立ちとまり
見てをわたらむ
もみちはは
雨とふるとも
水はまさらし
たちとまり
みてをわたらむ
もみちはは
あめとふるとも
みつはまさらし
Приостановлюсь,
полюбуюсь еще листопадом —
хоть и льются дождем
в эту реку листья с деревьев,
все равно воды не прибудет…
とこ夏の
花をし見れは
うちはへて
すくる月日の
かすもしられす
とこなつの
はなをしみれは
うちはへて
すくるつきひの
かすもしられす
春霞
たてるを見れは
荒玉の
年は山より
こゆるなりけり
はるかすみ
たてるをみれば
あらたまの
としはやまより
こゆるなりけり
Гляжу,
Как поднимается
Весенняя дымка, —
И кажется, что новый год
Приходит из-за гор.
あらたまの
年立帰る
朝より
またるる物は
うくひすのこゑ
あらたまの
としたちかへる
あしたより
またるるものは
うぐひすのこゑ
Тем утром,
Когда сменился год
На новый
Я жду лишь одного:
Камышовки голос!
ふる雪に
色はまかひぬ
梅の花
かにこそにたる
物なかりけれ
ふるゆきに
いろはまがひぬ
うめのはな
かにこそにたる
ものなかりけれ
Смешались цветом с
Падающим снегом
Цветы сливы,
Но аромат их
Вовсе не такой же!
わかやとの
梅のたちえや
見えつらん
思ひの外に
君かきませる
わがやとの
うめのたちえや
みえつらむ
おもひのほかに
きみがきませる
Неужто у дома
У сливы ветви видны
Издалека?
Пришёл тот гость,
Которого не ждали!
かをとめて
たれをらさらん
梅の花
あやなし霞
たちなかくしそ
かをとめて
たれをらざらむ
うめのはな
あやなしかすみ
たちなかくしそ
Кто, ветвь не сломив,
Оставил здесь благоуханье
Сливового цвета?
Так не скрой её от взора,
Весенняя дымка!
野辺見れは
わかなつみけり
むへしこそ
かきねの草も
はるめきにけれ
のべみれは
わかなつみけり
うへしこそ
かきねのくさも
はるめきにけれ
Глянул в поле:
Там собирают молодые травы,
И потому
Трава в ограде у дома
Весенней такой показалась!
春日野の
草はみどりに
なりにけり
若菜摘まむと
たれかしめけむ
かすがのの
くさはみどりに
なりにけり
わかなつまむと
たれかしめけむ
На поле Касуга
Зазеленела травка,
И вот уж кто-то место
Себе огородил, —
Чтоб зелени набрать.
ゆきて見ぬ
人もしのべと
春の野の
かたみにつめる
若菜なりけり
ゆきてみぬ
ひともしのべと
はるののの
かたみにつめる
わかななりけり
Эта корзина
Побегов молодых полна.
Пусть о весне она напомнит
Тому,
Кто ещё не был на полях!
たれもみな
涙の雨に
せきかねぬ
空もいかがは
つれなかるべき
たれもみな
なみだのあめに
せきかねぬ
そらもいかがは
つれなかるべき
Никто не мог сдержать
Дождь слез,
И даже небо
Не смогло, должно быть,
Остаться безучастным.
梅の花
またちらねとも
ゆく水の
そこにうつれる
かけそ見えける
うめのはな
まだちらねとも
ゆくみづの
そこにうつれる
かげぞみえける
Цветы сливы
Не опали ещё:
На дне
Воды бегущей видно,
Их отражение!
ちかくてそ
色もまされる
あをやきの
糸はよりてそ
見るへかりける
ちかくてぞ
いろもまされる
あをやぎの
いとはよりてぞ
みるべかりける
いづれをか
花とはわかむ
ふるさとの
春日の原に
まだきえぬ雪
いづれをか
はなとはわかむ
ふるさとの
かすがのはらに
まだきえぬゆき
Как сливы цветы
Отыскать среди снега?
Ведь в Касуга,
В родных местах,
Он все ещё не тает!
春雨の
降りそめしより
青柳の
糸のみどりぞ
色まさりける
はるさめの
ふりそめしより
あをやぎの
いとのみどりぞ
いろまさりける
С тех пор
Как начались
Весенние дожди,
Зелёные нити ив
Зазеленели ещё ярче.
かりにとて
くへかりけりや
秋の野の
花見るほとに
日もくれぬへし
かりにとて
くへかりけりや
あきののの
はなみるほとに
ひもくれぬへし
いつこにか
今夜の月の
見えさらん
あかぬは人の
心なりけり
いつこにか
こよひのつきの
みえさらむ
あかぬはひとの
こころなりけり
秋くれは
はたおる虫の
あるなへに
唐錦にも
見ゆるのへかな
あきくれは
はたおるむしの
あるなへに
からにしきにも
みゆるのへかな
На исходе осени,
Притаился где-то, наверно,
Ткущий жучок:
Китайской парчою
Кажется поле!
わかやとの
菊の白露
けふことに
いく世つもりて
淵となるらん
わかやとの
きくのしらつゆ
けふことに
いくよつもりて
ふちとなるらむ
У дома моего
На хризантемах белая роса,
Каждый год этим утром
За несколько веков коль соберётся,
Не станет ли пучиною она?
風さむみ
わかから衣
うつ時そ
萩のしたはも
いろまさりける
かせさむみ
わかからころも
うつときそ
はきのしたはも
いろまさりける
Так ветер холоден,
И моё китайское платье
Выбивают когда,
По цвету ярче даже,
Что листья нижние у хаги!
千鳥なく
さほの河きり
立ちぬらし
山のこのはも
色かはり行く
ちとりなく
さほのかはきり
たちぬらし
やまのこのはも
いろかはりゆく
Плачут тидори
В тумане реки Сахо,
Который поднялся,
И листва на горах
Начала менять свой цвет...
名をきけは
昔なからの
山なれと
しくるる秋は
色まさりけり
なをきけは
むかしなからの
やまなれと
しくるるあきは
いろまさりけり
流れくる
もみち葉見れは
からにしき
滝のいともて
おれるなりけり
なかれくる
もみちはみれは
からにしき
たきのいともて
おれるなりけり
時雨ゆゑ
かつくたもとを
よそ人は
もみちをはらふ
袖かとや見ん
しくれゆゑ
かつくたもとを
よそひとは
もみちをはらふ
そてかとやみむ
かりにのみ
人の見ゆれは
をみなへし
花のたもとそ
つゆけかりける
かりにのみ
ひとのみゆれは
をみなへし
はなのたもとそ
つゆけかりける
梅の花
匂ふ野邊にて
けふ暮れぬ
やどの梢を
誰れ尋ぬらむ
うめのはな
にほふのべにて
けふくれぬ
やどのこずゑを
たれたづぬらむ
草枕
夕風寒く
なりにけり
衣うつなる
宿やからまし
くさまくら
ゆふかぜさむく
なりにけり
ころもうつなる
やどやからまし
Вечерний ветер подул,
И холодно стало
У изголовья из трав.
Не попроситься ль на ночлег туда,
Откуда слышен стук валька?
年さむき
松の心も
あらはれて
花さくいろを
みする雪かな
としさむき
まつのこころも
あらはれて
はなさくいろを
みするゆきかな
暮れぬとは
思ふものから
藤の花
咲ける宿には
春ぞひさしき
くれぬとは
おもふものから
ふぢのはな
さけるやどには
はるぞひさしき
«Весна прошла!» —
Вокруг я слышу.
Но ведь глициния —
Цветёт.
Значит, весна ещё продлится!
みどりなる
松にかかれる
藤なれど
をのがころとぞ
花は咲きける
みどりなる
まつにかかれる
ふぢなれど
をのがころとぞ
はなはさきける
Хотя глициния и вьётся
Вокруг сосны вечнозелёной,
Она не забывает
Восхищать нас
И собственной красою.
大空を
我もながめて
彦星の
つま待つ夜さへ
ひとりかも寝む
おほそらを
われもながめて
ひこぼしの
つままつよさへ
ひとりかもねむ
Я в грустном ожиданье,
Словно Волопас,
Гляжу на небосвод:
Быть может, одному и эту ночь
Придётся коротать.
たなばたは
いまやわかるる
天の川
川霧たちて
千鳥鳴くなり
たなばたは
いまやわかるる
あまのかは
かはきりたちて
ちとりなくなり
Рассвет...
Наверное, настало время
Прощания влюблённых звёзд.
Туман поднялся над Рекой небес,
И слышны чаек жалобные крики.
我宿の
千代のかは竹
ふし遠み
さも行末の
はるかなるかな
わがやどの
ちよのかはたけ
ふしとほみ
さもゆくすゑの
はるかなるかな
Как далеки меж собой
Коленца речного бамбука чрез тысячу лет,
Что растёт возле моего дома,
Так и конец пути
Пусть будет таким же далёким!
雁鳴きて
吹く風寒み
から衣君
待ちがてに
打たぬ夜ぞなき
かりなきて
ふくかぜさむみ
からころもきみ
まちがてに
うたぬよぞなき
Гуси кричат в вышине,
Дует холодный ветер,
С тоской ожидая тебя,
Все ночи я здесь отбиваю
Одежды твои, любимый.
しぐれ降る
音はすれども
呉竹の
など代とともに
色もかはらぬ
しぐれふる
おとはすれども
くれたけの
などよとともに
いろもかはらぬ
Хоть ясно слышится
Шум зимнего дождя,
Но листья мелкого бамбука,
Другим кустам, деревьям не в пример,
Зелёного не изменили цвета!
萬代の
ためしに君が
ひかるれば
子の日の松も
羨みやせむ
よろづよの
ためしにきみが
ひかるれば
ねのひのまつも
うらやみやせむ
Если уж выдернешь
Ты, что пример
Долголетья,
Даже сосна на день крысы
Тебе позавидует...
深山には
嵐やいたく
ふきぬ覽
網代もたわに
紅葉つもれり
みやまには
あらしやいたく
ふきぬらん
あじろもたわに
もみぢつもれり
Глубоко в горах
Буря сильная
Была, похоже, —
Все верши рыбные погнулись
От скопившихся листьев осенних.
かぐ山の
白雲かゝる
峯にても
同じたかさぞ
月は見えける
かぐやまの
しらくもかかる
みねにても
おなじたかさぞ
つきはみえける
Там, где вершина,
Покрытая белыми облаками,
Горы Кагуяма,
На той же самой высоте
Видна луна!
子日する
野へに小松を
引つれて
かへる山路に
鶯そなく
ねのひする
のべにこまつを
ひきつれて
かへるやまぢに
うぐひすぞなく
На день крысы
Выкопали сосну
На поле.
А на обратном пути,
В горах, камышовка поёт!
