涙川
身なぐ計りの
淵はあれど
氷とけねば
ゆく方もなし
なみだかは
みなぐばかりの
ふちはあれど
こほりとけねば
ゆくかたもなし


涙河
のとかにたにも
なかれなん
こひしき人の
影や見ゆると
なみたかは
のとかにたにも
なかれなむ
こひしきひとの
かけやみゆると


涙河
おつるみなかみ
はやけれは
せきそかねつる
そてのしからみ
なみたかは
おつるみなかみ
はやけれは
せきそかねつる
そてのしからみ


なみた河
そこのみくつと
なりはてて
こひしきせせに
流れこそすれ
なみたかは
そてのみくつと
なりはてて
こひしきせせに
なかれこそすれ


涙河
水まされはや
しきたへの
枕のうきて
とまらさるらん
なみたかは
みつまされはや
しきたへの
まくらのうきて
とまらさるらむ


きえかへり
物思ふあきの
衣こそ
涙の川の
もみぢなりけれ
きえかへり
ものおもふあきの
ころもこそ
なみだのかはの
もみぢなりけれ


みな神に
祈るかひなく
涙川
うきても人を
よそに見るかな
みなかみに
いのるかひなく
なみだかは
うきてもひとを
よそにみるかな


侘人の
そぼつてふなる
涙川
おりたちてこそ
ぬれ渡りけれ
わびひとの
そぼつてふなる
なみだかは
おりたちてこそ
ぬれわたりけれ


淵瀬とも
心もしらず
涙川
おりやたつべき
そでのぬるゝに
ふちせとも
こころもしらず
なみだかは
おりやたつべき
そでのぬるるに


心見に
猶おりたゝむ
涙川
うれしきせにも
流れあふやと
こころみに
なほおりたゝむ
なみだかは
うれしきせにも
ながれあふやと


流れては
ゆく方もなし
涙川
我身のうらや
かぎりなるらむ
ながれては
ゆくかたもなし
なみだかは
わがみのうらや
かぎりなるらむ


つらしとも
思ひぞはてぬ
涙川
流れてひとを
たのむ心は
つらしとも
おもひぞはてぬ
なみだかは
ながれてひとを
たのむこころは


涙川
ながす寢覺も
あるものを
拂ふばかりの
つゆや何なり
なみだかは
ながすねさめも
あるものを
はらふばかりの
つゆやなになり


篝り火に
あらぬ思の
いかなれば
涙の川に
うきてもゆらむ
かかりひに
あらぬおもひの
いかなれば
なみだのかはに
うきてもゆらむ

Похожее стихотворение есть в Кокинсю, 529
かへるべき
方も覺えず
涙川
いづれか渡る
あさ瀬なるらむ
かへるべき
かたもおぼえず
なみだかは
いづれかわたる
あさせなるらむ


涙川
いかなるせより
歸り劍
み馴るゝみをも
怪しかりしを
なみだかは
いかなるせより
かへりけむ
みなるるみをも
あやしかりしを


ゆく人も
とまるも袖の
涙川
みぎはのみこそ
ぬれまさりけれ
ゆくひとも
とまるもそでの
なみだがは
みぎはのみこそ
ぬれまさりけれ
У путников
И тех, кто остаётся.
Такие ж реки слёз на рукавах.
Но только берега их
Чересчур намокли...

涙川
身も浮くばかり
流るれど
消えぬは人の
思ひなりけり
なみだかは
みもうきくばかり
ながるれど
きえぬはひとの
おもひなりけり
Слёз разлилась река,
Она готова и меня увлечь с собою,
Но загасить, увы,
Не может и она
Огня, пылающего в сердце.

涙川
たぎつ心の
早き瀬を
しがらみかけて
せく袖ぞなき
なみだかは
たぎつこころの
はやきせを
しがらみかけて
せくそでぞなき
О сердце, полное любви!
Ты слез реки неисчерпаемый источник,
И никакой рукав-плотина
Не остановит
Теченья бурного этой реки!

