篁物語
- 第1段
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親の、いとよくかしづきける、人のむすめ、ありけり。
親の、いとよくかしづきける、人のむすめ、ありけり。
女のする才のかぎり、しつくして、「今は書読ませむ」とて、「博士にはむつまじからむ人をせむ」とて、異腹の兄、大学の衆にてありけり。
女のする
才
ざえ
のかぎり、しつくして、「今は
書
ふみ
読ませむ」とて、「博士にはむつまじからむ人をせむ」とて、
異腹
ことはら
の
兄
このかみ
、大学の
衆
しゆう
にてありけり。
異腹なれば、うとくて、
異腹なれば、うとくて、
「あひ見ず」
「あひ見ず」
などありけれど、
などありけれど、
「知らぬ人よりは」
「知らぬ人よりは」
とて、簾ごしに、几帳たててぞ、読ませける。
とて、簾ごしに、几帳たててぞ、読ませける。