今日よりは
君にひかるゝ
姫小松
いく万代か
春にあふへき
けふよりは
きみにひかるる
ひめこまつ
いくよろづよか
はるにあふべき
春立ちて
子日になれば
打群れて
孰の人か
野べに來ざらむ
はるたちて
ねのひになれば
うちむれて
いづれのひとか
のべにこざらむ
秋の野に
色々さける
花見れば
歸らむ程ぞ
いつと知られぬ
あきののに
いろいろさける
はなみれば
かへらむほどぞ
いつとしられぬ
まだ知らぬ
所までかく
來て見れば
櫻ばかりの
花なかり鳬
まだしらぬ
ところまでかく
きてみれば
さくらばかりの
はななかりけり
何れをか
花とは分かむ
長月の
有明の月に
まがふしらぎく
いづれをか
はなとはわかむ
ながつきの
ありあけのつきに
まがふしらぎく
青葉にも
暫し殘ると
見し花の
散りてさながら
茂る頃かな
あをばにも
しばしのこると
みしはなの
ちりてさながら
しげるころかな
九重や
玉敷く庭に
むらさきの
袖をつらぬる
千世の初はる
ここのへや
たましくにはに
むらさきの
そでをつらぬる
ちよのはつはる
梅の花
咲くと知らずや
三吉野の
山に友待つ
雪の見ゆらむ
うめのはな
さくとしらずや
みよしのの
やまにともまつ
ゆきのみゆらむ
春立ちて
咲かばと思ひし
梅の花
珍しきにや
人の折るらむ
はるたちて
さかばとおもひし
うめのはな
めづらしきにや
ひとのをるらむ
山櫻
よそに見るとて
すがの根の
永き春日を
たち暮しつる
やまさくら
よそにみるとて
すがのねの
ながきはるひを
たちくらしつる
行きてだに
いかでとく見む
我宿の
櫻は今日の
風に殘らじ
ゆきてだに
いかでとくみむ
わがやどの
さくらはけふの
かぜにのこらじ
飽かでけふ
歸ると思へど
花櫻
折るべき春や
つきせざりける
あかでけふ
かへるとおもへど
はなさくら
をるべきはるや
つきせざりける
行きて見ぬ
人も忍べと
春野の
形見に摘める
若菜也けり
ゆきてみぬ
ひともしのべと
はるののの
かたみにつめる
わかななりけり
花も皆
散りぬる宿は
行春の
故鄉とこそ
成ぬべらなれ
はなもみな
ちりぬるやどは
ゆくはるの
ふるさととこそ
なりぬべらなれ
香を留めて
誰折らざらむ
梅花
文無し霞
立莫隱しそ
かをとめて
たれをらざらむ
うめのはな
あやなしかすみ
たちなかくしそ
徒に
過ぐる月日は
思かれど
花見て暮す
春ぞ少なき
いたづらに
すぐるつきひは
おほかれど
はなみてくらす
はるぞすくなき
新まの
年立變る
明日より
待たるゝ物は
鶯聲
あらたまの
としたちかへる
あしたより
またるゝものは
うぐひすのこゑ
淺綠
春立つ空に
鶯の
初聲待たぬ
人は在らじな
あさみどり
はるたつそらに
うぐひすの
はつこゑまたぬ
ひとはあらじな
我宿の
かきねや春を
隔つらむ
夏來にけりと
見ゆる卯花
わがやどの
かきねやはるを
へだつらむ
なつきにけりと
みゆるうのはな
行きやらて
山ちくらしつ
ほとときす
今ひとこゑの
きかまほしさに
ゆきやらて
やまちくらしつ
ほとときす
いまひとこゑの
きかまほしさに
行遣らで
山路暮しつ
時鳥
今一聲の
聞かま欲しさに
ゆきやらで
やまぢくらしつ
ほととぎす
いまひとこゑの
きかまほしさに
一年に
一夜と思へど
七夕の
逢見む秋の
限無き哉
ひととせに
ひとよとおもへど
たなばたの
あひみむあきの
かぎりなきかな
水面に
照月並を
數ふれば
今宵ぞ秋の
最中也ける
みづのおもに
てるつきなみを
かぞふれば
こよひぞあきの
もなかなりける
水のおもに
てる月浪を
かそふれは
こよひそ秋の
もなかなりける
みつのおもに
てるつきなみを
かそふれは
こよひそあきの
もなかなりける
我宿の
菊の白露
今日每に
幾世積りて
淵と成るらむ
わがやどの
きくのしらつゆ
けふごとに
いくよつもりて
ふちとなるらむ
移ろはむ
事だに惜しき
秋萩に
折れぬ計りも
置ける露哉
うつろはむ
ことだにをしき
あきはぎに
をれぬばかりも
おけるつゆかな
數ふれば
我身に積る
年月を
送迎ふと
何急ぐらむ
かぞふれば
わがみにつもる
としつきを
おくりむかふと
なにいそぐらむ
大空に
雲居る鶴の
然しながら
思ふ心の
有氣なる哉
おほそらに
むれゐるたづの
さしながら
おもふこころの
ありげなるかな
見渡せば
松葉白き
吉野山
幾世積れる
雪にか在らむ
みわたせば
まつのはしろき
よしのやま
いくよつもれる
ゆきにかあるらむ
折りてだに
行べき物を
餘所にのみ
見てや歸らむ
井手の山吹
をりてだに
ゆくべきものを
よそにのみ
みてやかへらむ
ゐでのやまぶき
我宿の
八重山吹は
散りぬべし
花のさかりを
人の見にこぬ
わがやどの
やへやまぶきは
ちりぬべし
はなのさかりを
ひとのみにこぬ
置く霜の
染めまがはせる
菊の花
孰か本の
色にはあるらむ
おくしもの
そめまがはせる
きくのはな
いづれかもとの
いろにはあるらむ
笠取の
山を頼みし
かひもなく
時雨に袖を
ぬらしてぞ行く
かさとりの
やまをたのみし
かひもなく
しぐれにそでを
ぬらしてぞゆく
道理や
天の岩戸も
明けぬらむ
雲居のにはの
あさくらの聲
ことはりや
あめのいはとも
あけぬらむ
くもゐのにはの
あさくらのこゑ
朝ぼらけ
かすみてみゆる
よし野山
春やまのまに
越てきつらん
あさぼらけ
かすみてみゆる
よしのやま
はるやまのまに
こえてきつらん
よそにては
花のたよりと
見えながら
心の中に
心ある物を
よそにては
はなのたよりと
みえながら
こころのなかに
こころあるものを
山の端に
入なむと思ふ
月見つゝ
我はと乍ら
あらむとやする
やまのはに
いなむとおもふ
つきみつつ
われはとながら
あらむとやする
春の日も
光異にや
照すらむ
玉ぐしの葉に
かくるしらゆふ
はるのひも
ひかりことにや
てらすらむ
たまぐしのはに
かくるしらゆふ
あたらしく
明くる年をば
百年の
春の始と
うぐひすぞなく
あたらしく
あくるとしをば
ももとせの
はるのはじめと
うぐひすぞなく
御調物
はこぶふなせの
かけ橋に
駒の蹄の
おとぞたえせぬ
みつぎもの
はこぶふなせの
かけはしに
こまのひつめの
おとぞたえせぬ
君が代は
賤の門田に
かる稻の
高くら山に
みちぬべきかな
きみがよは
しづのかどたに
かるいねの
たかくらやまに
みちぬべきかな
小松原
したゆく水の
凉しきに
千年のかずを
結びつるかな
こまつはら
したゆくみづの
すずしきに
ちとせのかずを
むすびつるかな
君が代の
長き例に
長澤の
いけのあやめも
今日ぞひかるゝ
きみがよの
ながきためしに
ながさはの
いけのあやめも
けふぞひかるる
七夕の
五百機ごろも
重ねても
秋の一夜と
なにちぎりけむ
たなばたの
いほはたごろも
かさねても
あきのひとよと
なにちぎりけむ
ぬけはちる
ぬかねはみたる
あし引の
山よりおつる
たきのしら玉
ぬけはちる
ぬかねはみたる
あしひきの
やまよりおつる
たきのしらたま
心ひく
宿にくらして
梓弓
かへらむほどを
わすれぬるかな
こころひく
やどにくらして
あづさゆみ
かへらむほどを
わすれぬるかな
露とても
あだにやは見る
長月の
菊は千歳を
過すと思へば
つゆとても
あだにやはみる
ながつきの
きくはちとせを
すごすとおもへば
袖かへす
あまつ乙女も
思出や
よしのゝ宮の
昔がたりを
そでかへす
あまつをとめも
おもいでや
よしののみやの
むかしがたりを
ふたこゑと
きくとはなしに
郭公
夜深くめをも
さましつるかな
ふたこゑと
きくとはなしに
ほとときす
よふかくめをも
さましつるかな
昨日まて
よそに思ひし
あやめ草
けふわかやとの
つまと見るかな
きのふまて
よそにおもひし
あやめくさ
けふわかやとの
つまとみるかな
いつ方に
なきてゆくらむ
郭公
よとのわたりの
またよふかきに
いつかたに
なきてゆくらむ
ほとときす
よとのわたりの
またよふかきに
В чей же край
Пролетела с песней
Кукушка?
Ведь ночь глубока ещё
На переправе Ёдо.
しけること
まこものおふる
よとのには
つゆのやとりを
人そかりける
しけること
まこものおふる
よとのには
つゆのやとりを
ひとそかりける
夏山の
影をしけみや
たまほこの
道行く人も
立ちとまるらん
なつやまの
かけをしけみや
たまほこの
みちゆくひとも
たちとまるらむ
Густы тени
В летних горах,
Даже путник,
Идущий сквозь них,
Непременно устроит привал!
おほあらきの
もりのした草
しけりあひて
深くも夏の
なりにけるかな
おほあらきの
もりのしたくさ
しけりあひて
ふかくもなつの
なりにけるかな
Как травы,
Что густо разрослись
В лесу Оараки,
Так и лето
В своём разгаре.
月をだに
飽かず思ひて
寐ぬものを
時鳥さへ
鳴き渡るかな
つきをだに
あかずおもひて
ねぬものを
ほととぎすさへ
なきわたるかな
なつ山の
かけをしけみや
たまほこの
みちゆきひとも
たちとまるらん
なつやまの
かけをしけみや
たまほこの
みちゆきひとも
たちとまるらん
ゆきて見ぬ
ひともしのへと
はるの野に
かたみにつめる
わか菜なりけり
ゆきてみぬ
ひともしのへと
はるののに
かたみにつめる
わかななりけり
山さくら
よそにみるとて
すかのねの
なかきはるひを
たちくらしつる
やまさくら
よそにみるとて
すかのねの
なかきはるひを
たちくらしつる
すまのあまの
しほやくけぶり
春くれば
空に霞の
なをやたつらむ
すまのあまの
しほやくけぶり
はるくれば
そらにかすみの
なをやたつらむ
もとよりの
松をはおきて
けふはなほ
おきふし春の
いろをこそみれ
もとよりの
まつをばおきて
けふはなほ
おきふしはるの
いろをこそみれ
やまちには
ひとやまとはん
かはきりの
たちこぬさきに
いさわたりなん
やまちには
ひとやまとはん
かはきりの
たちこぬさきに
いさわたりなん
かひかねの
やまさとみれは
あしたつの
いのちをもたる
ひとそすみける
かひかねの
やまさとみれは
あしたつの
いのちをもたる
ひとそすみける
吹風に
あかすおもひて
うらなみの
かすにはきみか
としをよせけり
ふくかぜに
あかすおもひて
うらなみの
かすにはきみか
としをよせけり
きみとなほ
千とせのはるに
あふさかの
しみつはわれも
くまんとそおもふ
きみとなほ
ちとせのはるに
あふさかの
しみつはわれも
くまんとそおもふ
かめやまの
かけをうつして
ゆくみつに
こきくるふねは
いくよへぬらん
かめやまの
かけをうつして
ゆくみつに
こきくるふねは
いくよへぬらん
きみかよの
としのかすをは
しろたへの
はまのまさこと
たれかいひけん
きみかよの
としのかすをは
しろたへの
はまのまさこと
たれかいひけん
よとゝもに
ゆきかふ舟を
みることに
ほにいてゝきみを
ちとせとそおもふ
よとともに
ゆきかふふねを
みることに
ほにいててきみを
ちとせとそおもふ
たなひかぬ
ときこそなけれ
あまもなき
まつかさきより
みゆるしら雲
たなひかぬ
ときこそなけれ
あまもなき
まつかさきより
みゆるしらくも
手ことにそ
ひとはをりける
きみかため
ゆくすゑとほき
あきのゝのはき
てことにそ
ひとはをりける
きみかため
ゆくすゑとほき
あきのののはき
年ごとに
生ひ添ふ竹の
よよを経て
かはらぬ色を
たれとかは見む
としごとに
おひそふたけの
よよをへて
かはらぬいろを
たれとかはみむ
Из года в год
Прибавляется в росте
Бамбуковый ствол,
А цвет его — от века неизменен,
С кем, если не с тобой, его сравню?
としことに
おひそふたけの
よゝをへて
たえせぬ色を
たれとかはみん
としことに
おひそふたけの
よよをへて
たえせぬいろを
たれとかはみん
たなはたは
いまやわかるゝ
天の川
かは霧たちて
千とりなくなり
たなはたは
いまやわかるる
あまのかは
かはきりたちて
ちとりなくなり
かりなきて
ふくかせさむし
から衣
きみまちかてに
うたぬよそなき
かりなきて
ふくかせさむし
からころも
きみまちかてに
うたぬよそなき
やまとほき
やとならなくに
あきはきを
しからむしかの
なきもこぬかな
やまとほき
やとならなくに
あきはきを
しからむしかの
なきもこぬかな
久しくも
にほはんとてや
梅の花
はるをかねてや
さきそめにけん
ひさしくも
にほはんとてや
うめのはな
はるをかねてや
さきそめにけん
いとをのみ
たえすよりつる
靑柳の
としのをなかき
しるしとそ思ふ
いとをのみ
たえすよりつる
あをやぎの
としのをなかき
しるしとそおもふ
春立て
かせやふきとく
けふみれは
瀧のみをより
たまそちりける
はるたちて
かせやふきとく
けふみれは
たきのみをより
たまそちりける
みしひとも
こぬやとなれは
櫻花
いろもかはらす
はなそ散りける
みしひとも
こぬやとなれは
さくらばな
いろもかはらす
はなそちりける
ひともみな
我もまちこし
さくら花
ひとひとたちて
みれとあかなくに
ひともみな
われもまちこし
さくらはな
ひとひとたちて
みれとあかなくに
あひたなく
よするかはなみ
たちかへり
いのりてもなほ
あかすそありける
あひたなく
よするかはなみ
たちかへり
いのりてもなほ
あかすそありける
おほそらを
われもなかめて
ひこほしの
つまゝつよさへ
ひとりかもねん
おほそらを
われもなかめて
ひこほしの
つままつよさへ
ひとりかもねん
くれぬとは
おもふものから
ふちの花
さけるやとには
はるそひさしき
くれぬとは
おもふものから
ふちのはな
さけるやとには
はるそひさしき
しらゆきの
ふりしくときは
みよし野の
山した風に
はなそちりける
しらゆきの
ふりしくときは
みよしのの
やましたかぜに
はなそちりける
つきをたに
あかすとおもひて
ねぬものを
ほとゝきすさへ
なきわたるかな
つきをたに
あかすとおもひて
ねぬものを
ほとときすさへ
なきわたるかな
みとりなる
松にかかれる
藤なれと
おのかころとそ
花はさきける
みとりなる
まつにかかれる
ふぢなれと
おのかころとそ
はなはさきける
うめのはな
さくともしらす
みよしのゝ
やまにともまつ
ゆきのみゆらん
うめのはな
さくともしらす
みよしのの
やまにともまつ
ゆきのみゆらん
から衣
あたらしくたつ
としなれは
ひとはかくこそ
ふりまさりけれ
からころも
あたらしくたつ
としなれは
ひとはかくこそ
ふりまさりけれ
春霞
たなひくまつの
としあらは
いつれのはるか
のへにこさらん
はるかすみ
たなひくまつの
としあらは
いつれのはるか
のへにこさらん
たまほこの
みちはなほまた
とほけれと
さくらをみれは
なかゐしぬへし
たまほこの
みちはなほまた
とほけれと
さくらをみれは
なかゐしぬへし
まつのおと
ことにしらふる
やまかせは
たきのいとをや
すけてひくらん
まつのおと
ことにしらふる
やまかせは
たきのいとをや
すけてひくらん
いけみつに
さきたるふちを
かせふけは
なみのうへにたつ
なみかとそみる
いけみつに
さきたるふちを
かせふけは
なみのうへにたつ
なみかとそみる
紅葉ゝは
わかれをしみて
あき風は
けふやみむろの
やまをこゆらん
もみぢばは
わかれをしみて
あきかぜは
けふやみむろの
やまをこゆらん
やまのはを
見さらましかは
はる霞
たてるもしらて
へぬへかりけり
やまのはを
みざらましかは
はるかすみ
たてるもしらで
へぬべかりけり
みるひとも
なきあをやきの
いとなれは
吹くる風に
かつみたれつゝ
みるひとも
なきあをやぎの
いとなれば
ふきくるかぜに
かつみだれつつ
荻の葉の
そよくねとこそ
秋風の
人にしらるる
始なりけれ
をぎのはの
そよぐおとこそ
あきかぜの
ひとにしらるる
はじめなりけれ
Тихий шелест
Листьев мисканта —
Все знают:
Не иначе, чем этим
Начинается ветер осенний!
