仁勢物語
- #9
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をかし男有けり。
その男身をえうなき物におもひなして、「京にはあらじ。あづまの方に住べき」とて、行けり。
Адзума
つれとする人ひとりふたり行けり。
道しれる人もなくて、とふてゆきけり。
三河の國岡崎と云所にいたりぬ。
Микава
そこを岡崎とは茶うりあるによりてなん岡崎とはいひける。
岡崎=「静岡と言えばお茶」と言うようなもの
その近くの家に立よりて旅籠めしくひけり。
その棚に柿つへたいとおほく有けり。
それを見て、つれ人「かきつへたといふ五もしを句のかみにすへて、旅の心をよめ」といひけれはよめる、
柿つへた=柿の蒂
かちみちを
きのふもけふも
すあしたれは
はしりきれぬる
たひをしそおもふ
かちみちを
きのふもけふも
すあしたれは
はしりきれぬる
たひをしそおもふ
かちみち=徒歩道
すあし=素足
とよめりけれは、皆人わらひにけり。