また、この男、一つをの家に、従姉妹どもぞ、よき女どもにてある。
また、この男、一つをの家に、従姉妹いとこどもぞ、よき女どもにてある。


初めはよろしとも見ざりけるを、いとよく生ひ出でにければ、かの男、心をつけて、「いかならむ折に、ものを言はむ」と思ふに、若菰のあるを、女、取りまさぐりけるを見て、
初めはよろしとも見ざりけるを、いとよく生ひ出でにければ、かの男、心をつけて、「いかならむ折に、ものを言はむ」と思ふに、若菰わかこものあるを、女、取りまさぐりけるを見て、


沼水に
君は生ひねど
刈る菰の
目に見す見すも
生ひまさるかな
ぬまみづに
きみはおひねど
かるこもの
めにみすみすも
おひまさるかな


女、返し。
女、返し。


刈る菰の
目に見る見るぞ
うとまるる
心浅香の
沼に見ゆれば
かるこもの
めにみるみるぞ
うとまるる
こころあさかの
ぬまにみゆれば


とは言ふものか。
とは言ふものか。