九月八日、までの小路大納言、ひろ御所に夜ばむにしにゆくおとして、さぶらひ給ひしに、きくにつけて、少將内侍、




夜ばむ〔旡イ〕
菊のうへに
おきゐる露も
有るものを
たれ徒らに
ねであかす覽
きくのうへに
おきゐるつゆも
あるものを
たれいたづらに
ねであかすらん


返事、大納言、



九重の
雲のうへふし
袖さえて
まどろむ程の
時のまもなし
ここのへの
くものうへふし
そでさえて
まどろむほどの
ときのまもなし


「雲のうへふし」いとやさしくて、辨の内侍、



まどろまぬ
程をきくにぞ
思ひしる
露をかたしく
雲のうへ人
まどろまぬ
ほどをきくにぞ
おもひしる
つゆをかたしく
くものうへひと