南面をみてあれば、夏の景色とうちみえて、春を隔つる垣穗には、卯の花やまづ咲きぬらむ、池のはちすは露かけて、汀涼しき漣に、水鳥あまた遊びけり。
南面をみてあれば、夏の景色とうちみえて、春を隔つる垣穗かきほには、卯の花やまづ咲きぬらむ、池のはちすは露かけて、汀みぎは涼しき漣さゞなみに、水鳥あまた遊びけり。
Когда посмотрели в сторону юга, то увидели летний пейзаж. От весны его отделяла живая изгородь из цветущего кустарника дейции зубчатой. Лотосы в пруду – в росе, в освежающей мелкой ряби у кромки берега резвится множество птиц.

足を挙げ給ふに、蓮華生て、足を受け奉る。

Едва ступал, под ногою вырастал лотос и принимал его ступню.

蓮華の地より生ずる事は、地神の化する所也。

А то, что из земли у него под ногами вырастали лотосы, было чудом богов земли.

口悉吐之、變成蓮葉。
口悉くこれを吐けば、變じて蓮の葉と成る。


道芝に
捨て置かれぬる
露の身は
蓮の上も
いかがとぞ思ふ
みちしばに
すておかれぬる
つゆのみは
はちすのうへも
いかがとぞおもふ


秋の野の
くさの葉ごとに
おく露を
あつめば蓮の
池たたふべし
あきののの
くさのはごとに
おくつゆを
あつめばはすの
いけたたふべし


はちす葉の
心廣さの
思ひには
いづれと分かず
露ばかりにも
はちすはの
こころひろさの
おもひには
いづれとわかず
つゆばかりにも


思ひ出づる
まことの道の
たかはずは
蓮の上を
いかが見ざらむ
おもひいづる
まことのみちの
たかはずは
はちすのうへを
いかがみざらむ


求めても
かかる蓮の
露をおきて
憂き世にまたは
帰るものかは
もとめても
かかるはちすの
つゆをおきて
うきよにまたは
かへるものかは


「蓮の上に会へ」とあるこそ、



この池に
並ぶ蓮の
露ならば
さ言はんことも
嬉しからまし
このいけに
ならぶはちすの
つゆならば
さいはんことも
うれしからまし


会ふことを
蓮の上と
契れども
この世はなほぞ
忘れざりける
あふことを
はちすのうへと
ちぎれども
このよはなほぞ
わすれざりける


また、この十三日の夜の夢に、「無量義経を読め」とて、取らせ給へりと見るに、おどろきても、「この世にうち捨て給へるはつらけれど、のちの蓮の上と契り給ひし心ざしは、忘れ給はぬなめり」とあはれには思ゆれど、おぼつかなさは、やむかたなし。
また、この十三日の夜よの夢に、「無量義経を読め」とて、取らせ給へりと見るに、おどろきても、「この世にうち捨て給へるはつらけれど、のちの蓮はちすの上と契り給ひし心ざしは、忘れ給はぬなめり」とあはれには思ゆれど、おぼつかなさは、やむかたなし。


極楽の
蓮の上を
待つほどに
つゆのわが身ぞ
置き所なき
ごくらくの
はちすのうへを
まつほどに
つゆのわがみぞ
おきところなき


今は昔、七月十五日、いみじう貧しかりける女の、親のためのことをえせで、薄色の衣の表を解きて、缶に入れて、蓮の葉を上に覆いて、愛宕にもて行きて、拝みて去りけるを、人の寄りて見ければ、蓮の葉に書きつけける、
今は昔、七月十五日、いみじう貧しかりける女の、親のためのことをえせで、薄色の衣きぬの表おもてを解きて、缶ほとぎに入れて、蓮の葉を上に覆いて、愛宕おたぎにもて行きて、拝みて去りけるを、人の寄りて見ければ、蓮の葉に書きつけける、
Давным-давно, пятнадцатого числа седьмого месяца, очень бедная женщина, не в состоянии собрать подношения для почивших родителей, распустила своё платье, поместила в горшочек, положила его на лист лотоса, отнесла в храм Отаги и ушла. А люди подошли к подношению, посмотрели, а на листе лотоса написано:

たてまつる
蓮の上の
つゆばかり
こころざしをも
みよの仏に
たてまつる
はちすのうへの
つゆばかり
こころざしをも
みよのほとけに
Преподношу
На лотоса листе
Одну лишь росу
Да веру мою
Буддам трёх миров!

