Весна
0
Лето
55
Осень
11
Зима
0
Любовь
20
Благопожелания
1
Странствия
0
Разлука
0
Скорбь
2
Буддийское
0
Синтоистское
0
Разное
15
Иное
0
閑さや
岩にしみ入
蝉の声
しずかさや
いわにしみいる
せみのこえ
Тишина.
Насквозь пронизаны скалы
Звоном цикад.

あけたては
蝉のをりはへ
なきくらし
よるはほたるの
もえこそわたれ
あけたては
せみのをりはへ
なきくらし
よるはほたるの
もえこそわたれ
Я с рассветной зари
рыдаю, подобно цикаде,
целый день напролет,
а едва лишь ночь наступает,
светлячком горю, не сгорая…

うつせみ

在原しけはる
うつせみ

在原しけはる
Цикады

Аривара-но Сигэхару

浪のうつ
せみれはたまそ
みたれける
ひろははそてに
はかなからむや
なみのうつ
せみれはたまそ
みたれける
ひろははそてに
はかなからむや
Как цикады, журчат
у берега волны прибоя.
Брызги передо мной
рассыпаются жемчугами.
В рукава их собрать — растают…

蝉のこゑ
きけはかなしな
夏衣
うすくや人の
ならむと思へは
せみのこゑ
きけはかなしな
なつころも
うすくやひとの
ならむとおもへは
Трели летних цикад
меня повергают в унынье —
все гадаю о том,
не останется ли под осень
от любви пустая скорлупка?..

蝉のはの
よるの衣は
うすけれと
うつりかこくも
にほひぬるかな
せみのはの
よるのころもは
うすけれと
うつりかこくも
にほひぬるかな
Было платье на мне
из ткани тончайшей и нежной,
словно крылья цикад,
и пленительным ароматом
наполнялась опочивальня…

蝉の羽の
ひとへにうすき
夏衣
なれはよりなむ
物にやはあらぬ
せみのはの
ひとへにうすき
なつころも
なれはよりなむ
ものにやはあらぬ
Стоит только надеть
легчайшее летнее платье,
тоньше крыльев цикад,
как оно прилегает к телу —
так прильнешь ты ко мне, привыкнув…

秋近き
けしきのもりに
鳴く蝉の
涙の露や
下葉そむらむ
あきちかき
けしきのもりに
なくせみの
なみだのつゆや
したはそむらむ
Уж на пороге осень,
И в роще зелень нижняя дерев
Меняет цвет, —
Наверное, от слёз цикад,
Что падают росой на листья...
* Стрекотанье цикад воспринималось как плач, стон, отсюда образ — слёзы цикад. Слёзы — роса — постоянная метафора. Считали, что именно роса, а также моросящий осенний дождь (сигурэ) «красит» зелень в осенние тона. Слёзы цикад представлялись в поэзии как слёзы горькие («кровавые»), отсюда — багряная окраска осенних листьев (момидзиба). В «Кокинсю» встречается аналогичный образ-мотив — слёзы перелётных гусей (крики гусей тоже воспринимаются как плач) окрашивают зелень осенью.
伊波婆之流
多伎毛登杼呂尓
鳴蝉乃
許恵乎之伎氣婆
京師之於毛保由
いはばしる
たきもとどろに
なくせみの
こゑをしきけば
みやこしおもほゆ
Когда услышал голоса цикад
Средь грохота и шума водопада,
Бегущего со скал,
Я в этот миг
С тоской подумал об оставленной столице!

けふかふる
せみの羽ころも
きてみれは
たもとに夏は
たつにそ有りける
けふかふる
せみのはころも
きてみれは
たもとになつは
たつにそありける


木々の梢も茂りつゝ、空に鳴きぬる蝉の聲、夕立過ぐる雲間より、聲たて通るほとゝぎす、鳴きて夏とは知らせけり。
木々の梢も茂りつゝ、空に鳴きぬる蝉の聲、夕立過ぐる雲間より、聲たて通るほとゝぎす、鳴きて夏とは知らせけり。
Деревья густо покрыты новыми побегами. В воздухе висит стрёкот цикад. Когда спускается вечер, в разрывах облаков кукует кукушка, давая понять, что пришло лето.

