大原にをはりの尼上と申す智者のもとにまかりて、兩三日物語申して歸りけるに、寂然庭に立ちいでて、名殘多かる由申しければ、やすらはれて



歸る身に
そはで心の
とまるかな
かへるみに
そはでこころの
とまるかな


まことに今度の名殘はさおぼゆと申して

寂然



おくる思ひに
かふるなるべし
おくるおもひに
かふるなるべし