Весна
3
Лето
10
Осень
12
Зима
22
Любовь
4
Благопожелания
5
Странствия
0
Разлука
0
Скорбь
0
Буддийское
0
Синтоистское
0
Разное
10
Иное
0
散りぬれば
くやしきものを
大井川
岸の山吹
今日さかりなり
ちりぬれば
くやしきものを
おほゐがは
きしのやまぶき
けふさかりなり
Если осыплются цветы,
Как будет жаль!
У реки Ои,
На берегу, дерево ямабуки
Сегодня в полном цвету[260] —
260. Танка помещена в Синсюисю, 2, а также в Фумокусё, 6.
大井川前に流て、嵐山右ニ高く、松の尾里につゞけり。
大井川前に流て、嵐山右ニ高く、松の尾里をのさとにつゞけり。
Перед ним течет река Ои, справа высится гора Арасияма, еще правее — селение Мацуо.

夕陽にかゝりて、大井川に舟をうかべて、嵐山にそうて戸難瀬をのぼる。
夕陽せきやうにかゝりて、大井川に舟をうかべて、嵐山にそうて戸難瀬となせをのぼる。
В лучах вечернего солнца спустили лодки на реку Ои и вдоль горы Арасияма поплыли вверх к стремнине Тонасэ.

大井川越る日は、終日雨降ければ、
大井川おほゐがはこゆる日は、終日ひねもす雨降ければ、
В день, когда мы переправлялись через реку Ои, с утра до вечера не переставая лил дождь.

秋の日の雨
江戸に指おらん
大井川
あきのひのあめ
えどにゆびおらん
おおいがわ
Осенний дождь...
В Эдо нынче прикинут на пальцах:
«Подходят к реке Ои»,

大井河にまかりてもみぢの心をよめる

源致親

Отправившись на реку Ои, сложил об осенней листве

Минамото Мунэтика

大井川
かがりさしゆく
鵜飼ひ舟
幾瀬に夏の
夜を明かすらむ
おほゐかは
かがりさしゆく
うかひふね
いくせになつの
よをあかすらむ
Мерцая огнями,
Плывёт вниз по Ои-реке
Рыбацкий корабль с корморанами.
Сколько порогов преодолеет он
За короткую летнюю ночь?
* Река Ои (Оикава) протекает у подножья горы Араси в районе Сага, квартал Укё г. Киото.
大井川にまかりて、もみぢ見侍りけるに

藤原輔尹朝臣
大井川にまかりて、もみぢ見侍りけるに

藤原輔尹朝臣
Сукэтада

後冷泉院御時、上のをのこども大井川にまかりて、紅葉浮水といへる心をよみ侍りけるに

藤原資宗朝臣
後冷泉院御時、上のをのこども大井川にまかりて、紅葉浮水といへる心をよみ侍りけるに

藤原資宗朝臣
Сукэмунэ

思ひ出づる
都のことは
おほゐ川
いく瀬の石の
数も及ばじ
おもひいづる
みやこのことは
おほゐかは
いくせのいしの
かずもおよばじ
Воспоминаний
о столице так много,
о, Большая река!
что камней на мелководьях твоих
и то окажется меньше.

大井川にまかりて、落葉満水といへる心をよみ侍りける

藤原家経朝臣
大井川にまかりて、落葉満水といへる心をよみ侍りける

藤原家経朝臣
Иэцунэ

高瀬舟
しぶくばかりに
もみぢ葉の
流れてくだる
大井川かな
たかせふね
しぶくばかりに
もみぢはの
ながれてくだる
おほゐかはかな
Суда, что плавают по мелководью,
И те с трудом свой пролагают путь.
Тут глянул я — Ои-река
Вся сплошь засыпана
Осеннею листвою!

おなじ御時、大井河に行幸侍りける日

坂上是則
おなじ御時、大井河に行幸侍りける日

坂上是則
Корэнори

名曰大井河。

Она называется О:и.