玄圃秋云肅
池亭望爽天
遠聲驚旅雁
寒引聽林蟬
岸柳堆初□
潭荷葉欲穿
蕭然幽興處
院裡滿茶煙


8
涼秋八月驚塞鴻
早報寒聲雜遠空
絕域傳書全漢信
關門表弓守胡戎
凌雲陣影低天末
叫夜遙音振水中
葵女彈琴清曲響
潘郎作賦興情融
朝搏渤懈事南度
夕宿煙霞耐朔風
感殺周廬寓直者
終宵不寢意無窮



弱歲辭漢闕
含愁入胡關
天涯千萬里
一去更無還
沙漠壤蟬鬢
風霜殘玉顏
唯餘長安月
照送幾重山



うつせみの
鳴く音やよそに
もりの露
ほしあへぬ袖を
人の問ふまで
うつせみの
なくおとやよそに
もりのつゆ
ほしあへぬそでを
ひとのとふまで
В горных лесах плачут цикады.
Разве услышим их голоса?
Какая надежда, что ты
Внемлешь рыданьям моим?
И влажен мой рукав от бесконечных слёз.

恋すれは
もゆるほたるも
なくせみも
わかみの外の
物とやはみる
こひすれは
もゆるほたるも
なくせみも
わかみのほかの
ものとやはみる


水の音に
あつさわするる
まとゐかな
こずゑのせみの
声もまぎれて
みづのねに
あつさわするる
まとゐかな
こずゑのせみの
こゑもまぎれて


下紅葉
ひと葉づゝちる
木のもとに
秋と覺ゆる
蝉の聲かな
したもみぢ
ひとはづつちる
このもとに
あきとおぼゆる
せみのこゑかな
Листва снизу
По листочку уже опадает,
И под сенью дерев
Слышится голос цикады,
Думает, видно, что осень настала.
Примерный перевод

蝉の羽の
梢に薄き
夏ごろも
かはらずながら
秋はきにけり
せみのはの
こずゑにうすき
なつごろも
かはらずながら
あきはきにけり


志ばしだに
絶えまもなきは
夏山の
梢につゞく
蝉のもろ聲
しばしだに
たえまもなきは
なつやまの
こずゑにつづく
せみのもろこゑ
Даже на миг,
На секунду совсем не смолкает
В летних горах
Из ветвей доносящийся
Стрёкот цикад.
Примерный перевод

遠近の
木ずゑに蝉の
こゑはして
山路凉しき
松の志たかげ
をちこちの
こずゑにせみの
こゑはして
やまぢすずしき
まつのしたかげ
То тут, то там
Стрекочут в кронах
Цикады.
На горных тропах
Под тенью сосен так зябко.
Примерный перевод

