思ふとち
ところもかへす
すみへなん
たちはなれなは
こひしかるへし
おもふとち
ところもかへす
すみへなむ
たちはなれなは
こひしかるへし
忘れにし
人のさらにも
こひしきか
むけにこしとは
思ふものから
わすれにし
ひとのさらにも
こひしきか
むけにこしとは
おもふものから
わかやとの
花の葉にのみ
ぬるてふの
いかなるあさか
ほかよりはくる
わかやとの
はなのはにのみ
ぬるてふの
いかなるあさか
ほかよりはくる
白露の
かかるかやかて
きえさらは
草はそたまの
くしけならまし
しらつゆの
かかるかやかて
きえさらは
くさはそたまの
くしけならまし
千早ぶる
いづしの宮の
神の駒
人な乘りそや
崇りもぞする
ちはやぶる
いづしのみやの
かみのこま
ひとなのりそや
たたりもぞする
秋の野を
分けつゝ行けば
花も皆
散かゝるかや
袖にしむ覽
あきののを
わけつつゆけば
はなもみな
ちりかかるかや
そでにしむらん
神山に
幾代經ぬらむ
榊葉の
久しく志めを
ゆひかけてけり
かみやまに
いくよへぬらむ
さかきばの
ひさしくしめを
ゆひかけてけり
繰り返し
祈る心を
強ひてなほ
神はもちひよ
もりのしめ繩
繰りかへし
いのるこころを
しひてなほ
かみはもちひよ
もりのしめなは
行く月も
かげ更けにけり
かぢ枕
下うつ波の
夜のとまりに
ゆくつきも
かげふけにけり
かぢまくら
したうつなみの
よるのとまりに
うしやうし
花匂ふえだ
に風通
ひ散來て人の
こととひはせず
うしやうし
はなにほふえだ
にかぜかよ
ひちきてひとの
こととひはせず
水ひたり
まきの淵々
落たぎり
氷魚けさ如何に
寄り増る覽
みづひたり
まきのふちふち
おちたぎり
ひをけさいかに
よりまさるらん
恨みかね
絶えにし床は
昔はや
臥さずなりにき
よはのさ莚
うらみかね
たえにしとこは
むかしはや
ふさずなりにき
よはのさむしろ
山里は
秋をまつかぜ
琴志らぶ
野田苅る賤は
千世歌ふなり
やまざとは
あきをまつかぜ
ことしらぶ
のたかるしづは
ちようたふなり
須磨の浦
蜑の苫屋の
明くるより
燒く鹽とけさ
立つ烟かな
すまのうら
あまのともやの
あくるより
やくしほとけさ
たつけぶりかな
夜のほとに
かりそめ人や
きたりけん
よとのみこもの
けさみたれたる
よのほとに
かりそめひとや
きたりけむ
よとのみこもの
けさみたれたる
あとたえて
とふへき人も
おもほえす
たれかはけさの
雪をわけこん
あとたえて
とふへきひとも
おもほえす
たれかはけさの
ゆきをわけこむ
さかきはは
もみちもせしを
神かきの
からくれなゐに
みえわたるかな
さかきはは
もみちもせしを
かみかきの
からくれなゐに
みえわたるかな
いけもふり
つつみくつれて
水もなし
むへかつまたに
鳥のゐさらん
いけもふり
つつみくつれて
みつもなし
うへかつまたに
とりもゐさらむ
わかこまを
しはしとかるか
やましろの
こはたのさとに
ありとこたへよ
わかこまを
しはしとかるか
やましろの
こはたのさとに
ありとこたへよ
みくら山
ま木のやたてて
すむたみは
としをつむとも
くちしとそ思ふ
みくらやま
まきのやたてて
すむたみは
としをつむとも
くちしとそおもふ
よとともに
心をかけて
たのめとも
われからかみの
かたきしるしか
よとともに
こころをかけて
たのめとも
われからかみの
かたきしるしか
秋ののに
たれをさそはむ
行きかへり
ひとりははきを
みるかひもなし
あきののに
たれをさそはむ
ゆきかへり
ひとりははきを
みるかひもなし
あきは霧
きりすきぬれは
雪ふりて
はるるまもなき
み山へのさと
あきはきり