「かの大納言、いづれの船にか乗らるべき」と宣はすれば、「和歌の船に乗り侍らむ」と宣ひて、詠み給へるぞかし、

— В какую лодку изволит сесть старший советник дайнагон? И тот ответил:
— Пожалуй, в Лодку японских песен. И так сложил:

いでまた、いみじく侍りしことは、やがて同じ君の、大井河の行幸に、富小路の御息所の御腹の親王、七歳にて舞せさせ給へりしはかりのことこそ侍らざりしか。



大井川といふ渡りあり。

Вот и переправа через реку Оигава[21].
[21] Вот и переправа через реку Оигава. — Река Оигава служила границей между старыми провинциями Суруга и Тотоми.
大井川
うかべる舟の
篝火に
をぐらの山も
名のみなりけり
おほゐかは
うかべるふねの
かかりひに
をぐらのやまも
なのみなりけり


菊川を出でて、今日は大井川といふを渡る。

мы двинулись в путь от реки Кикугава и сегодня
должны перейти реку О:игава.

亀山殿の御池に、大井川の水をまかせられんとて、大井の土民に仰せて、水車を造らせられけり。

Решив провести воду из реки Оигава в пруд дворца Камэяма, его величество вызвал из Ои местных жителей и повелел им соорудить водяное колесо.

「王土にをらん虫、皇居を建てられんに、何の祟りをかなすべき。鬼神はよこしまなし。咎むべからず。ただ、皆掘り捨つべし。」と申されければ、塚を崩して、蛇を大井川に流してけり。

Лишь один только этот министр почтительно молвил:
— Могут ли гады, что населяют подвластное августейшему царство, навлечь какое-либо бедствие при возведении императорских покоев? Боги же не ведают зла. Они не должны укорять нас. Их нужно всех откопать и повыбрасывать.
Тогда змей бросили в поток реки Оои.

大井川
井堰の水の
わくらばに
けふはたのめし
暮れにやはあらぬ
おほゐかは
ゐせきのみづの
わくらばに
けふはたのめし
くれにやはあらぬ
Плотиной загорожена,
Ои-река все же находит
Свой путь. А ты?
Ужель и нынче в ночь
Меня увидеть не решишься?

大井に紅葉のなかるるを見侍りて

壬生忠岑
大井に紅葉のなかるるを見侍りて

壬生忠岑
Глядя на плывущие по реке Ои осенние листья

Мибу Тадаминэ

けふみれは
嵐の山は
おほゐ川
もみち吹きおろす
名にこそ有りけれ
けふみれは
あらしのやまは
おほゐかは
もみちふきおろす
なにこそありけれ


おほゐかは
なかれておつる
紅葉かな
さそふは峰の
嵐のみかは
おほゐかは
なかれておつる
もみちかな
さそふはみねの
あらしのみかは


待つ程の
過ぎのみゆけば
大井川
頼むる暮も
如何とぞ思ふ
まつほどの
すぎのみゆけば
おほゐかは
たのむるくれも
いかとぞおもふ


年ごとに
せくとはすれど
大井川
昔の名こそ
猶ながれけれ
としごとに
せくとはすれど
おほゐかは
むかしのなこそ
なほながれけれ


落ちつもる
紅葉をみれば
大井川
井堰に秋も
とまるなりけり
おちつもる
もみぢをみれば
おほゐかは
ゐせきにあきも
とまるなりけり
Увидев листву,
Что упала, скопилась
В водах реки Ои,
То кажется, что в плотине
И осень задержалась.
Примерный перевод

大井川
ふるきながれを
尋ねきて
嵐のやまの
紅葉をぞ見る
おほゐかは
ふるきながれを
たづねきて
あらしのやまの
もみぢをぞみる


後朱雀院の御時うへのをのこども大井川に罷りて紅葉浮水といへる心をよみ侍りけるに中將に侍りける時

右近大將通房



大井川
うかぶ紅葉の
にしきをば
波の心に
まかせてやたつ
おほゐかは
うかぶもみぢの
にしきをば
なみのこころに
まかせてやたつ


大井川
いくせ鵜舟の
過ぎぬらむ
ほのかになりぬ
篝火の影
おほゐかは
いくせうふねの
すぎぬらむ
ほのかになりぬ
かかりひのかげ
Мелководье
Реки Оигава, похоже,
Прошла рыбацкая лодка с бакланами,
Вдалеке показался
Свет её факела!
Примерный перевод

大井河。

Река О̀и.