茂合ふ
軒端の梢
あけたては
蝉のをりはへ
鳴かぬ日はなし
しげりあふ
のきはのこずゑ
あけたては
せみのをりはへ
なかぬひはなし


夕暮の
木の志た風に
雨過ぎて
露もたまらぬ
蝉の羽ごろも
ゆふぐれの
このしたかぜに
あめすぎて
つゆもたまらぬ
せみのはごろも


降るほどは
志ばしとだえて
村雨の
過ぐる梢の
蝉のもろ聲
ふるほどは
しばしとだえて
むらさめの
すぐるこずゑの
せみのもろこゑ


蝉を

進子内親王



雨晴れて
露吹きはらふ
木ずゑより
風にみだるゝ
蝉の諸聲
あめはれて
つゆふきはらふ
こずゑより
かぜにみだるる
せみのもろごゑ


暮れはつる
梢に蝉は
聲やみて
やゝかげ見ゆる
月ぞ凉しき
くれはつる
こずゑにせみは
こゑやみて
ややかげみゆる
つきぞすずしき


後京極攝政、左大臣に侍りける時、家に六百番歌合し侍りけるに、蝉をよめる

藤原隆信朝臣



鳴きすさぶ
隙かときけば
遠近に
やがて待ちとる
蝉の諸聲
なきすさぶ
ひまかときけば
をちこちに
やがてまちとる
せみのもろごゑ


鳴く蝉の
聲やむ杜に
吹く風の
凉しきなべに
日も暮れぬなり
なくせみの
こゑやむもりに
ふくかぜの
すずしきなべに
ひもくれぬなり


夕附日
梢によわく
鳴く蝉の
はやまのかげは
今ぞすゞしき
ゆふづくひ
こずゑによわく
なくせみの
はやまのかげは
いまぞすずしき


建仁三年、影供歌合に、雨後聞蝉と云ふ事を

皇太后宮大夫俊成女



雨晴れて
空ふく風に
鳴く蝉の
聲もみだるゝ
もりの下つゆ
あめはれて
そらふくかぜに
なくせみの
こゑもみだるる
もりのしたつゆ


空蝉の
人目を繁み
逢はずして
年の經ぬれば
いけりともなし
うつせみの
ひとめをしげみ
あはずして
としのへぬれば
いけりともなし


琴の音に
ひゞき通へる
松風を
調べてもなく
蝉のこゑかな
ことのねに
ひびきかよへる
まつかぜを
しらべてもなく
せみのこゑかな


蝉の羽の
薄きたもとに
吹きかへて
頓て身にしむ
秋の初風
せみのはの
うすきたもとに
ふきかへて
やがてみにしむ
あきのはつかぜ


贈從三位爲子身まかり侍りし比蝉のもぬけたるを朝顏の花に付けて前大納言爲定の許に申し遣しける

頓阿法師



空蝉の
世のはかなさを
思ふには
猶あだならぬ
朝がほの花
うつせみの
よのはかなさを
おもふには
なほあだならぬ
あさがほのはな


空蝉は
空しきからも
殘りけり
きえて跡なき
あさ顏のつゆ
うつせみは
むなしきからも
のこりけり
きえてあとなき
あさかほのつゆ


待つ人も
梢にかゝる
空蝉の
うき身からにや
音づれもせぬ
まつひとも
こずゑにかかる
うつせみの
うきみからにや
おとづれもせぬ


鳴く蝉の
こゑより外は
夏ぞなき
み山の奥の
すぎの下かげ
なくせみの
こゑよりほかは
なつぞなき
みやまのおくの
すぎのしたかげ


蝉を

前大納言實教



雨晴るゝ
夕かげ山に
鳴く蝉の
聲より落つる
木々の下つゆ
あめはるる
ゆふかげやまに
なくせみの
こゑよりおつる
きぎのしたつゆ


わけ過ぐる
山志た道の
追風に
はるかに送る
蝉のもろごゑ
わけすぐる
やましたみちの
おひかぜに
はるかにおくる
せみのもろごゑ


蝉の羽の
衣に秋を
まつら潟
ひれふる山の
くれぞすゞしき
せみのはの
ころもにあきを
まつらかた
ひれふるやまの
くれぞすずしき


忘れなむ
時忍べとぞ
空蝉の
むなしきからを
袖にとゞむる
わすれなむ
ときしのべとぞ
うつせみの
むなしきからを
そでにとどむる


愚なる
身は空蝉の
世の中に
捨てぬ物から
侘びつゝぞ經る
おろかなる
みはうつせみの
よのなかに
すてぬものから
わびつつぞへる


はかなしな
戀も恨も
空蝉の
空しき世には
音のみなかれて
はかなしな
こひもうらみも
うつせみの
むなしきよには
ねのみなかれて


千峯鳥路含梅雨
五月蟬聲送麥秋



鳥下綠蕪秦苑靜
蟬鳴黃葉漢宮秋



