その日の夜さり、火をほのかにかきあげて、泣き臥せり。
その日の夜さり、火をほのかにかきあげて、泣き臥せり。


あとのかた、そそめきけり。
あとのかた、そそめきけり。


火を消ちてみれば、添ひ臥す心地しけり。
火を消ちてみれば、添ひ臥す心地しけり。


死にし妹の声にて、よろづの悲しきことを言ひて、泣く声も言ふことも、ただそれなれば、もろともに
死にし妹の声にて、よろづの悲しきことを言ひて、泣く声も言ふことも、ただそれなれば、もろともに


語らひて、泣く泣くさぐれば、手にもさはらず、手にだにあたらず。
語らひて、泣く泣くさぐれば、手にもさはらず、手にだにあたらず。


ふところにかき入れて、わが身のならむやうもしらず、臥さまほしきことかぎりなし。
ふところにかき入れて、わが身のならむやうもしらず、臥さまほしきことかぎりなし。


泣き流す
涙の上に
ありしにも
さらぬわかれに
あはにむすべる
なきながす
なみだのうへに
ありしにも
さらぬわかれに
あはにむすべる


女、返し
女、返し


つねに寄る
しばしばかりは
あはなれば
つひにとけなむ
ことぞ悲しき
つねによる
しばしばかりは
あはなれば
つひにとけなむ
ことぞかなしき


と言ふほどに、夜明けにければ無く、親は捨てて去にければ、とかくをさむることは、ただこの兄ぞしける。
と言ふほどに、夜明けにければ無く、親は捨てて去にければ、とかくをさむることは、ただこの兄ぞしける。