枕のみ
浮くと思ひし
涙川
今は我が身の
沈むなりけり
まくらのみ
うきくとおもひし
なみだかは
いまはわがみの
しずむなりけり
Думал, что слёз река
Зальет лишь изголовье,
Но чувствую,
Как самого меня уже уносит
Ее теченьем...

涙川
身もうきぬべき
寝覚めかな
はかなき夢の
名残ばかりに
なみだかは
みもうきぬべき
ねさめかな
はかなきゆめの
なごりばかりに
Наверное, теперь,
Мне плыть рекою слез:
Лишь сладкие
Воспоминания остались
О мимолетном сне...

流れてと
何頼むらむ
涙川
かげ見ゆべくも
おもほえなくに
ながれてと
なにたのむらむ
なみだかは
かげみゆべくも
おもほえなくに


せきもあへず
淵にぞ迷ふ
涙川
渡るてふ瀬を
志る由もがな
せきもあへず
ふちにぞまよふ
なみだかは
わたるてふせを
しるよしもがな


淵ながら
人かよはさじ
涙川
わたらば淺き
瀬もこそはみれ
ふちながら
ひとかよはさじ
なみだかは
わたらばあさき
せもこそはみれ


たえぬとも
何思ひけむ
涙川流
れあふ瀬も
ありけるものを
たえぬとも
なにおもひけむ
なみだかはなが
れあふせも
ありけるものを


君が行く
方にありてふ
涙川
まづは袖にぞ
ながるべらなる
きみがゆく
かたにありてふ
なみだかは
まづはそでにぞ
ながるべらなる


忘るなと
いふに流るゝ
涙川
憂名をすゝぐ
瀬ともならなむ
わするなと
いふにながるる
なみだかは
うきなをすすぐ
せともならなむ

??
涙川
うきねのとりと
なりぬれと
人にはえこそ
みなれさりけれ
なみたかは
うきねのとりと
なりぬれと
ひとにはえこそ
みなれさりけれ


おもひせく
心のうちの
しからみも
たへすなりゆく
涙川かな
おもひせく
こころのうちの
しからみも
たへすなりゆく
なみたかはかな


このせにも
しつむときけは
涙川
なかれしよりも
なほまさりけり
このせにも
しつむときけは
なみたかは
なかれしよりも
なほまさりけり


大和物語 > #76 川千鳥 (Речные тидори)
今宵こそ
涙の川に
入るちどり
なきてかへると
君は知らずや
こよひこそ
なみだのかはに
いるちどり
なきてかへると
きみはしらずや
Знаешь ли ты,
Что весь вечер сегодня,
Как птица кулик, погрузившаяся
В реку слёз,
Плакал я и вернулся домой[195].
195. Танка содержит частичные омонимы: намида – «слезы» и нами – «волна». Нами, кава и тидори – «волна», «река» и «кулик» – слова, составляющие комплекс энго.
露ばかり
おくらむ袖は
たのまれず
涙の川の
たきつ瀬なれば
つゆばかり
おくらむそでは
たのまれず
なみだのかはの
たきつせなれば
Подумаешь, слезами увлажнён рукав!
Когда бы слёз река
Потоком бурным разлилась,
В твою любовь поверила бы,
Может...

