昔、梁鴻といふ人、孟光にあひ具して、年ごろ住みけり。
この孟光、世にたぐひなくみめ悪くて、これを見る人、心を惑はして騒ぐほどなりけれど、この夫をまたなきものに思ひて、かしづき敬ふこと、思ふにも過ぎたりけり。
この孟光、世にたぐひなくみめ悪くて、これを見る人、心を惑はして騒ぐほどなりけれど、この夫をまたなきものに思ひて、かしづき敬ふこと、思ふにも過ぎたりけり。
朝な夕なに飯匙取りて、笥子の器物に盛りつつ、眉の上に捧げて、懇ろに勧めければ、「斉眉の礼」とぞ、今は言ひ伝へたる。
朝な夕なに飯匙取りて、笥子の器物に盛りつつ、眉の上に捧げて、懇ろに勧めければ、「斉眉の礼」とぞ、今は言ひ伝へたる。
さもあらばあれ
玉の姿も
何ならず
ふた心なき
妹がためには
さもあらばあれ
たまのすがたも
なにならず
ふたこころなき
いもがためには
心ざしだに浅からずば、玉の姿・花の形ならずとも、まことに口惜しからじかし。