をきのはの
そよくおとこそ
あきかせの
ひとにしらるゝ
はしめなりけれ
をぎのはの
そよぐおとこそ
あきかぜの
ひとにしらるる
はじめなりけれ
あま雲の
よそのものとは
しりなから
めつらしきかな
鴈のはつ聲
あまぐもの
よそのものとは
しりながら
めづらしきかな
かりのはつごゑ
いつれをか
はなとはわかん
なか月の
ありあけのつきに
まかふしら菊
いづれをか
はなとはわかん
ながつきの
ありあけのつきに
まがふしらぎく
なかれくる
紅葉ゝみれは
から錦
たきのいとして
おれるなりけり
ながれくる
もみぢばみれば
からにしき
たきのいとして
おれるなりけり
このまより
かせにまかせて
ふるゆきを
はるくるまては
はなかとそみる
このまより
かぜにまかせて
ふるゆきを
はるくるまでは
はなかとぞみる
かつみつゝ
あかすと思ふに
さくら花
散なむのちそ
かねてこひしき
かつみつつ
あかすとおもふに
さくらばな
ちらなむのちぞ
かねてこひしき
みつにさへ
はるやくるゝと
たちかへり
いけのふち波
をりつゝそみる
みづにさへ
はるやくるると
たちかへり
いけのふぢなみ
をりつつぞみる
このかはに
はらへてなかす
ことの葉は
なみのはなにそ
たくふへらなる
このかはに
はらへてなかす
ことのはは
なみのはなにぞ
たくふべらなる
天の川
よふかくきみは
わたるとも
ひとしれすとは
おもはさらなん
あまのかは
よふかくきみは
わたるとも
ひとしれずとは
おもはざらなん
おなし枝に
はなはさけれと
あき萩の
したはにわきて
こゝろをそやる
おなじえに
はなはさけれど
あきはぎの
したばにわきて
こころをぞやる
花のいろを
久しきものと
思はねは
我はやま路を
かりにこそみれ
はなのいろを
ひさしきものと
おもはねば
われはやまぢを
かりにこそみれ
はなにのみ
見えしやまのを
ふゆくれは
さかりたになく
霜かれにけり
はなにのみ
みえしやまのを
ふゆくれば
さかりだになく
しもがれにけり
春ちかく
なりぬる冬の
おほそらは
はなをかねてそ
ゆきはふりける
はるちかく
なりぬるふゆの
おほぞらは
はなをかねてぞ
ゆきはふりける
うめのはな
また散らねとも
ゆくみつの
そこにうつれる
かけそ見えける
うめのはな
またちらねとも
ゆくみづの
そこにうつれる
かげぞみえける
ともともと
おもひ來つれと
鴈かねは
おなし里へも
かへらさりけり
ともともと
おもひきつれど
かりがねは
おなじさとへも
かへらざりけり
うつろはぬ
いろににるとも
なきものを
松かえにのみ
かゝるふち波
うつろはぬ
いろににるとも
なきものを
まつがえにのみ
かかるふぢなみ
春ふかく
なりぬるときの
野へみれは
くさのみとりも
色まさりけり
はるふかく
なりぬるときの
のべみれば
くさのみどりも
いろまさりけり
おなしいろに
ちりしまかへは
さくら花
ふりにしゆきの
かたみとそみる
おなじいろに
ちりしまがへは
さくらばな
ふりにしゆきの
かたみとぞみる
まつをのみ
ときはと思へは
よとゝもに
なかるゝ水も
みとりなりけり
まつをのみ
ときはとおもへば
よとともに
ながるるみづも
みどりなりけり
やなみれは
かは風いたく
ふくときは
なみのはなさへ
おちまさりける
やなみれは
かはかぜいたく
ふくときは
なみのはなさへ
おちまさりける
やな見れは
河風いたく
ふく時そ
浪の花さへ
おちまさりける
やなみれは
かはかせいたく
ふくときそ
なみのはなさへ
おちまさりける
雨ふると
吹まつ風は
きこゆれと
いけのみきはは
まさらさりけり
あめふると
ふくまつかぜは
きこゆれど
いけのみぎはは
まさらざりけり
雨ふると
吹く松風は
きこゆれと
池のみきはは
まさらさりけり
あめふると
ふくまつかせは
きこゆれと
いけのみきはは
まさらさりけり
はなのいろは
あまたみゆれと
ひとしれす
はきのしたはそ
なかめられける
はなのいろは
あまたみゆれど
ひとしれず
はぎのしたばぞ
ながめられける
吹風に
なひくをはなを
うちつけに
まねく袖かと
たのみける哉
ふくかぜに
なびくをばなを
うちつけに
まねくそでかと
たのみけるかな
紅葉ゝの
ぬさとも散か
秋はつる
たつたひめこそ
かへるへらなれ
もみぢばの
ぬさともちるか
あきはつる
たつたひめこそ
かへるへらなれ
いろそむる
ものならなくに
つきかけの
うつれるやとの
しらきくのはな
いろそむる
ものならなくに
つきかげの
うつれるやどの
しらぎくのはな
しろたへに
ゆきのふれゝは
こまつ原
いろのみとりも
かくろへにけり
しろたへに
ゆきのふれれは
こまつはら
いろのみとりも
かくろへにけり
うめの花
をりしまかへは
足引の
やま路のゆきの
思ほゆるかな
うめのはな
をりしまがへは
あしびきの
やまぢのゆきの
おもほゆるかな
春のいろは
またあさけれと
かねてより
みとりふかくも
そめてける哉
はるのいろは
まだあさけれど
かねてより
みどりふかくも
そめてけるかな
かせふけは
かたもさためす
ちるはなを
いつかたへゆく
はるとかはみん
かぜふけば
かたもさだめず
ちるはなを
いつかたへゆく
はるとかはみん
風ふけは
方もさためす
ちる花を
いつ方へゆく
はるとかは見む
かせふけは
かたもさためす
ちるはなを
いつかたへゆく
はるとかはみむ
ふちのはな
もとより見すは
むらさきに
さける松とそ
おとろかれまし
ふぢのはな
もとよりみずば
むらさきに
さけるまつとぞ
おどろかれまし
あやめ草
ねなかきいのち
つけはこそ
けふとしなれは
ひとのひくらめ
あやめぐさ
ねながきいのち
つけばこそ
けふとしなれば
ひとのひくらめ
おほぬさの
かはの瀨ことに
なかれても
千とせの夏は
なつはらへせん
おほぬさの
かはのせごとに
ながれても
ちとせのなつは
なつはらへせん
ちとせふと
わかきくなへに
あしたつの
なきわたるなる
こゑのはるけさ
ちとせふと
わがきくなへに
あしたづの
なきわたるなる
こゑのはるけさ
いつとても
ひとやはかくす
花すゝき
なとかあきしも
ほにはいつらん
いつとても
ひとやはかくす
はなすすき
なとかあきしも
ほにはいつらん
秋ことに
露はおけとも
菊のはな
ひとのよはひは
くれすそありける
あきごとに
つゆはおけとも
きくのはな
ひとのよはひは
くれすそありける
みちすゝに
しくれにあひぬ
いとゝしく
ほしあへぬ袖の
ぬれにける哉
みちすすに
しくれにあひぬ
いととしく
ほしあへぬそでの
ぬれにけるかな
やまゐもて
すれるころもの
なかけれは
なかくそ我は
神につかへん
やまゐもて
すれるころもの
ながけれは
ながくそわれは
かみにつかへん
春くれと
くさ木に花の
さくほとは
ふりくるゆきの
こゝろなりけり
はるくれど
くさきにはなの
さくほどは
ふりくるゆきの
こころなりけり
きのふより
をちをはしらす
もゝとせの
はるのはしめは
けふにそありける
きのふより
をちをばしらず
ももとせの
はるのはじめは
けふにぞありける
山里に
すむかひあるは
梅の花
みつゝうくひす
きくにそありける
やまざとに
すむかひあるは
うめのはな
みつつうぐひす
きくにぞありける
わすらるゝ
ときしなけれは
はるの田を
かへすかへすそ
ひとはこひしき
わすらるる
ときしなけれは
はるのたを
かへすかへすぞ
ひとはこひしき
わすらるる
時しなけれは
春の田を
返す返すそ
人はこひしき
わすらるる
ときしなけれは
はるのたを
かへすかへすそ
ひとはこひしき
足引の
山をゆきかひ
ひとしれす
思ふこゝろの
こともならなん
あしびきの
やまをゆきかひ
ひとしれす
おもふこころの
こともならなん
散花の
もとにきつゝそ
いとゝしく
春のをしさも
まさるへらなる
ちるはなの
もとにきつつぞ
いとどしく
はるのをしさも
まさるべらなる
いつれをか
しるしとおもはん
みわの山
みえとみゆるは
すきにさりける
いづれをか
しるしとおもはん
みわのやま
みえとみゆるは
すぎにさりける
いつれをか
しるしとおもはむ
みわの山
有りとしあるは
すきにそありける
いつれをか
しるしとおもはむ
みわのやま
ありとしあるは
すきにそありける
ゆくかうへに
はやくゆけ駒
神かきの
みむろのやまの
やまかつらせん
ゆくがうへに
はやくゆけこま
かみがきの
みむろのやまの
やまかつらせん
けふもまた
のちもわすれし
しろたへの
うのはなさける
やとゝみつれは
けふもまた
のちもわすれし
しろたへの
うのはなさける
やととみつれは
やま里に
たひねよにせし
ほとゝきす
聲きゝそめて
なかゐしつへし
やまざとに
たびねよにせし
ほととぎす
こゑききそめて
なかゐしつべし
時すきは
さなへもいたく
おいぬへみ
雨にも田子は
さはらさりけり
ときすぎば
さなへもいたく
おいぬへみ
あめにもたごは
さはらざりけり
なつころも
うすきかひなし
あきまては
このしたかせも
やますふかなむ
なつごろも
うすきかひなし
あきまでは
このしたかぜも
やまずふかなむ
おほ空に
あらぬものから
川かみに
ほしとそ見ゆる
かゝりひの影
おほそらに
あらぬものから
かはかみに
ほしとそみゆる
かかりひのかげ
かりほにて
日さへへにけり
あき風に
わさたかりかね
はやもなかなん
かりほにて
ひさへへにけり
あきかぜに
わさたかりかね
はやもなかなん
みるひとも
なきやとなれは
いろことに
ほかへうつろふ
花にそありける
みるひとも
なきやどなれば
いろことに
ほかへうつろふ
はなにぞありける
さをしかや
いかゝいひけむ
あきはきの
にほふときしも
つまをこふらん
さをしかや
いかかいひけむ
あきはきの
にほふときしも
つまをこふらん
ちりぬへき
やまのもみちを
あきゝりの
やすくもみせす
たちかくすらん
ちりぬへき
やまのもみちを
あききりの
やすくもみせす
たちかくすらん
ちりぬへき
山の紅葉を
秋きりの
やすくも見せす
立ちかくすらん
ちりぬへき
やまのもみちを
あききりの
やすくもみせす
たちかくすらむ
薄くこく
いろぞ見えける
菊の花
露や心を
わきて置くらむ
うすくこく
いろぞみえける
きくのはな
つゆやこころを
わきておくらむ
降雪に
いろはまかへは
うちつけに
梅をみるさへ
さむくそありける
ふるゆきに
いろはまかへは
うちつけに
うめをみるさへ
さむくそありける
なにはめの
ころもほすとて
かりてたく
あしひのけふり
たゝぬひそなき
なにはめの
ころもほすとて
かりてたく
あしひのけふり
たたぬひそなき
おちつもる
もみち葉見れは
もゝとせの
あきのとまりは
あらしなりけり
おちつもる
もみちはみれは
ももとせの
あきのとまりは
あらしなりけり
かけとのみ
たのむかひありて
つゆ霜に
色かはりせぬ
かへのやしろか
かけとのみ
たのむかひありて
つゆしもに
いろかはりせぬ
かへのやしろか
みよしのゝ
よしのゝやまは
もゝとせの
ゆきのみつもる
ところなりけり
みよしのの
よしののやまは
ももとせの
ゆきのみつもる
ところなりけり
うめのはな
おほかるさとに
うくひすの
ふゆこもりして
はるをまつらん
うめのはな
おほかるさとに
うくひすの
ふゆこもりして
はるをまつらん
さくらはな
ちらぬ松にも
ならはなん
いろことことに
見つゝ世をへん
さくらはな
ちらぬまつにも
ならはなん
いろことことに
みつつよをへん
我宿に
はるこそおほく
來にけらし
さけるさくらの
かきりなけれは
わがやどに
はるこそおほく
きにけらし
さけるさくらの
かきりなけれは
君かため
我をるはなは
はるとほく
千とせみたるを
をりつゝそさく
きみかため
わがをるはなは
はるとほく
ちとせみたるを
をりつつそさく
いとゝさへ
みえてなかるゝ
瀧なれは
たゆへくもあらす
ぬけるしら玉
いととさへ
みえてなかるる
たきなれは
たゆへくもあらす
ぬけるしらたま
かすかのの
わかなもきみを
いのらなん
たかためにつむ
はるならなくに
かすかのの
わかなもきみを
いのらなん
たかためにつむ
はるならなくに
松のねに
いつるいつみの
水なれは
おなしきものを
たえしとそ思ふ
まつのねに
いつるいつみの
みづなれは
おなしきものを
たえしとそおもふ
松のねに
いつる泉の
水なれは
おなしき物を
たえしとそ思ふ
まつのねに
いつるいつみの
みつなれは
おなしきものを
たえしとそおもふ
いはひつゝ
うゑたるやとの
花なれは
おもふかことの
いろこかりけり
いはひつつ
うゑたるやとの
はななれは
おもふかことの
いろこかりけり
かきりなく
我おもふひとの
ゆくのへは
いろや千くさに
はなそさきける
かきりなく
われおもふひとの
ゆくのへは
いろやちくさに
はなそさきける
さを鹿の
尾上にさける
秋はきを
しからみへぬる
としそしられぬ
さをしかの
おのえにさける
あきはきを
しからみへぬる
としそしられぬ
きくのはな
うゑたるやとの
あやしきは
老てふことを
しらぬなりけり
きくのはな
うゑたるやとの
あやしきは
おいてふことを
しらぬなりけり
さゝら波
よするところに
すむつるは
君かへん世の
しるへなるらん
ささらなみ
よするところに
すむつるは
きみかへんよの
しるへなるらん
散るかうへに
ちりしつもれは
紅葉ゝを
ひろふ數こそ
しられさりけれ
ちるかうへに
ちりしつもれは
もみぢばを
ひろふかずこそ
しられさりけれ
あしひきの
山のさかみつ
ときはなる
かけにさかゆる
かみのきねかも
あしひきの
やまのさかみつ
ときはなる
かけにさかゆる
かみのきねかも
あしひきの
山のさかきは
ときはなる
かけにさかゆる
神のきねかな
あしひきの
やまのさかきは
ときはなる
かけにさかゆる
かみのきねかな
春たゝむ
すなはちことに
君かため
千とせつむへき
わか菜なりけり
はるたたむ
すなはちことに
きみかため
ちとせつむへき
わかななりけり
若菜生ふる
野辺といふ野辺を
君がため
よろづ代しめて
摘まむとぞ思ふ
わかなおふる
のべといふのべを
きみがため
よろづよしめて
つまむとぞおもふ
Ради тебя, наш государь,
Огородили это поле,
Чтоб вечно собирать здесь
Для тебя
Побеги молодые!