Примерный перевод
人のもとより「とく帰り給ひね。いとさうざうし。」といひたれば、蓮の葉のうらに、

пришел посланный из одного дружеского мне дома с просьбой: «Вернитесь скорее, без вас тоскливо».
В ответ я написала на листе бумажного лотоса[80]:
80. Буддийский символ чистоты и райского блаженства. Будда изображается сидящим на лотосе.
もとめても
かかるはちすの
露をおきて
うき世にまたは
かへるものかは
もとめても
かかるはちすの
つゆをおきて
うきよにまたは
かへるものかは
Напрасен ваш призыв!
Могу ли я покинуть лотос,
Обрызганный росой?
Могу ли возвратиться снова
В мир дольней суеты?

池のはちすを見やるのみぞいと涼しき心地する。

Только тот, кто смотрел на лотосы в пруду, мог еще подумать о прохладе.

若在仏前
蓮花化生



夏の夜の
露なとどめそ
蓮葉の
まことの珠と
なりしはてずば
なつのよの
つゆなとどめそ
はちすはの
まことのたまと
なりしはてずば
О, листья лотоса!
Зачем роняете вы
Летнюю росу?
Пусть это и не истинная яшма,
Но всё же...

蓮葉、よろづの草よりもすぐれてめでたし。
蓮はちす葉ば、よろづの草くさよりもすぐれてめでたし。
Лотос — самое замечательное из всех растений.

池の蓮。

Лотосы в пруде, обрызганные пролетным дождем.

いささか頼もしきことの侍るは、ある記にいはく、「中ごろ、唐に朝夕念仏申す僧ありけり。その居所近く、鸚鵡といふ鳥のねぐらしめて棲むありけり。すなはち、念仏の声を聞き習ひて、かの鳥のくせなれば、口まねをしつつ、常に『阿弥陀仏』と鳴く。人、こぞりて、これをあはれみ讃むるほどに、この鳥、おのづから死ぬ。寺の僧ども、これを取りて掘り埋みたりけり。後、その所より、蓮花一本生ひたり。驚きながら掘りて見れば、かの鸚鵡の舌を根としてなむ生ひ出でたりける」。
いささか頼もしきことの侍るは、ある記にいはく、「中ごろ、唐もろこしに朝夕念仏申す僧ありけり。その居所近く、鸚鵡といふ鳥のねぐらしめて棲むありけり。すなはち、念仏の声を聞き習ひて、かの鳥のくせなれば、口まねをしつつ、常に『阿弥陀仏』と鳴く。人、こぞりて、これをあはれみ讃むるほどに、この鳥、おのづから死ぬ。寺の僧ども、これを取りて掘り埋うづみたりけり。後、その所より、蓮花一本ひともと生ひたり。驚きながら掘りて見れば、かの鸚鵡の舌を根としてなむ生ひ出でたりける」。


池にははちす。

В прудах – лотос.

夏來者
藕之浮葉
老沼禮砥
後拆花緒
見裳過栖鉇
なつくれば
はちすのうきは
おいぬれと
のちさくはなを
みもすぐすかな

佚名
池の上に
はちすのいたを
しきみてて
なみゐる袖を
風のたためる
いけのうへに
はちすのいたを
しきみてて
なみゐるそでを
かぜのたためる


風吹けば
蓮の浮葉に
玉こえて
凉しくなりぬ
ひぐらしの聲
かぜふけば
はすのうきばに
たまこえて
すずしくなりぬ
ひぐらしのこゑ
Лишь подует ветер,
На листьях плавающих лотоса
Бегают капли.
Холоднее становится,
И звучат сверчков голоса.