流れ出づる
涙の川の
行く末は
遂にあふみの
海とたのまむ
ながれいづる
なみだのかはの
ゆくすゑは
つひにあふみの
うみとたのまむ


せきもあへず
涙の川の
瀬を早み
かゝらむ物と
思やはせし
せきもあへず
なみだのかはの
せをはやみ
かからむものと
おもひやはせし


人しれぬ
涙の川の
みなかみや
いはての山の
谷のした水
ひとしれぬ
なみたのかはの
みなかみや
いはてのやまの
たにのしたみつ


恋ひわたる
涙の川に
みをなけん
この世ならても
あふせありやと
こひわたる
なみたのかはに
みをなけむ
このよならても
あふせありやと


せきかぬる
涙の川の
はやきせは
あふよりほかの
しからみそなき
せきかぬる
なみたのかはの
はやきせは
あふよりほかの
しからみそなき


としことに
涙の川に
うかへとも
みはなけられぬ
物にそありける
としことに
なみたのかはに
うかへとも
みはなけられぬ
ものにそありける


天の川
君が涙の
川ならば
色ことにてや
落ちたぎるらむ
あまのかは
きみがなみだの
かはならば
いろことにてや
おちたぎるらむ


うき草の
身は根を絶えて
流れなん
涙の川の
行きのまにまに
うきぐさの
みはねをたえて
ながれなん
なみだのかはの
ゆきのまにまに


遅れ居て
歎かんよりは
涙川
われおり立たむ
まづ流るべく
おくれゐて
なげかんよりは
なみだがは
われおりたたむ
まづながるべく


臥す床の
涙の川と
なりぬれば
流れてのみぞ
水鳥の
うき寝をだにぞ
われはせぬ
冬の夜ごとに
置く霜の
起き居て常に
消え返り
なに事にをかは
なよ竹の
よ長きには
思ひ明かす
わが<胸をのみ
木枯らしの
森の木の葉は
君なれや
露も時雨も
ともすれば
漏りつつ袖を
濡らすらむ
干る時なき
野路露に
干さじとやする
山びこの
答へばかりは
答へなん
聞きてなぐさむ
ことやあると
時をいつとは
分かねとも
せめてわびしき
夕暮れは
むなしき空を
ながめつつ
むなしき空と
知りながら
なに頼みつつ
逢坂の
ゆふつげ鳥の
夕鳴きを
ふり出で出でぞ
鳴き渡る
聞く人ごとに
とがむれど
声もせきあえず
いくよしも
あらじ命を
はかなくも
頼みて年の
経にけるか
生けるあひだの
うち橋の
絶えて会はずは
渡り川
とくとくとだに
渡りてしがな
ふすとこの
なみだのかはと
なりぬれば
ながれてのみぞ
みづどりの
うきねをだにぞ
われはせぬ
ふゆのよごとに
おくしもの
おきゐてつねに
きえかへり
なにことにをかは
なよたけの
よながきには
おもひあかす
わがむねをのみ
こがらしの
もりのこのはは
きみなれや
つゆもしぐれも
ともすれば
ぬりつつそでを
ぬらすらむ
ほるときなき
のぢつゆに
ほさじとやする
やまびこの
こたへばかりは
こたへなん
ききてなぐさむ
ことやあると
ときをいつとは
わかねとも
せめてわびしき
ゆうぐれれは
むなしきそらを
ながめつつ
むなしきそらと
しりながら
なにたのみつつ
あふさかの
ゆふつげとりの
ゆふなきを
ふりいでいでぞ
なきわたる
きくひとごとに
とがむれど
こゑもせきあえず
いくよしも
あらじいのちを
はかなくも
たのみてとしの
へにけるか
いけるあひだの
うちばちの
たえてあはずは
わたりがは
とくとくとだに
わたりてしがな


身の憂きを
厭ひ捨てにと
来つれども
涙の川は
渡る瀬もなし
みのうきを
いとひすてにと
きつれども
なみだのかはは
わたるせもなし


まことにて
渡る瀬なくは
涙川
流れて深き
みをと頼まむ
まことにて
わたるせなくは
なみだがは
ながれてふかき
みをとたのまむ


夜半に出でて
渡りぞかぬる
涙川
淵とながれて
深く見ゆれば
よはにいでて
わたりぞかぬる
なみだがは
ふちとながれて
ふかくみゆれば


床も淵
ふちも瀬ならぬ
なみだ河
袖のわたりは
あらじとぞ思ふ
とこもふち
ふちもせならぬ
なみだかは
そでのわたりは
あらじとぞおもふ


流れての
名にぞ立ちぬる
涙川
人め包みを
せきしあへねば
ながれての
なにぞたちぬる
なみだかは
ひとめつつみを
せきしあへねば


あさみこそ
そではひづらめ
涙河
身さへながると
きかばたのまむ
あさみこそ
そではひづらめ
なみだかは
みさへながると
きかばたのまむ
Ну, и мелко же, если
только рукав увлажняешь!
Вот, если услышу: тебя самого
понесло уж теченьем —
поверю...