わかなおふる
のへといふのへを
きみかため
よろつ代しめて
つまむと思ふ
わかなおふる
のへといふのへを
きみかため
よろつよしめて
つまむとおもふ
松風の
ふかむ限は
うちはへて
たゆへくもあらす
さけるふちなみ
まつかせの
ふかむかきりは
うちはへて
たゆへくもあらす
さけるふちなみ
まつ風の
ふかんかきりは
うちはへて
たゆへくもあらす
さける藤波
まつかぜの
ふかんかきりは
うちはへて
たゆへくもあらす
さけるふぢなみ
いたつらに
おいにけるかな
髙砂の
まつやわか世の
はてをかたらん
いたつらに
おいにけるかな
たかさごの
まつやわかよの
はてをかたらん
ぬは玉の
我くろかみも
としふれは
たきのいとゝそ
なりぬへらなる
ぬはたまの
わがくろかみも
としふれは
たきのいととそ
なりぬへらなる
春霞
立よらねはや
みよしのゝ
山にいまさへ
ゆきのふるらん
はるかすみ
たちよらねはや
みよしのの
やまにいまさへ
ゆきのふるらん
いつしかも
こえてんと思ふ
足引の
山になくなる
よふこ鳥哉
いつしかも
こえてんとおもふ
あしびきの
やまになくなる
よふことりかな
あしひきの
やましたゝき
ついは波の
こゝろくたけて
ひとそ戀しき
あしひきの
やましたたきつ
いはなみの
こころくたけて
ひとそこひしき
鶯の
花ふみしたく
木のしたは
いたく雪ふる
春へなりけり
うぐひすの
はなふみしたく
このしたは
いたくゆきふる
はるへなりけり
浦ことに
さきいつる波の
はなみれは
うみには春も
暮ぬなりけり
うらことに
さきいつるなみの
はなみれは
うみにははるも
くれぬなりけり
梅の馨の
かきりなけれは
をるひとの
てにもそてにも
しみにけるかな
うめのかの
かきりなけれは
をるひとの
てにもそてにも
しみにけるかな
とふひとも
なき宿なれと
くる春は
やへむくらにも
さはらさりけり
とふひとも
なきやどなれと
くるはるは
やへむくらにも
さはらさりけり
雪宿る
しら雲たにも
かよはすは
このやま里は
すみうからまし
ゆきやどる
しらくもたにも
かよはすは
このやまさとは
すみうからまし
玉もかる
あまのゆきかひ
さすさをの
なかくやひとを
うらみわたらん
たまもかる
あまのゆきかひ
さすさをの
なかくやひとを
うらみわたらん
玉もかる
あまのゆき方
さすさをの
長くや人を
怨渡らん
たまもかる
あまのゆきかた
さすさをの
なかくやひとを
うらみわたらむ
この宿の
ひとにもあはて
あさかほの
花をのみ見て
我やかへらん
このやどの
ひとにもあはて
あさかほの
はなをのみみて
われやかへらん
うつろふを
いとふと思ひて
常磐なる
山には秋も
こえすそありける
うつろふを
いとふとおもひて
ときはなる
やまにはあきも
こえすそありける
とし月の
かはるもしらて
我宿の
ときはの松の
いろをこそみれ
としつきの
かはるもしらて
わがやどの
ときはのまつの
いろをこそみれ
久かたの
つき影みれは
難波かた
しほもたかくそ
なりぬへらなる
ひさかたの
つきかげみれは
なにはかた
しほもたかくそ
なりぬへらなる
つなてとき
いまはと舟を
こきいては
我はなみ路を
こえやわたらん
つなてとき
いまはとふねを
こきいては
われはなみぢを
こえやわたらん
山たかみ
こすゑをわけて
なかれ出る
瀧にたくひて
おつる紅葉ゝ
やまたかみ
こすゑをわけて
なかれいづる
たきにたくひて
おつるもみぢば
さゝの葉の
さえつるなへに
足引の
山にはゆきそ
ふりまさりける
ささのはの
さえつるなへに
あしびきの
やまにはゆきそ
ふりまさりける
山高み
梢をさして
流れ來る
瀧にたぐへて
落つるもみぢ葉
やまたかみ
こずゑをさして
ながれくる
たきにたぐへて
おつるもみぢは
きみまさは
さむさもしらし
みよしのゝ
よしのゝやまに
ゆきはふるとも
きみまさは
さむさもしらし
みよしのの
よしののやまに
ゆきはふるとも
わかやとに
ありとみなから
うめのはな
あはれとおもふに
あくこともなし
わかやとに
ありとみなから
うめのはな
あはれとおもふに
あくこともなし
野へなるを
ひともなしとて
わかやとに
みねのしら雲
おりやゐるらん
のへなるを
ひともなしとて
わかやとに
みねのしらくも
おりやゐるらん
ふる里を
けふきてみれは
あたなれと
花の色のみ
むかしなりけり
ふるさとを
けふきてみれは
あたなれと
はなのいろのみ
むかしなりけり
藤のはな
あたにちりなは
ときはなる
まつにたくへる
かひやなからん
ふぢのはな
あたにちりなは
ときはなる
まつにたくへる
かひやなからん
藤の花
あだに散りなば
常磐なる
松に懸れる
かひや無からむ
ふぢのはな
あだにちりなば
ときはなる
まつにかけれる
かひやなからむ
散りぬとも
あたにしも見し
ふちのはな
ゆくさきとほく
まつにさけれは
ちりぬとも
あたにしもみし
ふちのはな
ゆくさきとほく
まつにさけれは
いにしへの
ことならすして
三輪のやま
こゆるしるしは
すきにそありける
いにしへの
ことならすして
みはのやま
こゆるしるしは
すきにそありける
あやめ草
ねなかきとれは
さは水の
ふかきこゝろは
しりぬへらなり
あやめくさ
ねなかきとれは
さはみづの
ふかきこころは
しりぬへらなり
ほとゝきす
こゑきゝしより
あやめくさ
かさすさつきと
しりにしものを
ほとときす
こゑききしより
あやめくさ
かさすさつきと
しりにしものを
なくさめて
ひといたにねん
つき影に
山ほとゝきす
なきてゆかなん
なくさめて
ひといたにねん
つきかげに
やまほとときす
なきてゆかなん
よをうみて
わかゝす絲は
たなはたの
なみたの玉の
をとやなるらん
よをうみて
わかかすいとは
たなはたの
なみたのたまの
をとやなるらん
まことかと
みれともみえぬ
たなはたは
そらになき名を
たてるなるへし
まことかと
みれともみえぬ
たなはたは
そらになきなを
たてるなるへし
なにはかた
しほみちくれは
やまのはに
いつるつきさへ
みちにけるかな
なにはかた
しほみちくれは
やまのはに
いつるつきさへ
みちにけるかな
むれゐつゝ
かはへのたつも
君かため
我おもふことを
思ふへらなり
むれゐつつ
かはへのたつも
きみかため
わがおもふことを
おもふへらなり
とめきつゝ
なかすもあるかな
我やとの
はきはしかにも
しられさりけり
とめきつつ
なかすもあるかな
わがやとの
はきはしかにも
しられさりけり
おく霜の
そめまかはせる
きくの花
いつれをもとの
色とかはみん
おくしもの
そめまかはせる
きくのはな
いつれをもとの
いろとかはみん
ひねもすに
こえもやられす
あしひきの
やまのもみちを
みつゝまとへは
ひねもすに
こえもやられす
あしひきの
やまのもみちを
みつつまとへは
もみちはの
なかるゝときは
たつた川
みなとよりこそ
秋はゆくらめ
もみちはの
なかるるときは
たつたかは
みなとよりこそ
あきはゆくらめ
竹をしも
おほくうゑたる
宿なれは
千とせをほかの
ものとやはみる
たけをしも
おほくうゑたる
やどなれは
ちとせをほかの
ものとやはみる
おほつかな
いまとしなれは
おほあらきの
もりのした草
ひともかりけり
おほつかな
いまとしなれは
おほあらきの
もりのしたくさ
ひともかりけり
しもかれに
なりにし野へと
しらねはや
かひなくひとの
かりにきつらん
しもかれに
なりにしのへと
しらねはや
かひなくひとの
かりにきつらん
かみまつる
ときにしなれは
さかき葉の
ときはのかけは
かはらさりけり
かみまつる
ときにしなれは
さかきはの
ときはのかけは
かはらさりけり
雪のみや
ふりぬとは思ふ
山さとに
我もおほくそ
としはへにける
ゆきのみや
ふりぬとはおもふ
やまさとに
われもおほくそ
としはへにける
あれひきに
ひきつれてこそ
千はやふる
かものかは波
うちわたりけれ
あれひきに
ひきつれてこそ
ちはやふる
かものかはなみ
うちわたりけれ
ほとゝきす
なくなる聲を
さなへとる
てまうちおきて
あはれとそきく
ほとときす
なくなるこゑを
さなへとる
てまうちおきて
あはれとそきく
たきつせの
ものにそありける
しら玉は
くるたひことに
みぬときそなき
たきつせの
ものにそありける
しらたまは
くるたひことに
みぬときそなき
よにかくれ
きつるかひなく
紅葉ゝも
つきにあかくそ
てりまさりける
よにかくれ
きつるかひなく
もみぢばも
つきにあかくそ
てりまさりける
はるかすみ
たちぬるときの
けふみれは
やとのうめさへ
めつらしき哉
はるかすみ
たちぬるときの
けふみれは
やとのうめさへ
めつらしきかな
我宿に
さけるうめなれと
としことに
ことしあきぬと
おもほえぬかな
わがやどに
さけるうめなれと
としことに
ことしあきぬと
おもほえぬかな
のへなるを
ひとやみるとて
わかなつむ
われをかすみの
たちかくすらん
のへなるを
ひとやみるとて
わかなつむ
われをかすみの
たちかくすらん
あめとのみ
風吹松は
きこゆれと
こゑにはひとも
ぬれすそありける
あめとのみ
かぜふくまつは
きこゆれと
こゑにはひとも
ぬれすそありける
やまふかき
やとにしあれは
としことに
花のこゝろは
あさくそありける
やまふかき
やとにしあれは
としことに
はなのこころは
あさくそありける
いたるまに
ちりもそはつる
いかにして
はなのこゝろに
ゆくとしられん
いたるまに
ちりもそはつる
いかにして
はなのこころに
ゆくとしられん
ゆかりとも
きこえぬものを
山吹の
かはつかこゑに
にほひける哉
ゆかりとも
きこえぬものを
やまぶきの
かはつかこゑに
にほひけるかな
ゆくつき日
おもほえねとも
藤の花
見れはくれぬる
はるそしらるゝ
ゆくつきひ
おもほえねとも
ふぢのはな
みれはくれぬる
はるそしらるる
さつきくる
みちもしらねと
ほとゝきす
なく聲のみそ
しるへなりける
さつきくる
みちもしらねと
ほとときす
なくこゑのみそ
しるへなりける
ひとゝせを
まちつることも
あるものを
けふのくるるそ
久しかりける
ひととせを
まちつることも
あるものを
けふのくるるそ
ひさしかりける
ふりしける
ゆきかとみゆる
つきなれと
ぬれてさえたる
ころもてそなき
ふりしける
ゆきかとみゆる
つきなれと
ぬれてさえたる
ころもてそなき
てる月を
ひるかとみれは
あかつきに
はねかくしきも
あらしとそ思ふ
てるつきを
ひるかとみれは
あかつきに
はねかくしきも
あらしとそおもふ
うゑし袖
またもひなくに
秋の田を
鴈かねさへそ
鳴わたるなる
うゑしそで
またもひなくに
あきのたを
かりかねさへそ
なきわたるなる
植し袖
まだも干なくに
秋の田の
雁がねさへぞ
鳴渡りける
うえしそで
まだもひなくに
あきのたの
かりがねさへぞ
なきわたりける
もみちはは
てりてみゆれと
あしひきの
やまはくもりて
しくれこそふれ
もみちはは
てりてみゆれと
あしひきの
やまはくもりて
しくれこそふれ
紅葉ゝの
なかるゝときは
しらなみの
たちにしなこそ
かはるへらなれ
もみぢばの
なかるるときは
しらなみの
たちにしなこそ
かはるへらなれ
もみぢ葉の
流るゝ時は
白浪の
たちにし名こそ
變るべらなれ
もみぢはの
ながるるときは
しらなみの
たちにしなこそ
かはるべらなれ
しらゆきに
ふりかくされて
うめのはな
ひとしれすこそ
にほふへらなれ
しらゆきに
ふりかくされて
うめのはな
ひとしれすこそ
にほふへらなれ
ひとゝせに
ふたゝひにほふ
うめのはな
春のこゝろに
あかぬなるへし
ひととせに
ふたたひにほふ
うめのはな
はるのこころに
あかぬなるへし
櫻より
まさる花なき
春なれは
あたらしさをは
ものとやはみる
さくらより
まさるはななき
はるなれは
あたらしさをは
ものとやはみる
藤の花
さきぬるをみて
ほとゝきす
またなかぬから
またるへらなり
ふぢのはな
さきぬるをみて
ほとときす
またなかぬから
またるへらなり
足引の
やまもとしけき
なつ草の
ふかくもきみを
思ふころ哉
あしびきの
やまもとしけき
なつくさの
ふかくもきみを
おもふころかな
とこなつの
花をしみれは
うちはへて
すくすつき日の
かすもしられす
とこなつの
はなをしみれは
うちはへて
すくすつきひの
かすもしられす
こふるもの
なくてみるへく
我宿の
萩のもとにも
鹿はなかなん
こふるもの
なくてみるへく
わがやどの
はぎのもとにも
しかはなかなん
かりにのみ
ひとのみゆれは
をみなへし
はなのたもとそ
つゆけかりける
かりにのみ
ひとのみゆれは
をみなへし
はなのたもとそ
つゆけかりける
こゝろとて
ちらむたにこそ
をしからめ
なとか紅葉に
風のふくらん
こころとて
ちらむたにこそ
をしからめ
なとかもみぢに
かぜのふくらん
もみちする
くさ木にもにぬ
竹のみそ
かはらぬものゝ
ためしなりける
もみちする
くさきにもにぬ
たけのみそ
かはらぬものの
ためしなりける
わかなつむ
はるのたよりに
としふれは
おいつむみこそ
わひしかりけれ
わかなつむ
はるのたよりに
としふれは
おいつむみこそ
わひしかりけれ
久しさを
ねかふみなれは
春霞