夏之夜之
露那駐曾
藕葉之
誠之玉砥
誠芝果禰香
なつのよの
つゆなとどめぞ
はちすばの
まことのたまと
なりしはてねば

佚名
はちすのつゆを見てよめる

僧正へんせう
はちすのつゆを見てよめる

僧正へんせう
Сложил при виде росы на лотосе

Хэндзё

はちすはの
にこりにしまぬ
心もて
なにかはつゆを
玉とあさむく
はちすはの
にこりにしまぬ
こころもて
なにかはつゆを
たまとあさむく
Духом светел и чист,
не подвластен ни грязи, ни илу,
лотос в темном пруду —
и не диво, что жемчугами
засверкала роса на листьях…
117. Первые строки взяты из «Сутры Лотоса» гл. 15.
階下蓮



題雲陽驛亭蓮



亭子院法皇御賀吳山千葉蓮華屏風詩



蓮の露を見て詠める
蓮はちすの露つゆを見みて詠よめる


蓮葉の
濁りに染まぬ
心以て
何かは露を
玉と欺く
はちすばの
にごりにしまぬ
こころもて
なにかはつゆを
たまとあざむく


光させば
さめぬかなへの
湯なれども
はちすの池と
なるめるものを
ひかりさせば
さめぬかなへの
ゆなれども
はちすのいけと
なるめるものを


西山に住侍ける比、花の盛に前大納言為家人人さそひて尋ねまうてきて歌よみかはして侍けるを、うへのおのこの中より尋侍けれは、送りつかはすとて書そへ侍ける

蓮生法師



蓮満池と云ふ事を



おのづから
月やどるべき
ひまもなく
いけにはちすの
花さきにけり
おのづから
つきやどるべき
ひまもなく
いけにはちすの
はなさきにけり


覺雅僧都の六條の房にて、忠季宮内大輔登蓮法師なむど歌よみけるにまかりあひて、里を隔てて雪をみるといふことをよみけるに



風をいたみ
蓮のうき葉に
宿占めて
凉しき玉に
蛙なくなり
かぜをいたみ
はすのうきはに
やどしめて
すずしきたまに
かはづなくなり


風通ふ
池のはちす葉
なみかけて
かたぶく方に
つたふ白玉
かぜかよふ
いけのはちすは
なみかけて
かたぶくかたに
つたふしらたま


夕立の
降りくる池の
蓮葉に
くだけてもろき
露の志らたま
ゆふだちの
ふりくるいけの
はちすはに
くだけてもろき
つゆのしらたま


為君栽芝草令開
手掘池沼蓮馥匂
在在處處玉盞泛
丹芝草見玉景美



野邊に置く
おなじ露とも
見えぬかな
蓮の浮葉に
宿る白玉
のべにおく
おなじつゆとも
みえぬかな
はすのうきはに
やどるしらたま


蓮をよめる

前大僧正隆源



夏の日も
かたふく池の
蓮葉に
夕浪こゆる
風そ涼しき
なつのひも
かたふくいけの
はちすはに
ゆふなみこゆる
かぜそすずしき


池水は
風もおとせで
蓮葉の
うへこす玉は
ほたるなりけり
いけみづは
かぜもおとせで
はちすはの
うへこすたまは
ほたるなりけり


月照流水といふ事を

登蓮法師



百首御歌の中に、蓮を

院御製



こほれ落る
池のはちすの
白露は
うき葉の玉と
又なりにけり
こほれおつる
いけのはちすの
しらつゆは
うきはのたまと
またなりにけり


夕されは
波こす池の
はちす葉に
玉ゆりすふる
風の涼しさ
ゆふされば
なみこすいけの
はちすばに
たまゆりすふる
かぜのすずしさ


蓮昌宮賦



題しらす

家蓮法師



西山の草の庵にてよめる

蓮生法師



王尚書之蓮府
麗則麗
恨唯有紅顏之賓
嵆仲散之竹林
幽則幽
嫌殆非素論之士



