本朝神仙傳
- 都藍尼事
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都藍尼者、大和國人也。
都藍尼
とらんに
は、大和の國の人なり。
Ямато
行佛法得長生。
佛法を行じ長生を得。
不知幾百年。
幾百年なるを知らず。
住吉野山麓、日夜精勤。
吉野山の麓に住み、日夜精勤す。
Ёсинояма
欲攀上金峰山。
金峰山に攀じ上らんと欲す。
Кинпу
雷電霹靂、遂不得到。
雷電霹靂し、遂に到るを得ず。
此山、以黄金敷地。
この山は、黄金をもつて地に敷く。
爲待慈尊出世、金剛藏王守之、兼爲戒地。
慈尊の出世を待つがために、金剛藏王これを守り、兼ねて戒の地と爲す。
不通女人之故也。
女人を通ぜざる
之故
ゆゑん
也。
所持之杖變爲樹木、所拘之地陷爲水泉。
持つ所の之杖は變じて樹木と爲り、拘る所の之地は陷て水泉と爲る。
爪跡猶存。
爪の跡なほ存すと。