たなひく松を
いかてとそみる
ひさしさを
ねかふみなれは
はるかすみ
たなひくまつを
いかてとそみる
春每に
たえせぬものは
あをやきの
かせにみたるゝ
いとにそありける
はるごとに
たえせぬものは
あをやきの
かせにみたるる
いとにそありける
いまゝてに
のこれるきしの
ふち波は
はるのみなとの
とまりなりけり
いままてに
のこれるきしの
ふちなみは
はるのみなとの
とまりなりけり
女郎花
にほひを袖に
うつしては
あやなくわれを
ひとやとかめん
をみなへし
にほひをそでに
うつしては
あやなくわれを
ひとやとかめん
行水の
こゝろはきよき
ものなれと
まことゝ思はぬ
つきそみえける
ゆくみづの
こころはきよき
ものなれと
まこととおもはぬ
つきそみえける
ひとえたの
菊をるほとに
あらたまの
千とせをたゝに
へぬへかりけり
ひとえたの
きくをるほとに
あらたまの
ちとせをたたに
へぬへかりけり
足引の
山のかひより
なにとてか
しひゆくひとを
たちかくすらん
あしびきの
やまのかひより
なにとてか
しひゆくひとを
たちかくすらん
ちることも
いろさへともに
紅葉ゝは
もゝとせふれと
かひなかりけり
ちることも
いろさへともに
もみぢばは
ももとせふれと
かひなかりけり
おほ空は
かひもなけれと
たなはたを
思ひやりても
なかめつるかな
おほそらは
かひもなけれと
たなはたを
おもひやりても
なかめつるかな
みやこまて
なつけてひくは
小笠原
へみのみまきの
駒にそありける
みやこまて
なつけてひくは
をかさはら
へみのみまきの
こまにそありける
たちぬとは
はるはきけとも
やまさとは
まちとほにこそ
はなはさきけれ
たちぬとは
はるはきけとも
やまさとは
まちとほにこそ
はなはさきけれ
ふたつこぬ
はるとおもへと
かけみれは
みなそこにさへ
はなそちりける
ふたつこぬ
はるとおもへと
かけみれは
みなそこにさへ
はなそちりける
うくひすの
來ゐつゝなけは
はるさめに
このめさへこそ
ぬれて見えけれ
うくひすの
きゐつつなけは
はるさめに
このめさへこそ
ぬれてみえけれ
かはへなる
はなをしをれは
みなそこの
かけもともしく
なりぬへらなり
かはへなる
はなをしをれは
みなそこの
かけもともしく
なりぬへらなり
さくらはな
千とせみるとも
うくひすも
われもあくとき
あらしとそ思ふ
さくらはな
ちとせみるとも
うくひすも
われもあくとき
あらしとそおもふ
ちりかたの
はなみるときは
ふゆならぬ
わかころも手に
ゆきそふりける
ちりかたの
はなみるときは
ふゆならぬ
わかころもてに
ゆきそふりける
はるのため
あたしこゝろの
たれなれは
松か枝にしも
かゝるふち波
はるのため
あたしこころの
たれなれは
まつかえにしも
かかるふちなみ
つき影に
みちまとはして
我やとに
久しくみえぬ
ひともみえなん
つきかげに
みちまとはして
わがやとに
ひさしくみえぬ
ひともみえなん
千早振
神たちませよ
君かため
つむかすかのゝ
わかななりけり
ちはやふる
かみたちませよ
きみかため
つむかすかのの
わかななりけり
白雲の
たなひきわたる
あしひきの
やまのたなはし
我もわたらん
しらくもの
たなひきわたる
あしひきの
やまのたなはし
われもわたらん
くれなゐの
しくれなれはや
いそのかみ
ふるたひことに
野へのそむらん
くれなゐの
しくれなれはや
いそのかみ
ふるたひことに
のへのそむらん
こぬひとを
つきになさはや
ぬは玉の
夜ことに我は
かけをたにみん
こぬひとを
つきになさはや
ぬはたまの
よことにわれは
かけをたにみん
あめふらむ
夜そおもほゆる
ひさかたの
つきにたに來ぬ
ひとのこゝろを
あめふらむ
よそおもほゆる
ひさかたの
つきにたにこぬ
ひとのこころを
やま里に
つくれる宿は
ちかけれと
雲ゐとのみそ
なりぬへらなる
やまさとに
つくれるやどは
ちかけれと
くもゐとのみそ
なりぬへらなる
おく霜の
こゝろやわける
きくのはな
うつろふいろの
おのかしゝなる
おくしもの
こころやわける
きくのはな
うつろふいろの
おのかしゝなる
たきつ瀨も
うきことあれや
わかそての
なみたににつゝ
おつるしら玉
たきつせも
うきことあれや
わかそての
なみたににつつ
おつるしらたま
よとゝもに
とりのあみはる
やとなれは
みはかゝらむと
くるひともなし
よとともに
とりのあみはる
やとなれは
みはかからむと
くるひともなし
空にのみ
見れともあかぬ
つき影の
みなそこにさへ
またもあるかな
そらにのみ
みれともあかぬ
つきかげの
みなそこにさへ
またもあるかな
うきてゆく
もみちのいろの
こきからに
かはさへふかく
みえわたる哉
うきてゆく
もみちのいろの
こきからに
かはさへふかく
みえわたるかな
雪ふれは
うときものなく
草も木も
ひとつゆかりに
なりぬへらなり
ゆきふれは
うときものなく
くさもきも
ひとつゆかりに
なりぬへらなり
いかてひと
名つけそめけん
降雪は
花とのみこそ
散りまかひけれ
いかてひと
なつけそめけん
ふるゆきは
はなとのみこそ
ちりまかひけれ
みえねとも
わすれしものを
うめのはな
けさはゆきのみ
ふりかゝりつゝ
みえねとも
わすれしものを
うめのはな
けさはゆきのみ
ふりかかりつつ
ゆくすゑも
しつかに見へき
はななれと
えしもみすきぬ
さくらなりけり
ゆくすゑも
しつかにみへき
はななれと
えしもみすきぬ
さくらなりけり
ほとゝきす
きつゝこたかく
鳴聲は
千よのさつきの
しるへなりけり
ほとときす
きつつこたかく
なくこゑは
ちよのさつきの
しるへなりけり
けふまてに
我を思へは
きくのうへの
つゆはちとせの
玉にさりける
けふまてに
われをおもへは
きくのうへの
つゆはちとせの
たまにさりける
しらゆきは
ふりかくせとも
ちよまてに
たけのみとりは
かはらさりけり
しらゆきは
ふりかくせとも
ちよまてに
たけのみとりは
かはらさりけり
しらゆきは
ふりかくせとも
ちよまてに
竹のみとりは
かはらさりけり
しらゆきは
ふりかくせとも
ちよまてに
たけのみとりは
かはらさりけり
よそにては
花のたよりと
みえなから
こゝろのうちに
こゝろあるものを
よそにては
はなのたよりと
みえなから
こころのうちに
こころあるものを
このまつの
なをまねはれは
玉ほこの
みちわかるとも
われはたのまん
このまつの
なをまねはれは
たまほこの
みちわかるとも
われはたのまん
ふるさとに
さけるものから
さくらはな
いろはすこしも
あれすそありける
ふるさとに
さけるものから
さくらはな
いろはすこしも
あれすそありける
故郷に
咲ける物から
櫻花
色はすこしも
あせずぞありける
ふるさとに
さけるものから
さくらばな
いろはすこしも
あせずぞありける
まつかえに
さきてかゝれる
ふちなみを
いまはまつやま
こすかとそみる
まつかえに
さきてかかれる
ふちなみを
いまはまつやま
こすかとそみる
うちむれて
こゝろさしつゝ
ゆくみちの
おもふおもひを
かみやしるらん
うちむれて
こころさしつつ
ゆくみちの
おもふおもひを
かみやしるらん
いへちには
いつかゆかんと
おもひしを
日ころしふれは
ちかつきにけり
いへちには
いつかゆかんと
おもひしを
ひころしふれは
ちかつきにけり
やまのはに
いりなむとおもふ
つきみつゝ
われはとなから
あらんとやする
やまのはに
いりなむとおもふ
つきみつつ
われはとなから
あらんとやする
久かたの
つきのたよりに
くるひとは
いたらぬところ
あらしとそおもふ
ひさかたの
つきのたよりに
くるひとは
いたらぬところ
あらしとそおもふ
久堅の
月のたよりに
來る人は
いたらぬ所
あらじとぞ思ふ
ひさかたの
つきのたよりに
くるひとは
いたらぬところ
あらじとぞおもふ
ふたゝひや
もみちはゝちる
けふみれは
あしろにこそは
おちはてにけれ
ふたたひや
もみちははちる
けふみれは
あしろにこそは
おちはてにけれ
おなしいろの
松とたけとは
たらちねの
おやこひさしき
ためしなりけり
おなしいろの
まつとたけとは
たらちねの
おやこひさしき
ためしなりけり
つるのおほく
よをへてみゆる
濱へこそ
千とせつもれる
ところなりけれ
つるのおほく
よをへてみゆる
はまへこそ
ちとせつもれる
ところなりけれ
春霞
立ましりつゝ
いなり山
こゆるおもひの
ひとしれぬかな
はるかすみ
たちましりつつ
いなりやま
こゆるおもひの
ひとしれぬかな
さかき葉の
いろかはりせぬ
もゝとせの
けふことにこそ
まつりまつらめ
さかきはの
いろかはりせぬ
ももとせの
けふことにこそ
まつりまつらめ
ゆふたすき
かけてもひとを
おもはねと
うつきもけふも
またあかぬ哉
ゆふたすき
かけてもひとを
おもはねと
うつきもけふも
またあかぬかな
おもひかね
いもかりゆけは
ふゆのよの
かはかせさむみ
千とりなくなり
おもひかね
いもかりゆけは
ふゆのよの
かはかせさむみ
ちとりなくなり
かはらすも
見ゆるまつかな
うへしこそ
ひさしきことの
ためしなりけれ
かはらすも
みゆるまつかな
うへしこそ
ひさしきことの
ためしなりけれ
なこりをは
まつにかけつゝ
もゝとせの
春のみなとに
さける藤波
なこりをは
まつにかけつつ
ももとせの
はるのみなとに
さけるふぢなみ
くさも木も
しけきやまへは
くるひとの
たちよるかけの
たよりなりけり
くさもきも
しけきやまへは
くるひとの
たちよるかけの
たよりなりけり
としことに
きつゝこゑする
ほとゝきす
はなたちはなや
つまとなるらん
としことに
きつつこゑする
ほとときす
はなたちはなや
つまとなるらん
しらくもの
なかるゝとのみ
見えつるは
おちくるたきの
つねにそありける
しらくもの
なかるるとのみ
みえつるは
おちくるたきの
つねにそありける
あきののゝ
千くさのはなは
をみなへし
ましりておれる
にしきなりけり
あきののの
ちくさのはなは
をみなへし
ましりておれる
にしきなりけり
くさもきも
みなもみちすれと
もてるつきの
やまのはゝよに
かはらさりけり
くさもきも
みなもみちすれと
もてるつきの
やまのははよに
かはらさりけり
きくのはな
ひちてなかるゝ
みつにさへ
なみのしわなき
やとにさりける
きくのはな
ひちてなかるる
みつにさへ
なみのしわなき
やとにさりける
千よもたる
たけのおひたる
やとなれは
ちくさの花は
ものならなくに
ちよもたる
たけのおひたる
やとなれは
ちくさのはなは
ものならなくに
としたては
花うゝへくも
あらなくに
はるいまさらに
ゆきのふるらん
としたては
はなううへくも
あらなくに
はるいまさらに
ゆきのふるらん
くれぬとて
なかすなりぬる
うくひすの
こゑのうちにや
はるのへぬらん
くれぬとて
なかすなりぬる
うくひすの
こゑのうちにや
はるのへぬらん
あきはきに
みたるゝ玉は
なくしかの
こゑよりおつる
なみたなりけり
あきはきに
みたるるたまは
なくしかの
こゑよりおつる
なみたなりけり
のへみれは
わかなつみけり
うへしこそ
かきねのくさも
はるめきにけれ
のへみれは
わかなつみけり
うへしこそ
かきねのくさも
はるめきにけれ
春立て
ねのひになれは
うちむれて
いつれのひとか
のへにこさらん
はるたてて
ねのひになれは
うちむれて
いつれのひとか
のへにこさらん
ゆきとのみ
あやしまれしを
うめのはな
くれなゐにさへ
かよひけるかな
ゆきとのみ
あやしまれしを
うめのはな
くれなゐにさへ
かよひけるかな
こと里も
みなはるなれと
我宿の
さくらにまさる
はなやなからん
ことさとも
みなはるなれと
わがやどの
さくらにまさる
はなやなからん
我身また
あらしとおもへと
みなそこに
おほつかなきは
かけにやはあらぬ
わがみまた
あらしとおもへと
みなそこに
おほつかなきは
かけにやはあらぬ
我來れは
はたおるむしの
あるなへに
からにしきにも
見ゆるのへ哉
われくれは
はたおるむしの
あるなへに
からにしきにも
みゆるのへかな
やまちかき
ところならすは
ゆくみつも
もみちせりとそ
おとろかれまし
やまちかき
ところならすは
ゆくみつも
もみちせりとそ
おとろかれまし
いてゝとふ
ひとのなきかな
はなすゝき
われをはかると
まねくなりけり
いててとふ
ひとのなきかな
はなすすき
われをはかると
まねくなりけり
うゑてみる
きくといふきくは
千よまてに
ひとのすくへき
しるしなりけり
うゑてみる
きくといふきくは
ちよまてに
ひとのすくへき
しるしなりけり
足ひきの
やまあゐにすれる
ころもをは
神につかふる
しるしとそみる
あしひきの
やまあゐにすれる
ころもをは
かみにつかふる
しるしとそみる
あしひきの
山ゐにすれる
衣をは
神につかふる
しるしとそ思ふ
あしひきの
やまゐにすれる
ころもをは
かみにつかふる
しるしとそおもふ
くさきにも
花さきにけり
降雪や
はるたつさきに
はなとなるらん
くさきにも
はなさきにけり
ふるゆきや
はるたつさきに
はなとなるらん
くれなゐに
いろをはかへて
うめのはな
かそことことに
にほはさりける
くれなゐに
いろをはかへて
