人の心のきはは、たはれごと、なほざりの詞にみゆる物にて候ぞ。



うへにはなにともなきやうにふるまひなして、上ずめかしう、人をあざむくていには見えぬものから、心のそこには、ひしと一とほりをおもひこめて、はじめよりすゑのことまでたがへず、ものをもおほせられ候へ。



うすきをこくいひなし、おろかなるをふかきにいひなして、「さしもやは。」とおぼゆることに色をそへて申なすことも、かへす〴〵わろきものにて候。



たゞ何事もいつはりかざらず、「げに。」とおぼゆるやうに候へば、かひ〴〵しからず候へど、ものしてはよく候ぞ。



大かたは人をもうらなくうちたのみ、なつかしきさまに見せて、名殘なくうちとけさせ給候まじく候。



さのみ又、われきもありがほにさかしばみ、にくいげしたるもてなしなどは、いさゝかも候まじく候。



人にはうとからず、したしからず、いつもけぢめ見えぬやうにふるまはせおはしませ。