きりすきぬれは
ゆきふりて
はるるまもなき
みやまへのさと
いなり山
しるしのすきの
年ふりて
みつのみやしろ
神さひにけり
いなりやま
しるしのすきの
としふりて
みつのみやしろ
かみさひにけり
名にしおはは
つねはゆるきの
もりにしも
いかてかさきの
いはやすくぬる
なにしおはは
つねはゆるきの
もりにしも
いかてかさきの
いはやすくぬる
鴬の
すはうこけとも
ぬしもなし
風にまかせて
いつちいぬらん
うくひすの
すはうこけとも
ぬしもなし
かせにまかせて
いつちいぬらむ
そま人は
宮木ひくらし
あしひきの
山の山ひこ
声とよむなり
そまひとは
みやきひくらし
あしひきの
やまのやまひこ
こゑとよむなり
今こむと
いひて別れし
あしたより
おもひくらしの
ねをのみそなく
いまこむと
いひてわかれし
あしたより
おもひくらしの
ねをのみそなく
Поутру он сказал,
что скоро увидимся снова, —
с того самого дня
я живу лишь одной надеждой
и с цикадами вместе плачу…
たきつせの
なかにたまつむ
しらなみは
流るる水を
をにそぬきける
たきつせの
なかにたまつむ
しらなみは
なかるるみつを
をにそぬきける
山河は
きのはなかれす
あさきせを
せけはふちとそ
秋はなるらん
やまかはは
きのはなかれす
あさきせを
せけはふちとそ
あきはなるらむ
松のねは
秋のしらへに
きこゆなり
たかくせめあけて
鳥そひくらし
まつのねは
あきのしらへに
きこゆなり
たかくせめあけて
かせそひくらし
秋ののに
花てふ花を
折りつれは
わひしらにこそ
虫もなきけれ
あきののに
はなてふはなを
をりつれは
わひしらにこそ
むしもなきけれ
うくひすの
すつくる枝を
折りつれは
こうはいかてか
うまむとすらん
うくひすの
すつくるえたを
をりつれは
こをはいかてか
うまむとすらむ
花の色を
あらはにめては
あためきぬ
いさくらやみに
なりてかささむ
はなのいろを
あらはにめては
あためきぬ
いさくらやみに
なりてかささむ
たひのいは
やなきとこにも
ねられけり
草の枕に
つゆはおけとも
たひのいは
やなきとこにも
ねられけり
くさのまくらに
つゆはおけとも
わたつ海の
おきなかにひの
はなれいてて
もゆと見ゆるは
あまのいさりか
わたつうみの
おきなかにひの
はなれいてて
もゆとみゆるは
あまのいさりか
こき色か
いつはたうすく
うつろはむ
花に心も
つけさらんかも
こきいろか
いつはたうすく
うつろはむ
はなにこころも
つけさらむかも
紫の
色にはさくな
むさしのの
草のゆかりと
人もこそ見れ
むらさきの
いろにはさくな
むさしのの
くさのゆかりと
ひともこそみれ
うゑて見る
君たにしらぬ
花の名を
我しもつけん
事のあやしさ
うゑてみる
きみたにしらぬ
はなのなを
われしもつけむ
ことのあやしさ
河かみに
今よりうたむ
あしろには
まつもみちはや
よらむとすらん
かはかみに
いまよりうたむ
あしろには
まつもみちはや
よらむとすらむ
あた人の
まかきちかうな
花うゑそ
にほひもあへす
折りつくしけり
あたひとの
まかきちかうな
はなうゑそ
にほひもあへす
をりつくしけり
あたなりと
ひともときくる
のへしもそ
花のあたりを
すきかてにする
あたなりと
ひともときくる
ものしもそ
はなのあたりを
すきかてにする
白浪の
うちかくるすの
かわかぬに
わかたもとこそ
おとらさりけれ
しらなみの
うちかくるすの
かわかぬに
わかたもとこそ
おとらさりけれ