うめのはな
かそことことに
にほはさりける
あをやきの
まゆにこもれる
いとなれと
はるのくるにや
いろまさるらん
あをやきの
まゆにこもれる
いとなれと
はるのくるにや
いろまさるらん
はなのいろは
ちらぬまはかり
ふるさとに
つねにもまつの
みとりなりけり
はなのいろは
ちらぬまはかり
ふるさとに
つねにもまつの
みとりなりけり
またしらぬ
ところまてかく
きてみれは
さくらはかりの
はなゝかりけり
またしらぬ
ところまてかく
きてみれは
さくらはかりの
はななかりけり
ふくかせに
さきてはちれと
うくひすの
こえぬはなみの
はなにそありける
ふくかせに
さきてはちれと
うくひすの
こえぬはなみの
はなにそありける
あはとみる
みちたにあるを
春霞
かすめるかたの
はるかなるかな
あはとみる
みちたにあるを
はるかすみ
かすめるかたの
はるかなるかな
ほとゝきす
なくへきときは
ふちのはな
さけるをみれは
ちかつきにけり
ほとときす
なくへきときは
ふちのはな
さけるをみれは
ちかつきにけり
かはるとき
なきやとなれは
はなといへと
とこなつをのみ
うゑてこそみれ
かはるとき
なきやとなれは
はなといへと
とこなつをのみ
うゑてこそみれ
ゆくさきは
ありもあらすも
ほとゝきす
なくこゝにてを
きゝてくらさん
ゆくさきは
ありもあらすも
ほとときす
なくここにてを
ききてくらさん
まちつけて
もろともにこそ
かへるさの
なみよりさきに
ひとのたつらん
まちつけて
もろともにこそ
かへるさの
なみよりさきに
ひとのたつらん
いつもきく
かせをはきけと
をきのはの
そよくおとにそ
あきはきにける
いつもきく
かせをはきけと
をきのはの
そよくおとにそ
あきはきにける
いつもふく
風とはきけど
荻の葉の
そよぐ音にぞ
秋はきにける
いつもふく
かぜとはきけど
をぎのはの
そよぐおとにぞ
あきはきにける
おもふこと
ありとはなしに
ひさかたの
つきよとなれは
いこそねられね
おもふこと
ありとはなしに
ひさかたの
つきよとなれは
いこそねられね
思ふ事有
りとはなしに
久方の
月よとなれは
ねられさりけり
おもふこと
ありとはなしに
ひさかたの
つきよとなれは
ねられさりけり
ことつても
とふへきものを
はつかりの
きこゆるこゑは
はるかなりけり
ことつても
とふへきものを
はつかりの
きこゆるこゑは
はるかなりけり
もゝくさの
はなはみゆれと
をみなへし
さけるかなかに
をりくらしてん
ももくさの
はなはみゆれと
をみなへし
さけるかなかに
をりくらしてん
なくしかは
つまそこふらし
くさまくら
ゆくたひことに
こゑなきかせそ
なくしかは
つまそこふらし
くさまくら
ゆくたひことに
こゑなきかせそ
をゝよりて
ぬくよしもかな
あさことに
きくのうへなる
つゆのしら玉
ををよりて
ぬくよしもかな
あさことに
きくのうへなる
つゆのしらたま
しくれふる
かみなつきこそ
ちかゝらし
やまのおしなへ
いろつきにけり
しくれふる
かみなつきこそ
ちかからし
やまのおしなへ
いろつきにけり
あめなれと
しくれといへは
くれなゐに
このはのしみて
ちらぬひはなし
あめなれと
しくれといへは
くれなゐに
このはのしみて
ちらぬひはなし
ふるときは
なほあめなれと
かみなつき
しくれそやまの
いろはそめける
ふるときは
なほあめなれと
かみなつき
しくれそやまの
いろはそめける
むれてをる
あしへのたつを
わすれつゝ
みつにもきえぬ
ゆきかとそみる
むれてをる
あしへのたつを
わすれつつ
みつにもきえぬ
ゆきかとそみる
はなとみる
ゆきのいましも
ふりつらん
はるちかくなる
としのつねかも
はなとみる
ゆきのいましも
ふりつらん
はるちかくなる
としのつねかも
おいらくも
われはなけかし
千よまての
としこんことに
かくてたのまん
おいらくも
われはなけかし
ちよまての
としこんことに
かくてたのまん
いかきにも
いたらぬとりの
いなり山
こゆるおもひは
神そしるらん
いかきにも
いたらぬとりの
いなりやま
こゆるおもひは
かみそしるらん
うちむれて
こえゆくひとの
おもひをは
神にしまさは
しりもしぬらん
うちむれて
こえゆくひとの
おもひをは
かみにしまさは
しりもしぬらん
まつもみな
つるもちとせの
よをふれは
春てふはるの
はなをこそみめ
まつもみな
つるもちとせの
よをふれは
はるてふはるの
はなをこそみめ
ゆふたすき
かけたるけふの
たよりには
ひとにこゝろを
かけつゝそおもふ
ゆふたすき
かけたるけふの
たよりには
ひとにこころを
かけつつそおもふ
さつきてふ
さつきにあへる
あやめくさ
うへもねなかく
おひそめにけり
さつきてふ
さつきにあへる
あやめくさ
うへもねなかく
おひそめにけり
みそきつゝ
おもふこゝろは
このかはの
そこのふかさに
かよふへらなり
みそきつつ
おもふこころは
このかはの
そこのふかさに
かよふへらなり
ひとゝせに
ひとよとおもへと
たなはたの
あひみむあきの
かきりなきかな
ひととせに
ひとよとおもへと
たなはたの
あひみむあきの
かきりなきかな
ひととせに
ひとよとおもへと
たなはたの
あひ見む秋の
限なきかな
ひととせに
ひとよとおもへと
たなはたの
あひみむあきの
かきりなきかな
もゝとせの
千ゝのあきことに
あしひきの
やまのはかへす
いつるつき影
ももとせの
ちちのあきことに
あしひきの
やまのはかへす
いつるつきかげ
いのりつゝ
なほなかつきの
きくのはな
いつれのあきか
うゑてみさらん
いのりつつ
なほなかつきの
きくのはな
いつれのあきか
うゑてみさらん
やまかはを
とめきてみれは
おちつもる
もみちのための
あしろなりけり
やまかはを
とめきてみれは
おちつもる
もみちのための
あしろなりけり
あしひきの
やまゐのいろは
ゆふたすき
かけたるきぬの
つまにさりける
あしひきの
やまゐのいろは
ゆふたすき
かけたるきぬの
つまにさりける
ゆふたすき
ちとせをかけて
あしひきの
やまゐのいろは
かはらさりけり
ゆふたすき
ちとせをかけて
あしひきの
やまゐのいろは
かはらさりけり
きみさらに
やまにかへりて
ふゆことに
ゆきふみわけて
おりよとそ思ふ
きみさらに
やまにかへりて
ふゆことに
ゆきふみわけて
おりよとそおもふ
けふあけて
きのふににぬは
みるひとの
こゝろにはるそ
たちぬへらなる
けふあけて
きのふににぬは
みるひとの
こころにはるそ
たちぬへらなる
ちりまかふ
いろをみつゝそ
なくさむる
ゆきのかたみの
さくらなりけり
ちりまかふ
いろをみつつそ
なくさむる
ゆきのかたみの
さくらなりけり
こむとしも
くへき春とは
しりなから
けふのくるゝは
をしくそありける
こむとしも
くへきはるとは
しりなから
けふのくるるは
をしくそありける
みなそこに
かけさへふかき
ふちの花
はなのいろにや
さをはさすらん
みなそこに
かけさへふかき
ふちのはな
はなのいろにや
さをはさすらん
河社
しのにおりはへ
ほす衣
いかにほせばか
七日ひざらむ
かはやしろ
しのにおりはへ
ほすころも
いかにほせばか
なぬかひざらむ
Храм у реки, день очищенья...
Плещутся белые волны —
Словно много одежд разложено:
Сушатся
И никак не просохнут.
かはやしろ
しのにおりはへ
ほすころも
いかにほせはか
なぬかひさらん
かはやしろ
しのにおりはへ
ほすころも
いかにほせはか
なぬかひさらん
ひとゝせに
ひとよとおもへと
たなはたは
ふたりともなき
つまにさりける
ひととせに
ひとよとおもへと
たなはたは
ふたりともなき
つまにさりける
つまこふる
しかのなみたや
あきはきの
したはもみつる
つゆとなるらん
つまこふる
しかのなみたや
あきはきの
したはもみつる
つゆとなるらん
ちとせをし
とゝむへけれは
しらたまを
ぬけるとそみる
きくのしらつゆ
ちとせをし
ととむへけれは
しらたまを
ぬけるとそみる
きくのしらつゆ
さきのこる
きくにはみつも
なかれねと
あきふかくこそ
にほふへらなれ
さきのこる
きくにはみつも
なかれねと
あきふかくこそ
にほふへらなれ
こゝろしも
かよはしものを
やまちかみ
しかのねきけは
まさるこひかな
こころしも
かよはしものを
やまちかみ
しかのねきけは
まさるこひかな
もみちはの
かけをうつして
ゆくみつは
なみのはなさへ
うつろひにけり
もみちはの
かけをうつして
ゆくみつは
なみのはなさへ
うつろひにけり
ときはのみ
やとにあるかな
すむひとの
こゝろもまつと
たけとなりけり
ときはのみ
やとにあるかな
すむひとの
こころもまつと
たけとなりけり
ことしはや
あすにあけなむ
あしひきの
やまにかすみは
たてりとやみん
ことしはや
あすにあけなむ
あしひきの
やまにかすみは
たてりとやみん
やまのはに
ゆふひさしつゝ
くれゆくは
はるにいりぬる
としにさりける
やまのはに
ゆふひさしつつ
くれゆくは
はるにいりぬる
としにさりける
あたらしき
としのたよりに
たまほこの
みちまとひする
きみかとそおもふ
あたらしき
としのたよりに
たまほこの
みちまとひする
きみかとそおもふ
あしひきの
やまへのまつを
かつみれは
こゝろをのへに
おもひやる哉
あしひきの
やまへのまつを
かつみれは
こころをのへに
おもひやるかな
あさなけに
見つゝすめとも
けふなれは
やまへのみこそ
おもひやらるれ
あさなけに
みつつすめとも
けふなれは
やまへのみこそ
おもひやらるれ
やまのには
さけるかひなし
いろみつゝ
はなとしるへき
やとにうゑなん
やまのには
さけるかひなし
いろみつつ
はなとしるへき
やとにうゑなん
をしみつゝ
わかるゝひとを
みるときは
我なみたさへ
とまらさりけり
をしみつつ
わかるるひとを
みるときは
わがなみたさへ
とまらさりけり
おもふひと
とゝめてとほく
わかるれは
こゝろゆくとも
わかおもはなくに
おもふひと
ととめてとほく
わかるれは
こころゆくとも
わかおもはなくに
かねてより
わかれををしと
しれりせは
いてたゝんとは
おもはさらまし
かねてより
わかれををしと
しれりせは
いてたたんとは
おもはさらまし
くさも木も
ありとはみれと
ふくかせに
きみかとしつき
いかゝとそおもふ
くさもきも
ありとはみれと
ふくかせに
きみかとしつき
いかかとそおもふ
さくらはな
かつちりなから
としつきは
わかみにのみそ
つもるへらなる
さくらはな
かつちりなから
としつきは
わかみにのみそ
つもるへらなる
あたなれと
さくらのみこそ
ふるさとの
むかしなからの
ものにはありけれ
あたなれと
さくらのみこそ
ふるさとの
むかしなからの
ものにはありけれ
あたなれと
さくらのみこそ
旧里の
昔なからの
物には有りけれ
あたなれと
さくらのみこそ
ふるさとの
むかしなからの
ものにはありけれ
みしことく
あらすもあるかな
ふるさとは
はなのいろのみそ
あれすはありける
みしことく
あらすもあるかな
ふるさとは
はなのいろのみそ
あれすはありける
ゆくはるの
たそかれときに
なりぬれは
うくひすのねも
くれぬへらなり
ゆくはるの
たそかれときに
なりぬれは
うくひすのねも
くれぬへらなり
はるのけふ
くるゝしるしは
うくひすの
なかすなりぬる
こゝろなりけり
はるのけふ
くるるしるしは
うくひすの
なかすなりぬる
こころなりけり
卯のはなの
いろ見えまかふ
ゆふしてゝ
けふこそかみを
いのるへらなれ
うのはなの
いろみえまかふ
ゆふしてて
けふこそかみを
いのるへらなれ
はるすきて
うつきになれは
さかき葉の
ときはのみこそ
いろまさりけれ
はるすきて
うつきになれは
さかきはの
ときはのみこそ
いろまさりけれ
このさとに
いかなるひとか
いへゐして
やまほとゝきす
たえすきくらん
このさとに
いかなるひとか
いへゐして
やまほとときす
たえすきくらん
ゆふつくよ
ひさしからぬを
あまのかは
はやくたなはた
こきわたらなん
ゆふつくよ
ひさしからぬを
あまのかは
はやくたなはた
こきわたらなん
つもりぬる
としはおほかれと
あまのかは
きみかわたれる
かすそすくなき
つもりぬる
としはおほかれと
あまのかは
きみかわたれる
かすそすくなき
とまりてふ
このところには
くるひとの
やかてすくへき
たひならなくに
とまりてふ
このところには
くるひとの
やかてすくへき
たひならなくに
ひくことの
ねのうちつけに
つきかけを
あきのゆきかと
おとろかれつゝ
ひくことの
ねのうちつけに
つきかけを
あきのゆきかと
おとろかれつつ
つきかけも
ゆきかとみつゝ
ひくことの
きえてつめとも
しらすやあるらん
つきかけも
ゆきかとみつつ
ひくことの
きえてつめとも
しらすやあるらん
ひくことの
ねことにおもふ
こゝろあるを
こゝろのことく
きゝもなさなん
ひくことの
ねことにおもふ
こころあるを
こころのことく
ききもなさなん
ひともみな
われならねとも
あきのたの
かりにそものを
おもふへらなる
ひともみな
