まどのうちひとつにかしづかれて、おやのおきてにしたがひて、世をすぐすほどは、おほくのとがももてかくされてやすく候。



ふるくもこれていの事は申て候やうに、かたはなるべき事はひきかくし、よにもれ聞えてよかるべきことをば、こと〴〵しくまねびたてなどし候へば、心にくゝ候を、つねならぬよのならひ、さてしもありはつるやう候はず。



たのめし松もかれはてゝ、下葉かれゆく呉竹のおのがよゝにわかれぬる後は、



よるべなう心ぼそき物にて候につきては、人にもあさはかにおもひおとしめられ、心よりほかにかろ〴〵しくなももれぬべき事にて候。


*「よからぬ」か。
御身にちかく候はん人のよからん*につけても、うきなをもながし、そしりをもおひぬべき事にて候。



たかきまじらひにつけては、ことに品々わきたる心おきてのあらまほしく候ぞ。