会ふことの
遠江なる
われなれば
勿来の関も
道の間ぞなき
あふことの
とほたあふみなる
われなれば
なこそのせきも
みちのまぞなき
勿来てふ
関をばすゑで
会ふことを
近江にも
君はなさなむ
なこそてふ
せきをばすゑで
あふことを
ちかたふみにも
きみはなさなむ
みちのくににまかりける時、なこそのせきにて花のちりけれはよめる
源義家朝臣
みちのくににまかりける時、なこそのせきにて花のちりけれはよめる
源義家朝臣
東路は
勿來の關も
ある物を
いかでか春の
こえてきつらむ
あづまぢは
なこそのせきも
あるものを
いかでかはるの
こえてきつらむ
勿來といふ
事をば君が
言草を
關の名ぞとも
思ひけるかな
なこそといふ
ことをばきみが
ことくさを
せきのなぞとも
おもひけるかな
みるめ苅る
蜑の往來の
湊路に
勿來の關も
わが据ゑなくに
みるめかる
あまのゆききの
みなとぢに
なこそのせきも
わがゐゑなくに
東路や
忍のさとに
やすらひて
勿來の關を
こえぞわづらふ
あづまぢや
しのぶのさとに
やすらひて
なこそのせきを
こえぞわづらふ
聞く度に
勿來關の
名もつらし
行ては歸る
身に知られつゝ
きくたびに
なこそのせきの
なもつらし
ゆきてはかへる
みにしられつつ
吹くかせを
なこそのせきと
おもへとも
みちもせにちる
山桜かな
ふくかせを
なこそのせきと
おもへとも
みちもせにちる
やまさくらかな
聞くもうし
誰を勿來の
關の名ぞ
行逢ふ道を
急ぐこゝろに
きくもうし
たれをなこその
せきのなぞ
ゆきあふみちを
いそぐこころに
如何にまた
心ひとつの
通ひ路も
末は勿來の
關となるらむ
いかにまた
こころひとつの
かよひぢも
すゑはなこその
せきとなるらむ
ほととぎす
なこその関の
なかりせば
君がねざめに
まずぞそきかまし
ほととぎす
なこそのせきの
なかりせば
きみがねざめに
まずぞそきかまし
今更に
名こその關を
あふ坂の
山のあなたに
誰かすへけん
いまさらに
なこそのせきを
あふさかの
やまのあなたに
たれかすへけん
いそがれぬ
五十の坂も
こえにけり
老はなこその
關守も哉
いそがれぬ
いそぢのさかも
こえにけり
おいはなこその
せきもりもかな
夢路には
なこその関も
なしといふに
恋しき人の
なとか見えこぬ
ゆめぢには
なこそのせきも
なしといふに
こひしきひとの
なとかみえこぬ