われならねとも
あきのたの
かりにそものを
おもふへらなる
いかきにも
またいらぬほとは
ひとしれす
わかおもふことを
神はしらなん
いかきにも
またいらぬほとは
ひとしれす
わかおもふことを
かみはしらなん
つれつれと
としふるやとは
ぬは玉の
よも日もなかく
なりぬへらなり
つれつれと
としふるやとは
ぬはたまの
よもひもなかく
なりぬへらなり
やへむくら
しけくのみこそ
なりまされ
ひとめそやとの
くさきならまし
やへむくら
しけくのみこそ
なりまされ
ひとめそやとの
くさきならまし
くさまくら
ゆふかせさむく
なりぬるを
ころもうつなる
やとやからまし
くさまくら
ゆふかせさむく
なりぬるを
ころもうつなる
やとやからまし
いととゝふ
ひともなきかな
こよひもや
とりさへなきて
われはかへらん
いとととふ
ひともなきかな
こよひもや
とりさへなきて
われはかへらん
もみちはの
なかれておつる
あしろには
しらなみもまた
よらぬひそなき
もみちはの
なかれておつる
あしろには
しらなみもまた
よらぬひそなき
しもかれの
くさまくらには
きみこふる
なみたのつゆそ
おきまさりける
しもかれの
くさまくらには
きみこふる
なみたのつゆそ
おきまさりける
いつとても
おもはさらめと
きみかけて
いへこひしきは
たひにさりける
いつとても
おもはさらめと
きみかけて
いへこひしきは
たひにさりける
いちしるき
しるしなりけり
あらたまの
としのくるゝは
ゆきにさりける
いちしるき
しるしなりけり
あらたまの
としのくるるは
ゆきにさりける
春たゝは
かはとおもひし
うめのはな
めつらしひにや
ひとのをるらん
あをやきの
いろはかはらて
さくらはな
ちるもとにこそ
ゆきはふりけれ
あをやきの
いろはかはらて
さくらはな
ちるもとにこそ
ゆきはふりけれ
むかしいかに
たのめたれはか
ふちなみの
まつにしもなほ
かゝりそめけん
むかしいかに
たのめたれはか
ふちなみの
まつにしもなほ
かかりそめけん
いのりくる
かみそとおもへは
たまほこの
みちのとほさも
しられさりけり
いのりくる
かみそとおもへは
たまほこの
みちのとほさも
しられさりけり
かのかたに
はやこきよせよ
ほとゝきす
みちになきつと
ひとにかたらん
かのかたに
はやこきよせよ
ほとときす
みちになきつと
ひとにかたらん
はまへにて
としふるひとは
しらなみの
ともにしろくそ
みえわたりける
はまへにて
としふるひとは
しらなみの
ともにしろくそ
みえわたりける
あきのゝの
はきのにしきは
をみなへし
たちましりつゝ
おれるなりけり
あきののの
はきのにしきは
をみなへし
たちましりつつ
おれるなりけり
つきかけの
みゆるにつけて
みなそこを
あまつそらとや
おもひまとはん
つきかけの
みゆるにつけて
みなそこを
あまつそらとや
おもひまとはん
みなかみに
ひちてさけれと
きくのはな
うつろふかけは
なかれさりけり
みなかみに
ひちてさけれと
きくのはな
うつろふかけは
なかれさりけり
さをさして
きつるところは
しらなみの
よれとゝまらぬ
あしろなりけり
さをさして
きつるところは
しらなみの
よれととまらぬ
あしろなりけり
よそなれは
みきはにたてる
あしたつを
なみかゆきかと
わきそかねつる
よそなれは
みきはにたてる
あしたつを
なみかゆきかと
わきそかねつる
けふしまれ
ゆきのふれゝは
くさもきも
はるてふなへに
はなそさきける
けふしまれ
ゆきのふれれは
くさもきも
はるてふなへに
はなそさきける
けふしもあれ
み雪しふれば
草も木も
春てふなべに
花ぞ咲ける
けふしもあれ
みゆきしふれば
くさもきも
はるてふなべに
はなぞさきける
かへるさは
くらくなるとも
はるのゝの
みゆるかきりは
ゆかんとそおもふ
かへるさは
くらくなるとも
はるののの
みゆるかきりは
ゆかんとそおもふ
うめのはな
にほひにほひて
ちるときは
かくすににたる
ゆきそふりける
うめのはな
にほひにほひて
ちるときは
かくすににたる
ゆきそふりける
あをやきを
たよりとおもひて
はるのうちの
みとりつもれる
ところなりけり
あをやきを
たよりとおもひて
はるのうちの
みとりつもれる
ところなりけり
さくらはな
をるときにしも
なくなれは
うくひすのねも
くれやしぬらん
さくらはな
をるときにしも
なくなれは
うくひすのねも
くれやしぬらん
あらを田を
かへすいまより
ひとしれす
おもひほにいてん
ことをこそおもへ
あらをたを
かへすいまより
ひとしれす
おもひほにいてん
ことをこそおもへ
うつるかけ
ありとおもへは
みなそこの
ものとそみまし
やまふきのはな
うつるかけ
ありとおもへは
みなそこの
ものとそみまし
やまふきのはな
あすもくる
ときはあれとも
はなみつゝ
なれぬるけふは
をしくそありける
あすもくる
ときはあれとも
はなみつつ
なれぬるけふは
をしくそありける
こきかへり
みれともあかす
わかれにし
はるのなこりの
ふちなみのはな
こきかへり
みれともあかす
わかれにし
はるのなこりの
ふちなみのはな
あけくるゝ
つき日あれとも
ほとゝきす
なくこゑにこそ
なつはきにけれ
あけくるる
つきひあれとも
ほとときす
なくこゑにこそ
なつはきにけれ
なかけくに
いろをそめつゝ
はるもあきも
しらてのみさく
とこなつのはな
なかけくに
いろをそめつつ
はるもあきも
しらてのみさく
とこなつのはな
とりのねは
あまたあれとも
ほとときす
なくなるこゑは
さつきなりけり
とりのねは
あまたあれとも
ほとときす
なくなるこゑは
さつきなりけり
わかやとの
いけにのみすむ
つるなれは
千とせのなつの
かすはしるらん
わかやとの
いけにのみすむ
つるなれは
ちとせのなつの
かすはしるらん
かけふかき
このしたかせの
ふきくれは
なつのうちなから
あきそきにける
かけふかき
このしたかせの
ふきくれは
なつのうちなから
あきそきにける
ゆくみつの
うへにいはへる
かはやしろ
かはなみたかく
あそふなるかな
ゆくみつの
うへにいはへる
かはやしろ
かはなみたかく
あそふなるかな
たなはたの
うきふしならて
よをふるは
としにひとたひ
あへはなりけり
たなはたの
うきふしならて
よをふるは
としにひとたひ
あへはなりけり
はつかりの
こゑにつけてや
ひさかたの
そらのあきをも
ひとのしるらん
はつかりの
こゑにつけてや
ひさかたの
そらのあきをも
ひとのしるらん
なくしかの
こゑをとめつゝ
あきはきの
さけるをのへに
われはきにけり
なくしかの
こゑをとめつつ
あきはきの
さけるをのへに
われはきにけり
つきことに
あふよなれとも
よをへつゝ
こよひにまさる
かけなかりけり
つきことに
あふよなれとも
よをへつつ
こよひにまさる
かけなかりけり
みなひとの
おいをとゝむと
いふきくは
もゝとせをやる
はなにさりける
みなひとの
おいをととむと
いふきくは
ももとせをやる
はなにさりける
おくしもや
はなのいろことに
そめわきて
あきのくれとは
ひとにみすらん
おくしもや
はなのいろことに
そめわきて
あきのくれとは
ひとにみすらん
くさもきも
もみち散りぬと
みるまてに
あきのくれぬる
けふはきにけり
くさもきも
もみちちりぬと
みるまてに
あきのくれぬる
けふはきにけり
あきさける
きくにはあれや
かみなつき
しくれそはなの
いろはそめける
あきさける
きくにはあれや
かみなつき
しくれそはなの
いろはそめける
かりてほす
やまたのいねの
そてひちて
うゑしさなへと
見えもする哉
かりてほす
やまたのいねの
そてひちて
うゑしさなへと
みえもするかな
やまかせの
いたくふきおろす
あしろには
しらなみさへそ
よりまさりける
やまかせの
いたくふきおろす
あしろには
しらなみさへそ
よりまさりける
ゆきふれは
くさきになへて
をるひとの
ころもてさむき
はなそさきける
ゆきふれは
くさきになへて
をるひとの
ころもてさむき
はなそさきける
まつもみな
たけもあやしく
ふくかせは
ふりぬるあめの
こゑそきこゆる
まつもみな
たけもあやしく
ふくかせは
ふりぬるあめの
こゑそきこゆる
ゆくつき日
かはのみつにも
あらなくに
なかるゝことも
いぬるとし哉
ゆくつきひ
かはのみつにも
あらなくに
なかるることも
いぬるとしかな
みつなかに
ありこそしけれ
はるたちて
こほりとくれは
おつるしらたま
みつなかに
ありこそしけれ
はるたちて
こほりとくれは
おつるしらたま
みよしのゝ
よしのゝやまに
はるかすみ
たつをみるみる
ゆきそまたふる
みよしのの
よしののやまに
はるかすみ
たつをみるみる
ゆきそまたふる
むかしより
おもひそめてし
のへなれは
わかなつみにそ
われはきにける
むかしより
おもひそめてし
のへなれは
わかなつみにそ
われはきにける
おなしいろに
ちりまかふとも
うめのはな
かをふりかくす
ゆきなかりけり
おなしいろに
ちりまかふとも
うめのはな
かをふりかくす
ゆきなかりけり
みつのあやの
みたるゝいけに
あをやきの
いとのかけさへ
そこにみえつゝ
みつのあやの
みたるるいけに
あをやきの
いとのかけさへ
そこにみえつつ
はるかすみ
とひわけいぬる
こゑききて
かりきぬなりと
ほかはいふらん
はるかすみ
とひわけいぬる
こゑききて
かりきぬなりと
ほかはいふらん
ちはやふる
かみのたよりに
ゆふたすき
かけてやひとも
われをこふらん
ちはやふる
かみのたよりに
ゆふたすき
かけてやひとも
われをこふらん
さくらはな
ふりにふるとも
みるひとの
ころもぬるへき
ゆきならなくに
さくらはな
ふりにふるとも
みるひとの
ころもぬるへき
ゆきならなくに
ふちなみの
かけしうつれは
わかやとの
いけのそこにも
はなそさきける
ふちなみの
かけしうつれは
わかやとの
いけのそこにも
はなそさきける
はなとりも
みなゆきかひて
ぬはたまの
よのまにけふの
なつはきにけり
はなとりも
みなゆきかひて
ぬはたまの
よのまにけふの
なつはきにけり
はるかにも
こゑのするかな
ほとゝきす
このくれたかく
なけはなりけり
はるかにも
こゑのするかな
ほとときす
このくれたかく
なけはなりけり
さみたれに
あひくることは
あやめくさ
ねなかきいのち
あれはなりけり
さみたれに
あひくることは
あやめくさ
ねなかきいのち
あれはなりけり
あしひきの
やまたをうゑて
いなつまの
ともにあきには
あはむとそおもふ
あしひきの
やまたをうゑて
いなつまの
ともにあきには
あはむとそおもふ
ふくかせの
しるくもあるかな
をきのはの
そよくなかにそ
あきはきにける
ふくかせの
しるくもあるかな
をきのはの
そよくなかにそ
あきはきにける
つなはへて
もりわたりつる
わかやとの
わさたかりかね
いまそなくなる
つなはへて
もりわたりつる
わかやとの
わさたかりかね
いまそなくなる
ひとしれす
きつるところに
ときしもあれ
つきのあかくも
てりわたる哉
ひとしれす
きつるところに
ときしもあれ
つきのあかくも
てりわたるかな
かりにのみ
ひとのみゆれは
をみなへし
はなのたもとそ
つゆけかりける
かりにのみ
ひとのみゆれは
をみなへし
はなのたもとそ
つゆけかりける
つとめてそ
みるへかりける
はなすゝき
まねくかたにや
あきはいぬらん
つとめてそ
みるへかりける
はなすすき
まねくかたにや
あきはいぬらん
かみなつき
しくれにそめて
もみちはを
にしきにおれる
かみなひのもり
かみなつき
しくれにそめて
もみちはを
にしきにおれる
かみなひのもり
みよしのゝ
よしのゝかはの
あしろには
たきのみなわそ
おちつもりける
みよしのの
よしののかはの
あしろには
たきのみなわそ
おちつもりける
しろたへに
ゆきのふれゝは
くさも木も
としとゝもにも
あたらしき哉
しろたへに
ゆきのふれれは
くさもきも
としとともにも
あたらしきかな
まれにきて
をれはやあかぬ
うめのはな
つねにみるひと
いかゝとそおもふ
まれにきて
をれはやあかぬ
うめのはな
つねにみるひと
いかかとそおもふ
やとちかく
うゑたるうめの
はななれと
馨にわかあける
はるのなき哉
やとちかく
うゑたるうめの
はななれと
かにわかあける
はるのなきかな
もゝとせを
ひとにとゝむる
はなゝれと
あたにやはみる
きくのうへのつゆ
ももとせを
ひとにととむる
はななれと
あたにやはみる
きくのうへのつゆ
あさつゆの
おくてのいねは
いなつまを
こふとぬれてや
かわかさるらん
あさつゆの
おくてのいねは
いなつまを
こふとぬれてや
かわかさるらん
千とせといふ
まつをひきつゝ
はるのゝの
とほさもしらす
我はきにけり
ちとせといふ
まつをひきつつ
はるののの
とほさもしらす
われはきにけり
あしひきの
やまのさくらの
いろみてそ
をちかたひとは
たねもまきける
あしひきの
やまのさくらの
いろみてそ
をちかたひとは
たねもまきける
をしめとも
とまらぬけふは
よのなかに
ほかに春まつ
こゝろやあるらん
をしめとも
とまらぬけふは
よのなかに
ほかにはるまつ
こころやあるらん
なつころも
