廿一日。



霧雨降ル、辰上尅止。



宿ヲ出ル。



町ヨリ西ノ方ニ住吉・玉嶋ヲ一所ニ祝奉宮有。



古ノ関ノ明神故ニ二所ノ関ノ名有ノ由、宿ノ主申ニ依テ参詣。



ソレヨリ戻リテ関山ヘ参詣。



行基菩薩ノ開基。



聖武天皇ノ御願寺、正観音ノ由。



成就山満願寺ト云。



旗ノ宿ヨリ峯迄一里半、麓ヨリ峯迄十八丁。



山門有。



本堂有。



奥ニ弘法大師・行基菩薩堂有。



山門ト本堂ノ間、別当ノ寺有。



真言宗也。



本堂参詣ノ比、少雨降ル。



暫時止。



コレヨリ白河ヘ壱里半余。



中町左五左衛門ヲ尋。



大野半治ヘ案内シテ通ル。



黒羽ヘ之小袖・羽織・状、左五左衛門方ニ預置。



矢吹ヘ申ノ上尅ニ着、宿カル。



白河ヨリ四里。



今日昼過ヨリ快晴。



宿次道程ノ帳有リ。



○白河ノ古関ノ跡、旗ノ宿ノ下里程下野ノ方、追分ト云所ニ関ノ明神有由。



相楽乍憚ノ伝也。



是ヨリ丸ノ分同ジ。



○忘ず山ハ今ハ新地山ト云。



但馬村ト云所ヨリ半道程東ノ方ヘ行。



阿武隈河ノハタ。



○二方ノ山、今ハ二子塚村ト云。



右ノ所ヨリアブクマ河ヲ渡リテ行。



二所共ニ関山ヨリ白河ノ方、昔道也。



二方ノ山、古哥有由。



みちのくの
阿武隈川の
わたり江に
人忘れずの
山は有けり
みちのくの
あぶくまがはの
わたりえに
ひとわすれずの
やまはありけり


うたゝねの森、白河ノ近所、鹿島の社ノ近所。



今ハ木一、二本有。



かしま成
うたゝねの森
橋たえて
いなをふせどりも
通はざりけり
かしまなる
うたたねのもり
はしたえて
いなをふせどりも
かよはざりけり


○宗祇もどし橋、白河ノ町(石山より入口)より右、かしまへ行道、ゑた町有。



其きわに成程かすか成橋也。



むかし、結城殿数代、白河を知玉フ時、一家衆寄合、かしま
ニて連歌有時、難句有レ之。



いづれも三日付ル事不レ成。



宗祇、旅行ノ宿ニテ被レ聞之て、其所ヘ被レ趣時、四十計ノ女出向、宗祇に「いか成事にて、いづ方へ」と問。



右ノ由尓々。



女「それハ先に付侍りし」と答てうせぬ。



月日の下に
独りこそすめ
つきひのしたに
ひとりこそすめ


付句



かきおくる
文のをくには
名をとめて
かきおくる
ふみのをくには
なをとめて


と申ければ、宗祇かんじられてもどられけりと云伝。