今年異例腸先斷
不是蟬悲客意悲



物言ける女に蟬の蛻を包みて遣はすとて
物言ものいひけるをむなせみもぬけつつみてつかはすとて


相思夕上松台立
蛬思蟬聲滿耳秋



蝉の聲は
風にみだれて
吹き返す
楢のひろ葉に
雨かゝるなり
せみのこゑは
かぜにみだれて
ふきかへす
ならのひろはに
あめかかるなり


山里は
蝉の諸ごゑ
秋かけて
外面のきりの
した葉おつなり
やまざとは
せみのもろごゑ
あきかけて
そとものきりの
したはおつなり


山彦も
こたへぞあへぬ
夕附日
さすや岡邊の
蝉のもろごゑ
やまびこも
こたへぞあへぬ
ゆふづくひ
さすやをかべの
せみのもろごゑ


秋來ぬと
思ひもあへず
朝げより
始めてすゞし
せみの羽衣
あきこぬと
おもひもあへず
あさげより
はじめてすずし
せみのはごろも


村雨の
名殘の露は
かつ落ちて
本末にとまる
蝉のもろごゑ
むらさめの
なごりのつゆは
かつおちて
もとすゑにとまる
せみのもろごゑ

本末?
山もとの
柳の梢
うちなびき
風にしたがふ
せみのもろごゑ
やまもとの
やなぎのこずゑ
うちなびき
かぜにしたがふ
せみのもろごゑ


昼は蝉
夜は蛍に
身をなして
鳴き暮らしては
燃えや明かさん
ひるはせみ
よるはほたるに
みをなして
なきくれらしては
もえやあかさん
Как днём цикады,
Как ночью — светлячок
Подобным им я стал:
Днём только рыдаю,
А ночью, пылая, уснуть не могу.


蝉の鳴くを聞きて、

Услышав плач цикад:

鳴く蝉の
声もすずしき
夕暮れに
秋をかけたる
もりの下露
なくせみの
こゑもすずしき
ゆふぐれに
あきをかけたる
もりのしたつゆ
Стонут ночные цикады,
Холодом веет от их голосов,
И под деревьями в роще
Роса
По-осеннему холодна.

なくこゑは
またきかねとも
せみのはの
うすき衣は
たちそきてける
なくこゑは
またきかねとも
せみのはの
うすきころもは
たちそきてける
Хоть голоса
Их и не слышно,
Но тонкие,
Словно крылья цикады,
Пора надеть одеянья.
Примерный перевод

明けぬるか
木間もりくる
月影の
光もうすき
蝉のはごろも
あけぬるか
このまもりくる
つきかげの
ひかりもうすき
せみのはごろも


空晴れて
梢色濃き
月の夜の
かぜにおどろく
せみの一こゑ
そらはれて
こずゑいろこき
つきのよの
かぜにおどろく
せみのひとこゑ


鳴く聲も
高き梢の
せみのはの
薄き日影に
あきぞちかづく
なくこゑも
たかきこずゑの
せみのはの
うすきひかげに
あきぞちかづく


夏衣
をりはへ蝉の
音にたてゝ
うすくや中の
遠ざかりなむ
なつころも
をりはへせみの
ねにたてて
うすくやなかの
とほざかりなむ


いはのうへに
ちりもなけれと
蟬のはの
袖のみこそは
はらふへらなれ
いはのうへに
ちりもなけれと
せみのはの
そでのみこそは
はらふへらなれ


せみの聲
きけはかなしな
夏ころも
うすくやひとの
ならむとおもへは
せみのこゑ
きけはかなしな
なつころも
うすくやひとの
ならむとおもへは


蟬の羽の
よるのころもは
うすけれと
うつり香こくも
なりにける哉
せみのはの
よるのころもは
うすけれと
うつりかこくも
なりにけるかな


今日とてや
大宮人の
白妙に
かさねてきたる
蝉のはごろも
けふとてや
おほみやひとの
しろたへに
かさねてきたる
せみのはごろも
Сегодня
Придворные все
Белотканые
Надели платья
Из крылышек цикад.
Примерный перевод

