありかを
きてみれば
苔の筵に
月ぞやどれる
をくりおし
つゆのありかを
きてみれば
こけのむしろに
つきぞやどれる


そのまゝに
忘れむとすれば
更に又
泪もよほす
水莖の跡
そのままに
わすれむとすれば
さらにまた
なみだもよほす
みづぐきのあと


春日影
のどけき雲の
上なれば
梅も千とせの
香に匂ふ也
かすがかげ
のどけきくもの
うへなれば
うめもちとせの
かににほふなり