おほ井川
けふの御幸の
驗にや
千代に一たび
すみ渡るらむ
おほゐかは
けふのみゆきの
しるしにや
ちよにひとたび
すみわたるらむ


大井河
もみぢをわくる
筏士は
さをに錦を
かけてこそみれ
おほひがは
もみぢをわくる
いかだしは
さをににしきを
かけてこそみれ
Сплавщик,
Шестом орудуя в воде реки Ои
И раздвигая листья,
Парчу на шест накинутую
Видит, конечно!
Примерный перевод
*налипшие листья
大井河
ちるもみぢ葉に
埋れて
となせの瀧は
音のみぞする
おほひがは
ちるもみぢばに
うずまれて
となせのたきは
おとのみぞする
Вся река Ои
Опавшими осенними листьями
Заполнена,
Лишь только слышен
Звук водопада Тонасэ.
Примерный перевод

紅葉ばの
流れもやらぬ
大井川
かはせは浪の
音にこそきけ
もみぢばの
ながれもやらぬ
おほゐかは
かはせはなみの
おとにこそきけ


宇治前太政太臣大井河にまかりたりけるともにまかりて水邊紅葉といへる事をよめる

大納言經信


[1]
大井河
いはなみたかし
筏士よ
岸の紅葉に
あからめなせそ
おほひがは
いはなみたかし
いかだしよ
きしのもみぢに
あからめなせそ
О, сплавщик,
На реке Ои меж камней
Волны высоки!
На осенние листья на берегу
Не заглядывайся!
Примерный перевод

大井河
ゐせきの音の
なかりせば
紅葉を志ける
渡とやみむ
おほゐかは
ゐせきのおとの
なかりせば
もみぢをしける
わたしとやみむ
Коль не было бы
Звука плотины
На реке Ои,
Увидели б мы переправу,
Покрытую осенними листьями?..
Примерный перевод