十方佛土之中
以西方為望
九品蓮台之間
雖下品應足



春秋の
花の色〳〵
にほへとも
種はひとつの
蓮なりけり
はるあきの
はなのいろいろ
にほへとも
たねはひとつの
はちすなりけり


観無量寿経、説是語時、無量寿仏、住立空中

蓮生法師



故郷に
のこるはちすは
あるしにて
やとる一夜に
花そひらくる
ふるさとに
のこるはちすは
あるしにて
やとるひとよに
はなそひらくる


となふなる
浪の数には
あらすとも
いかてはちすの
露にかゝらん
となふなる
なみのかずには
あらすとも
いかてはちすの
つゆにかからん


秋夜待月
纔望出山之清光
夏日思蓮
初見穿水之紅艷



みちのくにへまかりける時、関を越て後、白川の関はいつくそと尋侍けれは、過ぬる所こそ彼関に侍つれと蓮生法師申侍けれは、光台の不見も思ひ出されて

澄空上人



其の後、人怪むで、寄て此れを見れば、蓮の葉に此く書たりけり。



うすくこき
御法の花の
色はみな
ひとつ蓮の
身とそ成ぬる
うすくこき
みのりのはなの
いろはみな
ひとつはちすの
みとそなりぬる


舎利会をこなひ侍けるついてに、蓮を

後京極摂政前太政大臣



此世より
蓮の糸に
むすほゝれ
西に心の
ひく我身哉
このよより
はちすのいとに
むすほゝれ
にしにこころの
ひくわがみかな


登蓮法師遠所へまかりけるに、きぬつかはすとて

従三位頼政



在与諸仏土△常与師倶生といへることを

蓮生法師



登蓮法師かつくしへまかりけるに

祐盛法師



ちかひをく
おなし蓮の
台こそ
残るうき身の
頼みなりけれ



蓮葉の
上はつれなき
裏に社
物あらがひは
つくと云ふなれ
はちすはの
うへはつれなき
うらにこそ
ものあらがひは
つくといふなれ


にこりにも
しまぬ蓮の
哀なと
人の心に
ひらけさるらん
にこりにも
しまぬはちすの
あはれなと
ひとのこころに
ひらけさるらん


かくはかり
うき世の中の
にこりにも
しまぬは胸の
蓮なりけり
かくはかり
うきよのなかの
にこりにも
しまぬはむねの
はちすなりけり


七とせの
月日にみかく
蓮葉の
露のしら玉
光そふらし



あかしに人々まかりて、月をみて歌読けるに

登蓮法師



寄山恋を

蓮生法師



極樂の
はちすの上に
置く露を
我が身の玉と
思はましかば
ごくらくの
はちすのうへに
おくつゆを
わがみのたまと
おもはましかば


春恋といふことを

蓮生法師



蓮生法師八十賀し侍けるによみてつかはしける

前右兵衛督為教



蓮葉の
はひにぞ人は
思ふらむ
よには戀路の
中におひつゝ
はちすはの
はひにぞひとは
おもふらむ
よにはこひぢの
なかにおひつつ


年比西山に住み侍けるか、都に出て後歎く事侍て、蓮生法師かもとに申つかはしける

入道親王道覚



返し

蓮生法師



つねならぬ
やまの櫻に
心いりて
池の蓮を
いひなはなちそ
つねならぬ
やまのさくらに
こころいりて
いけのはちすを
いひなはなちそ


蓮生法師かもとより、よみをきたる歌尋ること侍ける時つかはすとて

平泰時朝臣



もとめても
かかるはちすの
露をおきて
うきよに又は
かへるものかは
もとめても
かかるはちすの
つゆをおきて
うきよにまたは
かへるものかは


蓮葉の
玉となるらむと
思ふにも
袖ぬれ増る
けさの露かな
はちすはの
たまとなるらむと
おもふにも
そでぬれまさる
けさのつゆかな


松山の
涙はうみに
ふかくなりて
はちすの池に
いれよとぞ思ふ
まつやまの
なみだはうみに
ふかくなりて
はちすのいけに
いれよとぞおもふ