かく言ひて、心はかよひけれど、親にもつつみ、人にもさはりければ、心とけて久しくも語らはずあり。
かく言ひて、心はかよひけれど、親にもつつみ、人にもさはりければ、心とけて久しくも語らはずあり。


されど、いかでか入りけむ、この妹の寝たる所へ入りにけり。
されど、いかでか入りけむ、この妹の寝たる所へ入りにけり。


いと忍びて、まだ夜ふかく、出でにけり。
いと忍びて、まだ夜ふかく、出でにけり。


たまさかに入りは入りたれど、あふことは難かりけり。
たまさかに入りは入りたれど、あふことは難かりけり。


常に向かひにければ、夜は逢はず、なかなかに心はそらにて、「いかにせむ」と思ひ嘆きて
常に向かひにければ、夜は逢はず、なかなかに心はそらにて、「いかにせむ」と思ひ嘆きて


うちとけぬ
ものゆゑ夢を
見てさめて
あかぬもの思ふ
ころにもあるかな
うちとけぬ
ものゆゑゆめを
みてさめて
あかぬものおもふ
ころにもあるかな


返し
返し


寝も寝ずは
夢にも見えじを
あふことの
嘆く嘆くも
あかし果てしを
いもねずは
ゆめにもみえじを
あふことの
なげくなげくも
あかしはてしを