をかし男有けり。

Был один забавный человек.

名人の碁うちへ石なをされにいきけり。



大身なる所なれば、たび〳〵もえうたて藁苞などに文やり朔日節供にかよひけり。



人より下手にもあらねど、まけ度かさなりければ、あるじ其あひ手に夜ことに上手をつけてうたせければ、うてど、えかたで、手もなをらざりけり。



さてよめる。



ひとつふたつ
わが手なをらぬ
ものならば
よひ〳〵碁をば
うちもしななん
ひとつふたつ
わがてなをらぬ
ものならば
よひよひごをば
うちもしななん


とよめりければ、いとやさしかりける。



あるじゆるしてけり。