大井河の行幸につかうまつれる

修理大夫顯季

Акисуэ

おほゐ川
をぐらの山の
ほととぎす
ゐせきにこゑの
とまらましかば
おほゐかは
をぐらのやまの
ほととぎす
ゐせきにこゑの
とまらましかば


大井川
ふるき御幸の
流にて
となせの水も
今日ぞすみける
おほゐかは
ふるきみゆきの
ながれにて
となせのみづも
けふぞすみける


大井川
ゐぜきに秋の
色とめて
くれなゐくゝる
瀬々の岩波
おほゐかは
ゐぜきにあきの
いろとめて
くれなゐくくる
せぜのいはなみ


紅葉ばの
ふりにし世より
大井河
絶えぬ御幸の
跡をみる哉
もみぢばの
ふりにしよより
おほゐかは
たえぬみゆきの
あとをみるかな


大井河の逍遙に水上落葉といへる事をよめる

藤原伊家

Фудзивара Корэиэ

大井川
くだす筏の
隙ぞなき
おちくる瀧も
のどけからねば
おほゐかは
くだすいかだの
ひまぞなき
おちくるたきも
のどけからねば


大井川
ゆく瀬の浪も
おなじくば
昔にかへれ
君がかげ見む
おほゐかは
ゆくせのなみも
おなじくば
むかしにかへれ
きみがかげみむ


もみぢ葉の
散來る秋は
大井川
渡る淵瀬も
みえずぞ有ける
もみぢはの
ちりくるあきは
おほゐかは
わたるふちせも
みえずぞあける


人々さそひて大井川にまかりて紅葉臨水と云ふ事を詠み侍りける

權大納言長家



大井川
山の紅葉を
映しもて
からくれなゐの
波ぞ立ちける
おほゐかは
やまのもみぢを
うつしもて
からくれなゐの
なみぞたちける


落積る
もみぢ葉見れば
大井川
堰にとまる
秋にぞありける
おちつもる
もみぢはみれば
おほゐかは
せきにとまる
あきにぞありける


分きて猶
こほりやすらむ
大井川
さむる嵐の
やま蔭にして
わきてなほ
こほりやすらむ
おほゐかは
さむるあらしの
やまかげにして


散りぬれば
悔しき物を
大井川
きしの山吹
いまさかりなり
ちりぬれば
くやしきものを
おほゐかは
きしのやまぶき
いまさかりなり


大井川の篝火を見て

道命法師



水上に
風わたるらし
大井川
紅葉をむすぶ
たきのしらいと
みなかみに
かぜわたるらし
おほゐかは
もみぢをむすぶ
たきのしらいと


大井川
水の流れも
見えぬまで
散るもみぢ葉の
浮ぶ今日哉
おほゐかは
みづのながれも
みえぬまで
ちるもみぢはの
うかぶけふかな


承保三年大井川に行幸の日詠める

式部卿敦賢親王



大井川
人目もらさぬ
今日やさは
杣の筏士
くれを待つらむ
おほゐかは
ひとめもらさぬ
けふやさは
そまのいかだし
くれをまつらむ


延喜七年大井川に行幸の時序たてまつりて泛秋水と云へる事をよめる

貫之

Цураюки

大井川
かげ見しみづに
流るめり
さそふ嵐の
山のもみぢば
おほゐかは
かげみしみづに
ながるめり
さそふあらしの
やまのもみぢば


大井川
みなわさかまく
岩淵に
たゝむ筏の
すぎがたの世や
おほゐかは
みなわさかまく
いはふちに
たたむいかだの
すぎがたのよや


大井川
かへらぬ水の
鵜飼舟
つかふと思ひし
御代ぞ戀しき
おほゐかは
かへらぬみづの
うかひふね
つかふとおもひし
みよぞこひしき


大井川
櫻をつれて
こす波に
せくとも見えぬ
水の志がらみ
おほゐかは
さくらをつれて
こすなみに
せくともみえぬ
みづのしがらみ


大井川
山もと遠く
漕ぎつれて
ひろ瀬にならぶ
篝火のかげ
おほゐかは
やまもととほく
こぎつれて
ひろせにならぶ
かかりひのかげ


大井川
春をとゞめぬ
志がらみに
花も昨日の
瀬々の志ら波
おほゐかは
はるをとどめぬ
しがらみに
はなもきのふの
せぜのしらなみ


大井川
瀬々にいく世か
みなれざを
くだす筏の
床の月かげ
おほゐかは
せぜにいくよか
みなれざを
くだすいかだの
とこのつきかげ


大井川
ゐせきの浪に
立つ鴫の
歸りて跡に
またくだりつゝ
おほゐかは
ゐせきのなみに
たつしぎの
かへりてあとに
またくだりつつ


大井川
おろす筏の
如何なれば
流れてつひに
戀しかるらむ
おほゐかは
おろすいかだの
いかなれば
ながれてつひに
こひしかるらむ


日かずふる
旅のあはれは
大井川
わたらぬ水も
深き色かな
ひかずふる
たびのあはれは
おほゐかは
わたらぬみづも
ふかきいろかな


朝嵐の
峯よりおろす
大井川
うきたる霧も
ながれてぞゆく
あさあらしの
みねよりおろす
おほゐかは
うきたるきりも
ながれてぞゆく


大井川
遙に見ゆる
橋のうへに
行く人すごし
雨のゆふぐれ
おほゐかは
はるかにみゆる
はしのうへに
ゆくひとすごし
あめのゆふぐれ


大井川
瀬々の鵜舟の
數々に
浮きてぞ燃ゆる
かゞり火の影
おほゐかは
せぜのうふねの
かずかずに
うきてぞもゆる
かがりひのかげ


大井川
しもは桂の
月かげに
磨きて落つる
瀬々のしらたま
おほゐかは
しもはかつらの
つきかげに
みがきておつる
せぜのしらたま


大井川
今日の行幸に
もみぢ葉も
流久しき
ゐせきにぞ見る
おほゐかは
けふのみゆきに
もみぢはも
ながれひさしき
ゐせきにぞみる


大井川
みかさや増る
龜山の
千世のかげ見る
行幸と思へば
おほゐかは
みかさやまさる
かめやまの
ちよのかげみる
みゆきとおもへば


大井川
かみに井堰や
なかりつる
おほゐかは
かみにゐせきや
なかりつる


大井川
舟にのりえて
わたるかな



大井川
君が名殘の
したはれて
井堰の波の
そでにかかれる
おほゐかは
きみがなごりの
したはれて
ゐせきのなみの
そでにかかれる


おちつもる
もみぢをみれば
大井川
ゐぜきに秋は
とまるなりけり
おちつもる
もみぢをみれば
おほゐかは
ゐぜきにあきは
とまるなりけり


散りぬれば
くやしきものを
大井川
岸の山吹
今さかりなり
ちりぬれば
くやしきものを
おほゐかは
きしのやまぶき
いまさかりなり
Коль осыпятся,
Так будет жаль:
На берегу Ои
Цветы ямабуки
Сейчас цветут!
Примерный перевод

同じ匡衡、つかさ申しけるに、えならで嘆きけるころ、殿上人、大井に行きて、となせにさし上り歩きて遊ぶままに、人々、歌詠みけるに、匡衡かくなん詠みたりける。

Тот же Масахира, когда получил назначение на должность и тому безгранично печалился, вместе с придворными приехал к реке Ои, и во время водных прогулок по Тонасэ слагали стихи, и Масахира сложил такой:

亦、此の匡衡、□□望申ける時に、否成らで歎ける比、殿上人数大井河に行て船に乗て、差し上り差し下り行て遊つつ、人々歌読けるに、此の匡衡も人々に倡はれて行たりければ、匡衡、此なむ読ける。



大井河
風のしからみ
かけてけり
紅葉のいかた
ゆきやらぬまて
おほゐかは
かぜのしからみ
かけてけり
もみぢのいかた
ゆきやらぬまて


元久二年冬、月あかゝりける夜、和歌所のをのことも伴て大井河にまかりて、河辺寒月といふことを読侍ける

藤原清範



承保三年大井川に行幸の日、内よりめされける歌

弁乳母



承保三年十月、大井川に行幸の日、序奉りて

土御門院右大臣



大井河
つねよりことに
みゆるかな
君か御幸を
まつにそ有ける
おほゐかは
つねよりことに
みゆるかな
きみかみゆきを
まつにそありける


京極前関白、大井川にまかりて、水辺紅葉といふ事をよみ侍ける

堀川左大臣



大井川
もみちの色は
かはるとも
ふるきなかれの
跡はみゆらん
おほゐかは
もみちのいろは
かはるとも
ふるきなかれの
あとはみゆらん


大井河
千世に一たひ
すむ水の
けふのみゆきに
あひにけるかな
おほゐかは
ちよにひとたひ
すむみづの
けふのみゆきに
あひにけるかな


延喜七年、大井河に行幸時

坂上是則



紅葉はの
落てなかるゝ
大井河
せゝのしからみ
かけもとめなん
もみぢはの
おちてなかるる
おほゐかは
せぜのしからみ
かけもとめなん


大井河
まれのみゆきに
年へぬる
紅葉の舟路
あとは有けり
おほゐかは
まれのみゆきに
としへぬる
もみぢのふねぢ
あとはありけり


承保三年大井川に行幸の日、内よりめされける歌

弁乳母



承保三年十月、大井川に行幸の日、序奉りて

土御門院右大臣



承久二年十月、光明峰寺入道前摂政、大井河の紅葉見にまかり侍けるに、つかはされける

順徳院御歌



京極前関白、大井川にまかりて、水辺紅葉といふ事をよみ侍ける

堀川左大臣



大井川
もみちの色は
かはるとも
ふるきなかれの
跡はみゆらん
おほゐかは
もみちのいろは
かはるとも
ふるきなかれの
あとはみゆらん


大井河
そこにもみゆる
かめ山の
かはらぬかけは
幾世へぬらん
おほゐかは
そこにもみゆる
かめやまの
かはらぬかけは
いくよへぬらん


承保二年二月、大井河の行幸につかうまつりてよみ侍ける

前中納言匡房



名所歌の中に、大井河

皇太后宮大夫俊成女



大井川
岩波はやく
春くれて
筏のとこに
夏そきにける
おほゐかは
いはなみはやく
はるくれて
いかだのとこに
なつそきにける


五月雨に
うき木なかれて
大井河
くたす筏の
数そゝひぬる
さみだれに
うききなかれて
おほゐかは
くたすいかだの
かずそそひぬる


大井河
う舟のかゝり
ほの見えて
くたすやなみの
よるそしらるゝ
おほゐかは
うふねのかかり
ほのみえて
くたすやなみの
よるそしらるる


となせより
なかす錦は
大井河
筏につめる
木葉なりけり
となせより
なかすにしきは
おほゐかは
いかだにつめる
このはなりけり


大井川
秋のなこりを
尋ぬれは
入江の水に
しつむ紅葉は
おほゐかは
あきのなこりを
たづぬれは
いりえのみづに
しつむもみぢは


大井河
すさきのあしは
うつもれて
波にうきたる
雪の一村
おほゐかは
すさきのあしは
うつもれて
なみにうきたる
ゆきのひとむら


大井河逍遥に人にかはりてよめる

俊頼朝臣



筏士よ
秋のなごりの
大井河
この暮志ばし
いそがずもがな
いかだしよ
あきのなごりの
おほゐかは
このくれしばし
いそがずもがな


大井河
ゐせきをこえて
行水の
たえすも物を
おもふ比かな
おほゐかは
ゐせきをこえて
ゆくみづの
たえすもものを
おもふころかな