すみよしの
をかの松かさ
さしつれは
雨はふるとも
いなみのはきし
すみよしの
をかのまつかさ
さしつれは
あめはふるとも
いなみのはきし
水もなく
舟もかよはぬ
このしまに
いかてかあまの
なまめかるらん
みつもなく
ふねもかよはぬ
このしまに
いかてかあまの
なまめかるらむ
うゑていにし
人もみなくに
秋はきの
たれ見よとかは
花のさきけむ
うゑていにし
ひともみなくに
あきはきの
たれみよとかは
はなのさきけむ
身をすてて
山に入りにし
我なれは
くまのくらはむ
こともおほえす
みをすてて
やまにいりにし
われなれは
くまのくらはむ
こともおほえす
鳥のこは
またひななから
たちていぬ
かひの見ゆるは
すもりなりけり
とりのこは
またひななから
たちていぬ
かひのみゆるは
すもりなりけり
くきもはも
みな緑なる
ふかせりは
あらふねのみや
しろく見ゆらん
くきもはも
みなみとりなる
ふかせりは
あらふねのみや
しろくみゆらむ
あかすして
わかれし人の
すむさとは
さはこの見ゆる
山のあなたか
あかすして
わかれしひとの
すむさとは
さはこのみゆる
やまのあなたか
おほつかな
雲のかよひち
見てしかな
とりのみゆけは
あとはかもなし
おほつかな
くものかよひち
みてしかな
とりのみゆけは
あとはかもなし
Ах, если б мне увидеть
Тропу, по которой ходит облако
Через ширь неба.
Птица лишь вспорхнёт,
И уж нет и следа её.
かかり火の
所さためす
見えつるは
流れつつのみ
たけはなりけり
かかりひの
ところさためす
みえつるは
なかれつつのみ
たけはなりけり
いかりゐの
いしをくくみて
かみこしは
きさのきにこそ
おとらさりけれ
いかりゐの
いしをくくみて
かみこしは
きさのきにこそ
おとらさりけれ
神なひの
みむろのきしや
くつるらん
竜田の河の
水のにこれる
かむなびの
みむろのきしや
くつるらむ
たつたのかはの
みつのにこれる
心さし
ふかき時には
そこのもも
かつきいてぬる
物にそ有りける
こころさし
ふかきときには
そこのもも
かつきいてぬる
ものにそありける
五月雨に
ならぬ限は
郭公
なにかはなかむ
しのふはかりに
さみたれに
ならぬかきりは
ほとときす
なにかはなかむ
しのふはかりに
池をはり
こめたる水の
おほかれは
いひのくちより
あまるなるへし
いけをはり
こめたるみつの
おほかれは
いひのくちより
あまるなるへし
あしひきの
山した水に
ぬれにけり
その火まつたけ
衣あふらん
あしひきの
やましたみつに
ぬれにけり
そのひまつたけ
ころもあふらむ
いとへとも
つらきかたみを
見る時は
まつたけからぬ
ねこそなかるれ
いとへとも
つらきかたみを
みるときは
まつたけからぬ
ねこそなかるれ
山たかみ
花の色をも
見るへきに
にくくたちぬる
春かすみかな
やまたかみ
はなのいろをも
みるへきに
にくくたちぬる
はるかすみかな
野を見れは
春めきにけり
あをつつら
こにやくままし
わかなつむへく
のをみれは
はるめきにけり
あをつつら
こにやくままし
わかなつむへく
なにとかや
くきのすかたは
おもほえて
あやしく花の
名こそわするれ
なにとかや
くきのすかたは
おもほえて
あやしくはなの
なこそわするれ
河きしの
をとりおるへき
所あらは
うきにしにせぬ
身はなけてまし
かはきしの
をとりおるへき
ところあらは
うきにしにせぬ
みはなけてまし
もみちはに
衣の色は
しみにけり
秋のやまから
めくりこしまに
もみちはに