折りはへて
音に鳴きくらす
蝉のはの
夕日も薄き
衣手の杜
をりはへて
ねになきくらす
せみのはの
ゆふひもうすき
ころもでのもり


土佐國にて百首哥讀侍けるに社蟬を

中務卿尊良親王

Министр центральных дел принц Такаёси

せめてげに
杜の空蟬
もろごゑに
鳴てもかひの
ある世なりせば
せめてげに
もりのうつせみ
もろごゑに
なきてもかひの
あるよなりせば


夏山の
梢にとまる
うつ蝉の
われから人は
つらきなりけり
なつやまの
こずゑにとまる
うつせみの
われからひとは
つらきなりけり


よるはもえ
ひるはおりはへ
鳴くらし
蛍も蝉も
身をははなれす
よるはもえ
ひるはおりはへ
なきくらし
ほたるもせみも
みをははなれす


かりそめの
世やたのまれぬ
夏の日を
なとうつ蝉の
鳴くらしつる
かりそめの
よやたのまれぬ
なつのひを
なとうつせみの
なきくらしつる


なく蝉の
はにをく露に
秋かけて
木陰涼しき
夕暮のこゑ
なくせみの
はにをくつゆに
あきかけて
こかげすずしき
ゆふぐれのこゑ


空蝉の
はにをく露も
あらはれて
うすき袂に
秋風そふく
うつせみの
はにをくつゆも
あらはれて
うすきたもとに
あきかぜそふく


寄蝉恋を

入道前太政大臣



身をかへて
なにしか思ふ
空蝉の
世はたのまれぬ
人のこゝろを
みをかへて
なにしかおもふ
うつせみの
よはたのまれぬ
ひとのこころを


人しれす
ねこそなかるれ
空蝉の
身をなき物と
思ひなせとも
ひとしれす
ねこそなかるれ
うつせみの
みをなきものと
おもひなせとも


夏山の
梢にとまる
うつ蝉の
われから人は
つらきなりけり
なつやまの
こずゑにとまる
うつせみの
われからひとは
つらきなりけり


よるはもえ
ひるはおりはへ
鳴くらし
蛍も蝉も
身をははなれす
よるはもえ
ひるはおりはへ
なきくらし
ほたるもせみも
みをははなれす


かりそめの
世やたのまれぬ
夏の日を
なとうつ蝉の
鳴くらしつる
かりそめの
よやたのまれぬ
なつのひを
なとうつせみの
なきくらしつる


なく蝉の
はにをく露に
秋かけて
木陰涼しき
夕暮のこゑ
なくせみの
はにをくつゆに
あきかけて
こかげすずしき
ゆふぐれのこゑ


空蝉の
はにをく露も
あらはれて
うすき袂に
秋風そふく
うつせみの
はにをくつゆも
あらはれて
うすきたもとに
あきかぜそふく


寄蝉恋を

入道前太政大臣



身をかへて
なにしか思ふ
空蝉の
世はたのまれぬ
人のこゝろを
みをかへて
なにしかおもふ
うつせみの
よはたのまれぬ
ひとのこころを


人しれす
ねこそなかるれ
空蝉の
身をなき物と
思ひなせとも
ひとしれす
ねこそなかるれ
うつせみの
みをなきものと
おもひなせとも


くるゝより
涼しく成て
蝉の羽の
よるの衣に
山風そふく
くるるより
すずしくなりて
せみのはの
よるのころもに
やまかぜそふく


夏衣
うすくや人の
なりぬらん
空蝉のねに
ぬるゝ袖かな
なつころも
うすくやひとの
なりぬらん
うつせみのねに
ぬるるそでかな


数ならぬ
身をうつ蝉の
世にかくて
むなしく過ん
果そ悲しき
かずならぬ
みをうつせみの
よにかくて
むなしくすん
はてそかなしき


朝またき
秋風ふけは
蝉の羽の
うすき衣そ
涼しかりける
あさまたき
あきかぜふけは
せみのはの
うすきころもそ
すずしかりける


いとひても
猶いける世は
空蝉の
身をかへなから
ねこそなかるれ
いとひても
なほいけるよは
うつせみの
みをかへなから
ねこそなかるれ


晴ぬるか
雲さへうすし
鳴蝉の
はつせの山の
白雨の空
はれぬるか
くもさへうすし
なせみの
はつせのやまの
ゆふだちのそら


蝉の羽の
衣手涼し
なつみ川
たちよるかたも
山陰にして



相思夕上松台立△蛬思蝉声満耳秋といへる心を

前中納言定嗣



蝉の声
虫の恨そ
聞ゆなる
松のうてなの
秋の夕暮
せみのこゑ
むしのうらみそ
きこゆなる
まつのうてなの
あきのゆふぐれ


なく蝉の
は山すゝしき
夕くれに