篝火に
あらぬわか身の
なそもかく
涙の河に
うきてもゆらむ
かかりひに
あらぬわかみの
なそもかく
なみたのかはに
うきてもゆらむ
Если бренная плоть —
не факел на лодке рыбачьей —
отчего же тогда
я горю в огне, догораю
над рекою слез безутешных?!
Похожее стихотворение есть в Госэнсю, 869
いかばかり
もの思ふ時の
涙河
からくれなゐに
袖の濡る覽
いかばかり
ものおもふときの
なみだかは
からくれなゐに
そでのぬるらん


涙河
みなわを袖に
せきかねて
人のうきせに
朽やはてなむ
なみだかは
みなわをそでに
せきかねて
ひとのうきせに
くちやはてなむ


人ごゝろ
木葉ふり志く
えにしあれば
涙の河も
色かはり鳬
ひとごころ
このはふりしく
えにしあれば
なみだのかはも
いろかはりけり


戀すてふ
名をだに流せ
涙河
つれなき人も
きゝやわたると
こひすてふ
なをだにながせ
なみだかは
つれなきひとも
ききやわたると


戀わびて
おさふる袖や
流れ出づる
涙の川の
井堰なるらむ
こひわびて
おさふるそでや
ながれいづる
なみだのかはの
ゐせきなるらむ
Когда печалился я от любви,
Не то ли, что ты мне махала рукавом,
На выливающейся
Слёз реке
Запрудой стало?..

涙川
袖のゐせぎも
くちはてゝ
淀むかたなき
戀もするかな
なみだかは
そでのゐせぎも
くちはてて
よどむかたなき
こひもするかな
На реке слёз
Запруда рукава
Прогнила,
И нет стороны, где могла задержаться, —
Такая сильная любовь.

目のまへに
かはる心を
涙河
ながれてやとも
思ひけるかな
めのまへに
かはるこころを
なみだかは
ながれてやとも
おもひけるかな


淺くとも
頼みこそせめ
泪川
さても逢ふせの
變り果てずば
あさくとも
たのみこそせめ
なみだかは
さてもあふせの
かはりはてずば


いかゞせむ
うき水上の
泪川
あふせも志らで
沈みはてなば
いかがせむ
うきみなかみの
なみだかは
あふせもしらで
しずみはてなば


泪川
うきせをしばし
過してや
沈みも果てぬ
身をば頼まむ
なみだかは
うきせをしばし
すごしてや
しずみもはてぬ
みをばたのまむ


世に漏らむ
名社つらけれ
逢ふ瀬なき
涙の川は
袖にせく共
よにもらむ
なこそつらけれ
あふせなき
なみだのかはは
そでにせくとも


知られじな
おさふる袖の
泪川
したにははやき
みづの心を
しられじな
おさふるそでの
なみだかは
したにははやき
みづのこころを


暫しこそ
袖にもつゝめ
泪川
たぎつこゝろを
爭でせかまし
しばしこそ
そでにもつつめ
なみだかは
たぎつこころを
いかでせかまし


逢ふ瀬なき
涙の川の
澪標
つらきしるしに
朽ちや果てなむ
あふせなき
なみだのかはの
みをつくし
つらきしるしに
くちやはてなむ


悲しみの
涙の川に
浮ぶかな
流れ会はばや
法の海にて
かなしみの
なみだのかはに
うかぶかな
ながれ会はばや
のりのうみにて


よどみなく
涙の川は
ながるれど
思ひぞ胸を
やくとこがるる
よどみなく
なみだのかはは
ながるれど
おもひぞむねを
やくとこがるる


流れてと
契りし事は
行く末の
涙の河を
云ふにぞありける
ながれてと
ちぎりしことは
ゆくすゑの
なみだのかはを
いふにぞありける