ころものいろは
しみにけり
あきのやまから
めくりこしまに
わか心
あやしくあたに
春くれは
花につく身と
なとてなりけん
わかこころ
あやしくあたに
はるくれは
はなにつくみと
なとてなりけむ
さく花に
思ひつくみの
あちきなさ
身にいたつきの
いるもしらすて
さくはなに
おもひつくみの
あちきなさ
みにいたつきの
いるもしらすて
なにはつは
くらめにのみそ
舟はつく
朝の風の
さためなけれは
なにはつは
くらめにのみそ
ふねはつく
あしたのかせの
さためなけれは
あしきぬは
さけからみてそ
人はきる
ひろやたらぬと
思ふなるへし
あしきぬは
さけからみてそ
ひとはきる
ひろやたらぬと
おもふなるへし
雲まよひ
ほしのあゆくと
見えつるは
蛍のそらに
とふにそ有りける
くもまよひ
ほしのあゆくと
みえつるは
ほたるのそらに
とふにそありける
あつまにて
やしなはれたる
人のこは
したたみてこそ
物はいひけれ
あつまにて
やしなはれたる
ひとのこは
したたみてこそ
ものはいひけれ
わきもこか
身をすてしより
さるさはの
池のつつみや
きみはこひしき
わきもこか
みをすてしより
さるさはの
いけのつつみや
きみはこひしき
この家は
うるかいりても
見てしかな
あるしなからも
かはんとそ思ふ
このいへは
うるかいりても
みてしかな
あるしなからも
かはむとそおもふ
霞わけ
いまかり帰る
物ならは
秋くるまては
こひやわたらん
かすみわけ
いまかりかへる
ものならは
あきくるまては
こひやわたらむ
あしひきの
山のこのはの
おちくちは
いろのをしきそ
あはれなりける
あしひきの
やまのこのはの
おちくちは
いろのをしきそ
あはれなりける
ことそとも
ききたにわかす
わりなくも
人のいかるか
にけやしなまし
ことそとも
ききたにわかす
わりなくも
ひとのいかるか
にけやしなまし
つのくにの
なにはわたりに
つくる田は
あしかなへかと
えこそ見わかね
つのくにの
なにはわたりに
つくるたは
あしかなへかと
えこそみわかね
たかかひの
またもこなくに
つなきいぬの
はなれていかむ
なくるまつほと
たかかひの
またもこなくに
つなきいぬの
はなれてゆかむ
なくるまつほと
年をへて
君をのみこそ
ねすみつれ
ことはらにやは
こをはうむへき
としをへて
きみをのみこそ
ねすみつれ
ことはらにやは
こをはうむへき
かのかはの
むかはきすきて
ふかからは
わたらてたたに
かへるはかりそ
かのかはの
むかはきすきて
ふかからは
わたらてたたに
かへるはかりそ
久方の
つきのきぬをは
きたれとも
ひかりはそはぬ
わか身なりけり
ひさかたの
つきのきぬをは
きたれとも
ひかりはそはぬ
わかみなりけり
世とともに
しほやくあまの
たえせねは
なきさのきのは
こかれてそちる
よとともに
しほやくあまの
たえせねは
なきさのきのは
こかれてそちる
鴬の
なかむしろには
我そなく
花のにほひや
しはしとまると
うくひすの
なかむしろには
われそなく
はなのにほひや
しはしとまると
そこへうの
かは浪わけて
いりぬるか
まつほとすきて
見えすもあるかな
そこへうの
かはなみわけて
いりぬるか
まつほとすきて
みえすもあるかな
かのえさる
舟まてしはし
事とはん
おきのしらなみ
またたたぬまに
かのえさる
ふねまてしはし
こととはむ
おきのしらなみ
またたたぬまに
さをしかの
友まとはせる
声すなり
つまやこひしき
秋の山へに
さをしかの
ともまとはせる
こゑすなり
つまやこひしき
あきのやまへに
ひと夜ねて
うしとらこそは
思ひけめ
うきなたつみそ
わひしかりける
