篁物語
- 第15段
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かかることを、母おとど聞き給ひて、ものも、のたまはで、うかがひ給ひて、向かひ給ひたりけるを、手を取りて引きもて行きて、部屋にこめてけり。
かかることを、母おとど聞き給ひて、ものも、のたまはで、うかがひ給ひて、向かひ給ひたりけるを、手を取りて引きもて行きて、部屋にこめてけり。
これを父ぬし、聞き給ひて、のどかなりける人なれば
これを父ぬし、聞き給ひて、のどかなりける人なれば
「をのこも賢き者にて、女、幼き者にあらず。
「をのこも賢き者にて、
女
むすめ
、幼き者にあらず。
さしたるやうあらむ。
さしたるやうあらむ。
なほ許し給ひてのたまへ」とありければ、
なほ許し給ひてのたまへ」とありければ、
「おのが身を思ふとてのたまふに」とて、
「おのが身を思ふとてのたまふに」とて、
いよいよ、鍵の穴に土塗りて、
いよいよ、鍵の穴に土塗りて、
「大学のぬしをば、家の中に、な入れそ」とて追ひければ、曹司にこもり居て、泣きけり。
「大学のぬしをば、家の中に、な入れそ」とて追ひければ、曹司にこもり居て、泣きけり。