出てもうすき
月の影かな
なくせみの
はやますすしき
ゆふくれに
いでてもうすき
つきのかげかな


蝉を

前関白左大臣



我のみと
ねをやなくらん
空蝉の
むなしき世とは
誰もしれとも
われのみと
ねをやなくらん
うつせみの
むなしきよとは
たれもしれとも


日をさふる
ならのひろはに
鳴蝉の
声より晴る
夕立の空
ひをさふる
ならのひろはに
なくせみの
こゑよりはるる
ゆふだちのそら


入日さす
峰のこすゑに
鳴蝉の
声をのこして
くるゝ山もと
いりひさす
みねのこすゑに
なくせみの
こゑをのこして
くるるやまもと


遠さかる
身はうつ蝉の
夏衣
なれはまさらて
秋風そふく
とほさかる
みはうつせみの
なつころも
なれはまさらて
あきかぜそふく


哀といふ
人はなくとも
空蝉の
からになるまて
なかんとそ思
あはれといふ
ひとはなくとも
うつせみの
からになるまて
なかんとそおもふ


ねに高く
なきそしぬへき
空蝉の
我身からなる
憂世と思へは
ねにたかく
なきそしぬへき
うつせみの
わがみからなる
うきよとおもへは


立よらん
かたもしられす
空蝉の
むなしき床の
波のさはきに
たちよらん
かたもしられす
うつせみの
むなしきとこの
なみのさはきに


空蝉の
世は常なしと
しるものを
秋風さむみ
しのひつるかも
うつせみの
よはつねなしと
しるものを
あきかぜさむみ
しのひつるかも


鳴くらす
涙の露も
むなしくて
身をうつせみの
あるかひもなし
なきくらす
なみだのつゆも
むなしくて
みをうつせみの
あるかひもなし


蝉をよみ侍りける

前參議忠定



思ふ事
空しきからに
空蝉の
木隱れはつる
身こそつらけれ
おもふこと
むなしきからに
うつせみの
こかくれはつる
みこそつらけれ


邕郎死後罷琴聲
可賞松蟬兩混井
一曲彈來千緒亂
萬端調處八音清



琴之聲丹
響通倍留
松風緒
調店鳴
蟬之音鉋
ことのねに
ひびきかよへる
まつかぜを
しらべてもなく
せみのこゑかな

佚名
鳴蟬中夏汝如何
草露作飡樹作家
響處多疑琴瑟曲
遊時最似錦綾窠



都禮裳無杵
夏之草葉丹
置露緒
命砥恃
蟬之葬處無佐
つれもなき
なつのくさばに
おくつゆを
いのちとたのむ
せみのはかなさ

佚名
蟬之音
聞者哀那
夏衣
薄哉人之
成砥思者
せみのこゑ
きけばかなしな
なつごもろ
うすくやひとの
ならむとおもへば

紀友則
嘒嘒蟬聲入耳悲
不知齊后化何時
絺衣初製幾千襲
咲殺伶倫竹與絲



秋之蟬
寒音丹曾
聞湯那留
木之葉之衣緒
風哉脫鶴
あきのせみ
さむきこゑにぞ
きこゆなる
このはのきぬを
かぜやぬぎつる

佚名
夏天日長蟬侘傺
恠回知併無愁人
盡日終夕鳴不淚
恨河長短多無息



夏之日緒
暮芝侘塗
蟬之聲丹
吾鳴添留
音者聞湯哉
なつのひを
くらしわびぬる
せみのこゑに
わがなきそふる
こゑはきこゆるや

佚名
夏之日緒
暮芝侘筒
鳴蟬緒
將問而為鹿
何事歟倦杵
なつのひを
くらしわびつつ
なくせみを
はたとひてしか
なにことかうき

佚名
侶失孤鸞何處賞
偏侘鳴蟬何事愁
柯枕夢裏不見聞
鳥館蟲栖單喜倦



蝉の声
きけばかなしな
夏衣
うすくや人の
ならむとおもへば
せみのこゑ
きけばかなしな
なつころも
うすくやひとの
ならむとおもへば


かりそめの
身やたのまれぬ
夏の日を
なと空蝉の
なき暮らしつる
かりそめの
みやたのまれぬ
なつのひを
なとうつせみの
なきくらしつる


夏の日を
暮らしわびぬる
蝉の声
わがなき添ふる
声は聞こゆや
なつのひを
くらしわびぬる
せみのこゑ
わがなきそふる
こゑはきこゆや


夏の日の
暮るるも知らず
鳴く蝉を
問ひもしてしか
なにことか憂き
なつのひの
くるるもしらず
なくせみを
とひもしてしか
なにことかうき


琴の音に
ひびきかよへる
松風は
調べても鳴く
蝉の声かな
ことのねに
ひびきかよへる
まつかぜは
しらべてもなく
せみのこゑかな


秋の蝉
寒き声にぞ
聞こゆなる
木の葉の衣を
風やぬきつる
あきのせみ
さむきこゑにぞ
きこゆなる
このはのきぬを
かぜやぬきつる