ひとよねて
うしとらこそは
おもひけめ
うきなたつみそ
わひしかりける
むまれより
ひつしつくれは
山にさる
ひとりいぬるに
ひとゐていませ
うまれより
ひつしつくれは
やまにさる
ひとりいぬるに
ひとゐていませ
秋風の
よもの山より
おのかしし
ふくにちりぬる
もみちかなしな
あきかせの
よものやまより
おのかしし
ふくにちりぬる
もみちかなしな
神山に
幾世へぬらむ
榊葉の
久しく志めを
ゆひかけてけり
かみやまに
いくよへぬらむ
さかきばの
ひさしくしめを
ゆひかけてけり
峰つゝき
山へはなれす
すむしかも
みちたとりなり
秋の夕霧
みねつつき
やまへはなれす
すむしかも
みちたとりなり
あきのゆふぎり
入逢の
鐘のをとこそ
かなしけれ
けふをむなしく
くれぬとおもへは
いりあひの
かねのをとこそ
かなしけれ
けふをむなしく
くれぬとおもへは
大井川
くだす筏の
隙ぞなき
おちくる瀧も
のどけからねば
おほゐかは
くだすいかだの
ひまぞなき
おちくるたきも
のどけからねば
きのふまて
冬こもりにし
蒲生野に
わらひのとくも
おひにける哉
夕されは
あひみるへきを
春の日の
とく暮ぬこそ
苦しかりけれ
ゆふされは
あひみるへきを
はるのひの
とくくれぬこそ
くるしかりけれ
花といはゝ
いつれか匂ひ
なしとみん
散かふ色の
ことならなくに
はなといはは
いつれかにほひ
なしとみん
ちかふいろの
ことならなくに
花の色の
あかすみゆれは
帰らめや
なきさの宿に
いさくらし南
はなのいろの
あかすみゆれは
かへらめや
なきさのやどに
いさくらしみなみ
須磨の浦や
なきさにたてる
そなれ松
しつえは波の
うたぬ日そなき
すまのうらや
なきさにたてる
そなれまつ
しつえはなみの
うたぬひそなき
あちきなや
海士のかるもの
我からか
うしとて世をも
恨はてねは
あちきなや
あまのかるもの
われからか
うしとてよをも
うらみはてねは
片恋を
するかのふしの
山よりも
我むねの火の
まつもゝゆるか
かたこひを
するかのふしの
やまよりも
われむねのひの
まつももゆるか
わきもこか
かたしきなから
ねにけらし
けさくろ髪の
乱かちなる
わきもこか
かたしきなから
ねにけらし
けさくろかみの
みだかちなる
朝ねかみ
かきなてしこの
花なれは
思ひみたれて
恋やわたらん
あしたねかみ
かきなてしこの
はななれは
おもひみたれて
こひやわたらん
さしくしも
つけのはなくて
わきも子か
ゆふけのうらを
とひそわつらふ
さしくしも
つけのはなくて
わきもこか
ゆふけのうらを
とひそわつらふ
月草の
色なる花そ
珍しき
ちかうてみれは
ころもうつりぬ
つきくさの
いろなるはなそ
めづらしき
ちかうてみれは
ころもうつりぬ
奥つ風
みるめをなみに
あまの袖
塩たるとたに
しらせてしかな
おくつかぜ
みるめをなみに
あまのそで
しほたるとたに
しらせてしかな
わたつ海の
波にまかへる
浮舟は
よる岸なくて
かなしかるらん
わたつうみの
なみにまかへる
うきふねは
よるきしなくて
かなしかるらん
大和路を
たえすかよひし
おりのみや
まつくみ見けん
ゐ手の玉水
やまとぢを
たえすかよひし
おりのみや
まつくみみけん
ゐてのたまみづ
都いてゝ
日数思へは
道とをみ
ころもへにける
しら川の関
みやこいてて
ひかずおもへは
みちとをみ
ころもへにける
しらかはのせき
小山田の
をしねやからん
白妙の
露うちはらひ
袖はぬるとも
をやまだの
をしねやからん
しろたへの
つゆうちはらひ
そではぬるとも
分わひぬ
露のみふかき
あたち野を
ひとりかはかぬ
袖しほりつゝ
わわひぬ
