三月一日、ごとうの御神事に、きやうぶくにて仁壽殿のつまの局にわたりゐたりしに、左衞門の陣むきなれば、東三條の木ずゑも、ちかくみえわたされて、いとおもしろし。



けふは陣に公事ありて、經光の宰相・頭中將・頭辨もまゐり、たきぐちどもしたがひてみゆるもをかし。



宗雅・光國なども參る。



花もさかりにいとおもしろきに、をりしも大宮大納言參り給ふ。



なほしすがた常よりも心ことに、にほひ深くみえたまひしかば、辨内侍あをかりぎぬきたる人ぞ御ともにはありし。



花の色に
くらべて今ぞ
思ひしる
櫻に増る
匂ひ有りとは
はなのいろに
くらべていまぞ
おもひしる
さくらにまさる
にほひありとは