平中物語
- 第11段
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また、この男、人ともの言ふに、返り事はするものから、会はでほど経ければ、男。
また、この男、人ともの言ふに、返り事はするものから、会はでほど経ければ、男。
われのみや
燃えて帰らむ
世とともに
思ひもならぬ
富士の嶺のこと
われのみや
もえてかへらむ
よとともに
おもひもならぬ
ふじのねのこと
* 底本「思ひおもひも」。衍字とみて削除。
Тайра Садафун
танка
Фудзисан
любовь
後撰和歌集 > 巻第十 恋歌二 > #648
女、返し。
女、返し。
富士の嶺の
ならぬ思ひも
燃えば燃え
かたみに消たぬ
むなし煙を
ふじのねの
ならぬおもひも
もえばもえ
かたみにけたぬ
むなしけぶりを
* 底本「かたみに」
танка
каэси-ута
любовь
Фудзисан
古今和歌集 > 巻十九 雑体 > #1028
また、男、返し。
また、男、返し。
神よりも
君は消たなん
誰により
生々し身の
燃ゆる思ひぞ
かみよりも
きみはけたなん
たれにより
なまなましみの
もゆるおもひぞ
танка
каэси-ута
また、女、返し。
また、女、返し。
かれぬ身を
燃ゆと聞くとも
いかがせむ
消ちこそ知らね
水ならぬ身は
かれぬみを
もゆときくとも
いかがせむ
けちこそしらね
みづならぬみは
танка
каэси-ута
かう歌も詠み、をかしかりけれど、まめやかに、「にげなし」と言ひければ、言ひやみにけり。
かう歌も詠み、をかしかりけれど、まめやかに、「にげなし」と言ひければ、言ひやみにけり。