ほとゝきす
なれよ何とて
鳴声の
さ月まつまは
つれなかるらん
ほとときす
なれよなにとて
なくこゑの
さつきまつまは
つれなかるらん
かつらきや
とよらの寺の
秋の月
にしに成まて
影をこそみれ
かつらきや
とよらのてらの
あきのつき
にしになるまて
かげをこそみれ
いつもふる
袖の時雨に
わかねとも
空こそくもれ
冬やきぬらん
いつもふる
そでのしぐれに
わかねとも
そらこそくもれ
ふゆやきぬらん
年をふる
涙よいかに
あふことを
猶いなふちの
わきまされとや
としをふる
なみだよいかに
あふことを
なほいなふちの
わきまされとや
木のはのみ
空にしられぬ
時雨かと
思へはまたも
ふる涙かな
このはのみ
そらにしられぬ
しぐれかと
おもへはまたも
ふるなみだかな