たちてしひより
ほとゝきす
とくきかんとそ
まちわたりつる
なつころも
たちてしひより
ほとときす
とくきかんとそ
まちわたりつる
としことに
けふにしあへは
あやめくさ
うへもねなかく
おひそひにけり
としことに
けふにしあへは
あやめくさ
うへもねなかく
おひそひにけり
たまとのみ
みなりみたれて
おちたきつ
こゝろきよみや
なつはらへする
たまとのみ
みなりみたれて
おちたきつ
こころきよみや
なつはらへする
くるゝひは
おほかりなから
たなはたは
としにひとよや
よるをしるらん
くるるひは
おほかりなから
たなはたは
としにひとよや
よるをしるらん
ひさかたの
あまつそらより
かけみれは
よくところなき
あきのよのつき
ひさかたの
あまつそらより
かけみれは
よくところなき
あきのよのつき
うつろへと
かはらさりけり
きくのはな
おなしむかしの
いろやさくらん
うつろへと
かはらさりけり
きくのはな
おなしむかしの
いろやさくらん
こゑたかく
あそふなるかな
あしひきの
やまひといまそ
かへるへらなる
こゑたかく
あそふなるかな
あしひきの
やまひといまそ
かへるへらなる
おくやまの
みえみ見えぬは
としくれて
ゆきのふりつゝ
かくすなりけり
おくやまの
みえみみえぬは
としくれて
ゆきのふりつつ
かくすなりけり
わかゆかて
たゝにしあれは
はるのゝの
わかなもなにも
かへり來にけり
わかゆかて
たたにしあれは
はるののの
わかなもなにも
かへりきにけり
もゝとせの
うつきをいのる
こゝろをは
かみなからみな
しりませるらん
ももとせの
うつきをいのる
こころをは
かみなからみな
しりませるらん
ほとゝきす
なけともしらす
あやめ草
こそくすりひの
しるしなりけり
ほとときす
なけともしらす
あやめくさ
こそくすりひの
しるしなりけり
うきひとの
つらきこゝろを
このかはの
なみにたくへて
はらへてそやる
うきひとの
つらきこころを
このかはの
なみにたくへて
はらへてそやる
ひとゝせを
まちはしつれと
たなはたの
ゆふくれまつは
久しかりけり
ひととせを
まちはしつれと
たなはたの
ゆふくれまつは
ひさしかりけり
かりにくる
われとはしらて
あきのゝに
なくまつむしの
聲をきく哉
かりにくる
われとはしらて
あきののに
なくまつむしの
こゑをきくかな
みつにさへ
なかれてふかき
わかやとは
きくのふちとそ
なりぬへらなる
みつにさへ
なかれてふかき
わかやとは
きくのふちとそ
なりぬへらなる
かけておもふ
ひともなけれと
ゆふされは
おも影たえぬ
玉かつらかな
かけておもふ
ひともなけれと
ゆふされは
おもかげたえぬ
たまかつらかな
さかき葉の
ときはにあれは
なかけくに
いのちたもてる
神のきね哉
さかきはの
ときはにあれは
なかけくに
いのちたもてる
かみのきねかな
冬草の
かれもはてなて
しかすかに
いまとしなれは
かりにのみくる
ふゆくさの
かれもはてなて
しかすかに
いまとしなれは
かりにのみくる
さきそめし
ときよりのちは
うちはへて
よははるなれや
いろのつねなる
さきそめし
ときよりのちは
うちはへて
よははるなれや
いろのつねなる
さきそめし
時よりのちは
うちはへて
世は春なれや
色のつねなる
さきそめし
ときよりのちは
うちはへて
よははるなれや
いろのつねなる
Много весен прошло
с тех пор, как впервые на ветках
расцвели те цветы, —
о, когда бы и в нашем мире
вечно длилась пора цветенья!..
めつらしき
聲ならなくに
ほとゝきす
こゝらのとしを
あかすもある哉
めつらしき
こゑならなくに
ほとときす
ここらのとしを
あかすもあるかな
紫の
雲とそ見ゆる
藤の花
いかなるやとの
しるしなるらん
むらさきの
くもとそみゆる
ふちのはな
いかなるやとの
しるしなるらむ
月影の
たなかみ河に
きよけれは
綱代にひをの
よるも見えけり
つきかけの
たなかみかはに
きよけれは
あしろにひをの
よるもみえけり
水のおもの
深く浅くも
見ゆるかな
紅葉の色や
ふちせなるらん
みつのおもの
ふかくあさくも
みゆるかな
もみちのいろや
ふちせなるらむ
さわらひや
したにもゆらん
しもかれの
のはらの煙
春めきにけり
さわらひや
したにもゆらむ
しもかれの
のはらのけふり
はるめきにけり
Быть может,
Под снегом папоротник зеленеет?
Дым на поле,
Иссушеным морозом,
Выглядит так весенне!
ひこほしの
つままつよひの
秋風に
我さへあやな
人そこひしき
ひこぼしの
つままつよひの
あきかぜに
われさへあやな
ひとぞこひしき
В эту самую ночь
И Волопас встречи с женой ожидает,
И даже я отчего-то
На осеннем ветру
Затосковал по любимой
秋風に
夜のふけゆけは
あまの河
かはせに浪の
たちゐこそまて
あきかぜに
よのふけゆけば
あまのがは
かはせになみの
たちゐこそまて
С осенним ветром
Спустилась ночь визита твоего,
Как волны
На отмели Небесной реки
Я то встаю, то сажусь в ожиданье!
一歳に
二度もこぬ
春なれば
いとなく今日は
花をこそ見れ
ひととせに
ふたたびもこぬ
はるなれば
いとなくけふは
はなをこそみれ
われきゝて
人にはつけむ
時鳥
思ふもしるく
まつこゝになけ
われききて
ひとにはつけむ
ほととぎす
おもふもしるく
まつここになけ
吹風の
枝もならさぬ
このころは
花もしつかに
匂ふなるへし
ふくかぜの
えだもならさぬ
このころは
はなもしつかに
にほふなるへし
雲路より
みなそこまてに
すむ月は
うへしたてらす
鏡とそみる
くもぢより
みなそこまてに
すむつきは
うへしたてらす
かがみとそみる
遙々と
くもりなき世を
うたふなり
月出が崎の
海士の釣舟
はるばると
くもりなきよを
うたふなり
つきいでがさきの
あまのつりぶね
曇なき
玉田の野べの
玉日影
かざすや豐の
あかりなるらむ
くもりなき
たまたののべの
たまひかげ
かざすやとよの
あかりなるらむ
水の面に
うきてなかるゝ
桜花
いつれをあはと
人は見るらん
みのおもに
うきてなかるる
さくらばな
いつれをあはと
ひとはみるらん
かゝり火の
影しうつれは
ぬは玉の
夜かはのそこは
水ももえけり
かかりひの
かげしうつれは
ぬはたまの
よかはのそこは
みづももえけり
さをしかの
しかならはせる
萩なれや
立よるからに
をのれおれふす
さをしかの
しかならはせる
はぎなれや
たちよるからに
をのれおれふす
まねくとて
きつるかひなく
はなすゝき
ほにいてゝかせの
はかるなりけり
まねくとて
きつるかひなく
はなすすき
ほにいててかせの
はかるなりけり
あき霧は
たちきたれとも
とふかりの
こゑはそらにも
かくれさりけり
あききりは
たちきたれとも
とふかりの
こゑはそらにも
かくれさりけり
秋霧の
立わたれとも
なく雁の
声は空にも
かくれさりけり
あききりの
たちわたれとも
なくかりの
こゑはそらにも
かくれさりけり
山路には
人やまとはん
河霧の
たちこぬさきに
いさわたりなん
やまぢには
ひとやまとはん
かはきりの
たちこぬさきに
いさわたりなん
山近き
所ならすは
ゆく水の
もみちせりとそ
おとろかれまし
やまちかき
ところならすは
ゆくみづの
もみちせりとそ
おとろかれまし
篠の葉の
さえつるなへに
足引の
山には雪そ
ふりつみにける
しののはの
さえつるなへに
あしびきの
やまにはゆきそ
ふりつみにける
乙女子か
雲のかよひち
空はれて
とよのあかりも
光そへけり
をとめこか
くものかよひち
そらはれて
とよのあかりも
ひかりそへけり
ゆく月日
河の水にも
あらなくに
なかるゝことも
いぬる年かな
ゆくつきひ
かはのみづにも
あらなくに
なかるることも
いぬるとしかな
ことしはや
あすに明なん
足引の
やまに霞の
たてりやとみん
ことしはや
あすにあけなん
あしびきの
やまにかすみの
たてりやとみん
大空を
めくる月日の
いくかへり
今行すゑに
あはんとすらん
おほそらを
めくるつきひの
いくかへり
いまゆくすゑに
あはんとすらん
久しくも
にほはんとてや
梅花
はるにかねては
咲そめにけん
ひさしくも
にほはんとてや
うめのはな
はるにかねては
さきそめにけん
君かよは
民の心の
ひとかたに
なひきてみゆる
青柳の村
きみかよは
たみのこころの
ひとかたに
なひきてみゆる
あをやぎのむら
君か代は
なからの山の
岩ね松
千たひ八千度
花のさくまて
きみかよは
なからのやまの
いはねまつ
ちたひやちたび
はなのさくまて
うすくこく
千枝にさける
藤なみの
さかりも久し
よろつ代の春
うすくこく
ちえだにさける
ふぢなみの
さかりもひさし
よろつよのはる
わかやとの
まつのこすゑに
すむ鶴は
千世のゆきかと
おもふへらなり
わかやとの
まつのこすゑに
すむつるは
ちよのゆきかと
おもふへらなり
みつとのみ
おもひしものを
なかれける
たきはおほくの
いとにそありける
みつとのみ
おもひしものを
なかれける
たきはおほくの
いとにそありける
わくかこと
めにはみゆれと
我宿の
石井の水は
ぬるまさりけり
わくかこと
めにはみゆれと
わがやどの
いしゐのみづは
ぬるまさりけり
神代より
いはひそめてし
足引の
山の榊葉
色もかはらす
かみよより
いはひそめてし
あしびきの
やまのさかきば
いろもかはらす
時すきは
早苗もいたく
老ぬへし
あめにもたこは
さはらさらなん
ときすきは
さなへもいたく
おいぬへし
あめにもたこは
さはらさらなん
浦人は
かすみをあみに
むすへはや
浪の花をも
とめてひくらん
うらひとは
かすみをあみに
むすへはや
なみのはなをも
とめてひくらむ
かりてほす
山田の稲を
ほしわひて
まもるかりいほに
いくよへぬらん
かりてほす
やまだのいねを
ほしわびて
まもるかりほに
いくよへぬらむ
Уж сколько лет прошло
Во временной сторожке,
Где сушат рис
Со сжатого и высушенного
Горного рисового поля...
のどかなる
梢ばかりと
思ひしに
散るも盛りと
見ゆる花哉
のどかなる
こずゑばかりと
おもひしに
ちるもさかりと
みゆるはなかな
立田山
よその紅葉の
色にこそ
しくれぬ松の
程もみえけれ
たつたやま
よそのもみぢの
いろにこそ
しくれぬまつの
ほどもみえけれ
時雨ふる
神な月こそ
ちかゝらし
山をしなへて
色付にけり
しぐれふる
かみなつきこそ
ちかからし
やまをしなへて
いろづきにけり
はつせめの
しらゆふ花は
おちもこす
こほりにせける
山川の水
はつせめの
しらゆふはなは
おちもこす
こほりにせける
やまかはのみづ
あたらしき
年とはいへと
しかすかに
我身ふり行
今日にそ有ける
あたらしき
としとはいへと
しかすかに
わがみふりゆく
けふにそありける
あたらしき
としとはいへと
しかすかに
我身ふりぬる
けふにそありける
あたらしき
としとはいへと
しかすかに
わがみふりぬる
けふにそありける
我君の
千世のみかけに
桜花
のとけき風は
枝もならさす
わがきみの
ちよのみかけに
さくらばな
のとけきかぜは
えだもならさす
ちとせふる
松といふとも
うへてみる
人そかそへて
しるへかりける
ちとせふる
まつといふとも
うへてみる
ひとそかそへて
しるへかりける
うへてみる
松と竹とは
君か代に
ちとせ行かふ
色もかはらし
うへてみる
まつとたけとは
きみかよに
ちとせゆきかふ
いろもかはらし
あさみとり
三かみの山の
春霞
立や千とせの
初なるらん
あさみとり
みかみのやまの
はるかすみ
たつやちとせの
はぢめなるらん
神山の
日影のかつら
かさすてふ
とよのあかりそ
わきてくまなき
かみやまの
ひかげのかつら
かさすてふ
とよのあかりそ
わきてくまなき
紫の
藤さか山に
さく花の
千世のかさしは
君かためかも
むらさきの
ふぢさかやまに
さくはなの
ちよのかさしは
きみかためかも
野も山も
匂ひにけりな
紅の
こそめのむめの
花の下風
のもやまも
にほひにけりな
くれなゐの
こそめのむめの
はなのしたかぜ
かつ見つゝ
あかすと思へは
桜はな
散なん後そ
かねて恋しき
かつみつつ
あかすとおもへは
さくらはな
ちらなんのちそ
かねてこひしき
郭公
夜ふかきこゑは
月まつと
おきていをねぬ
人そ聞ける
ほととぎす
よふかきこゑは
つきまつと
おきていをねぬ
ひとそききける
照月の
かつらの山に
家居して
くもりなき代に
あへる秋哉
てるつきの
かつらのやまに
いへいして
くもりなきよに
あへるあきかな