東寺僧求長生、仕夜叉神。
東寺の僧長生を求め、夜叉神に仕ふ。


慕白日昇天、仙神可許。
白日昇天を慕ひ、仙神も許すべし。


告諸人云、其日將歩虚。
諸人に告げて云く、その日まさに虚に歩かんとすと。


貴賤上下、軒騎滿溢。
貴賤上下、軒騎滿溢す。


僧整法服、持香爐、觀念而居。
僧法服を整へ、香爐を持し、觀念して居る。


夜叉負之。
夜叉これを負ふ。


漸漸昇天。
漸漸として昇天す。


不見夜叉、只見僧昇。
夜叉を見ず、只僧の昇るを見る。


既入雲霄、眇然不見。
既に雲霄に入り、眇然として見えず。


緇素感歎、撞鐘諷誦。
緇素感歎し、鐘を撞いて諷誦す。


頃之香爐忽落。
頃くして之香爐忽ち落つ。


次此僧又降自九霄。
次いでこの僧又九霄より降る。


頭足宛轉、墮地而碎。
頭足宛轉し、地に墮ちて碎く。


啻曰、逢四天王來下、夜叉棄我而去。
ただ曰く、四天王の來下するに逢ひ、夜叉我を棄てて去ると。