つゆのみふかき
あたちのを
ひとりかはかぬ
そでしほりつつ
妻こひも
空しき夜半や
さをしかの
ひとりは萩の
下に臥らん
つまこひも
むなしきよはや
さをしかの
ひとりははぎの
したにふらん
つねよりも
ねこそしけけれ
蛬
今夜は千ゝに
物やかなしき
つねよりも
ねこそしけけれ
きりきりす
こよひはちゝに
ものやかなしき
ことはりを
思へは人も
つらからす
かひなき物は
うき身なりけり
ことはりを
おもへはひとも
つらからす
かひなきものは
うきみなりけり
君か代に
千年をかねて
すみた河
かりにもあたの
影はうつらす
きみかよに
ちとせをかねて
すみたかは
かりにもあたの
かげはうつらす
松かねに
苔むす石や
うこきなき
我君か世の
たくひなるらん
まつかねに
こけむすいしや
うこきなき
わがきみかよの
たくひなるらん
梅か香の
にほふ物から
くらふ山
木の本しらぬ
春の夕やみ
うめかかの
にほふものから
くらふやま
このもとしらぬ
はるのゆふやみ
神かきは
花のしらゆふ
かほるらし
吉野の宮の
春の手向に
かみかきは
はなのしらゆふ
かほるらし
よしののみやの
はるのたむけに
から衣
すそのゝ原の
小鷹狩
日も夕暮に
はや成にけり
からころも
すそののはらの
こたかがり
ひもゆふくれに
はやなりにけり
我身のみ
うしとはいはし
みつくきの
岡の葛葉も
猶うらむ也
わがみのみ
うしとはいはし
みつくきの
をかのくずはも
なほうらむなり
我はたゝ
風にのみこそ
まかせつれ
いかゝさき〳〵
人はまちける
われはたた
かぜにのみこそ
まかせつれ
いかかさきさき
ひとはまちける
ふるみちに
我やまとはむ
いにしへの
野中の草は
しけりあひにけり
ふるみちに
われやまとはむ
いにしへの
のなかのくさは
しけりあひにけり
Ступлю ли ещё я
На старые тропки?
Густою травою
Покрылись поля
Былых времён...
あしひきの
山辺にをれは
白雲の
いかにせよとか
はるる時なき
あしひきの
やまへにをれは
しらくもの
いかにせよとか
はるるときなき
つくしより
ここまてくれと
つともなし
たちのをかはの
はしのみそある
つくしより
ここまてくれと
つともなし
たちのをかはの
はしのみそある
あたなりな
とりのこほりに
おりゐるは
したよりとくる
事はしらぬか
あたなりな
とりのこほりに
おりゐるは
したよりとくる
ことはしらぬか
おもかけに
しはしは見ゆる
君なれと
恋しき事そ
時そともなき
おもかけに
しはしはみゆる
きみなれと
こひしきことそ
ときそともなき
いにしへは
おこれりしかと
わひぬれは
とねりかきぬも
今はきつへし
いにしへは
おこれりしかと
わひぬれは
とねりかきぬも
いまはきつへし
いさりせし
あまのをしへし
いつくそや
しまめくるとて
ありといひしは
いさりせし
あまのをしへし
いつくそや
しまめくるとて
ありといひしは
みよしのも
わかなつむらん
わきもこか
ひはらかすみて
日かすへぬれは
みよしのも
わかなつむらむ
わきもこか
ひはらかすみて
ひかすへぬれは
はしたかの
をきゑにせんと
かまへたる
おしあゆかすな
ねすみとるへく
はしたかの
をきゑにせむと
かまへたる
おしあゆかすな
ねすみとるへく
春風の
けさはやけれは
鴬の
花の衣も
ほころひにけり
はるかせの
けさはやけれは
うくひすの
はなのころもも
ほころひにけり
なくこゑは
あまたすれとも
鴬に
まさるとりのは
なくこそ有りけれ
なくこゑは
あまたすれとも
うくひすに
まさるとりのは
なくこそありけれ