時の右大臣のむすめ賜へと、ふみをおもしろく作りて、内裏に参り給ふとて、御車より通り給ふごとに、ついふるまひて、奉れ侍るに、取りて見給ひ、
時の右大臣のむすめたまへと、ふみをおもしろく作りて、内裏うちに参り給ふとて、御車より通り給ふごとに、ついふるまひて、奉れ侍るに、取りて見給ひ、


「うけたまはりぬ。
「うけたまはりぬ。


いま家にまかりて、御返りきこえむ」
いま家にまかりて、御返りきこえむ」


とのたまふ。
とのたまふ。


大学に入りにけり。
大学に入りにけり。


殿に帰り給ひて、御むすめ三人おはしけり。
殿に帰り給ひて、御むすめ三人おはしけり。


大君に
大君おほひぎみ


「しかじかのことなむある。
「しかじかのことなむある。


いかに」ときこえ給へば、怨じて、泣きて入り給ひぬ。
いかに」ときこえ給へば、じて、泣きて入り給ひぬ。


中君、おなじこときこえ給ふ。
中君なかのきみ、おなじこときこえ給ふ。


三君に、きこえ給ふ。
三君さんのきみに、きこえ給ふ。


「ともかくも、おほせ言にこそ従はめ」とのたまへば、いと清げに寝殿つくりて、よき日して呼び給ふ。
「ともかくも、おほせ言にこそ従はめ」とのたまへば、いと清げに寝殿つくりて、よき日して呼び給ふ。