御政より始めて、よろづめでたき御世の例には、まづこの御事をのみこそ申すめれ。
御政より始めて、よろづめでたき御世の例には、まづこの御事をのみこそ申すめれ。
娥皇・女英と聞こえ給ふ、二人の后さぶらひ給ひけり。
ただ、花か紅葉などの様に、浅からぬ御事にてなん侍りける。
かくて多くの年月をなむ保たせ給ひけれど、この世は限りある所なれば、御門、湘浦といふ所にて、はかなくならせ給ひぬ。
その後、二人の后、紅の涙を流し給ひて、古きを思せりければ、籬の呉竹も御涙に染まりて、まだらになりにけり。
その後、二人の后、紅の涙を流し給ひて、古きを思せりければ、籬の呉竹も御涙に染まりて、まだらになりにけり。
君恋ふる
心の色の
深きには
竹も涙に
染むとこそ聞け
きみこふる
こころのいろの
ふかきには
たけもなみだに
そむとこそきけ